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脳の不思議 記憶、想像、不安、 脳がすべてを生み出す

記憶はストレスに弱い?

記憶を作るのに脳の中の「海馬」という部分が関係しているということがわかってきたのは今から50年ほど前のことです。

脳の障害のため手術で海馬を切除した人が、手術後、病院のスタッフの名前や自分が入院している経緯などを全く思い出せなくなりました。毎日会う医者の名前、病室の場所、その日に起こったことなどを全く思い出せなくなったのです。この人は、もともとあった脳の疾患は良くなったのですが、手術後の50年間の記憶が全くなくなってしまいました。この手術がきっかけとなって、海馬の持つ役割が分かってきました。


海馬が働かなくなると、私たちは新しいことが覚えられなくなります。つまり、昔のことは覚えていても、新しいことはすぐに忘れてしまうのです。海馬は小さな器官ですが、 記憶に関するとても大切な働きをしています。大脳皮質に入った情報が海馬に送られると、海馬はその情報が必要か不必要か判断を行います。 海馬は必要だと判断したものだけを保管するのですが、海馬自体がもともと記憶を長く保持する機能を持っていないので、 必要と判断された海馬の情報も短期期間で忘れてしまうと言われています。海馬に一時的にファイルされた記憶のうちの一部は、海馬から大脳皮質に移され、そこで長期記憶となります。


海馬とは別に感情的な事柄に関しては、扁桃体という脳内部位を中心とした記憶回路もあると言われています。扁桃体は恐怖や命をおびやかすような危険に反応する部分です。このことは、身の回りに起こったことを記憶するシステムと、恐怖や危害から逃れようとする情動の記憶・学習とは別の脳システムで行われていることを示唆しています。

海馬はいわゆる「記憶の司令塔」といえる、とても大切な場所ですが、壊れやすい性質を持っています。心理的ストレスを長期間受け続けるとコルチゾールの分泌により、海馬の神経細胞は破壊され海馬そのものが萎縮してしまいます。心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病の患者の海馬が萎縮していることは研究で確認されています。私たちの記憶はストレスに対してとても敏感なのです。

うつ病になると記憶に障害が出てくる


脳のメカニズムに則した効率的な記憶法はこちら

うつ病のメカニズムはまだはっきりとは解明されていませんが、最近の研究でうつ病の患者は脳の前頭葉の機能が落ちているということがわかってきました。前頭葉の機能が低下すると注意力や集中力が低下してくるので、ささいなことでも簡単に決定を下すことができなくなります。

記憶をつかさどる海馬は、この前頭葉との連携によって脳に入ってきた情報を選別しているので、前頭葉の機能が落ちると海馬にも影響が及んできて、その結果、物忘れや簡単なことが覚えられないといったことが、うつ病の患者さんには多く起こります。

具体的には「本や雑誌など同じところを何度も読んでしまい、物語の筋が追えない」「いつも会っている人の名前が思い出せない」「言葉がうまく出てこない」など、日常生活に支障を感じるような障害です。ただし、うつ病の記憶障害は一過性のもので、病気が回復すれば元に戻ります。

MRIの画像研究によって、うつ病患者の海馬が萎縮していることが相次いで報告されていますが、うつ病では血液中のコルチゾールが高いケースがあり,これが海馬神経を傷害する可能性があると考えられています。

脳は記憶と想像を区別している 


▲ブリガムヤング大学のMRI装置

米国ユタ州にあるブリガムヤング大学(BYU)の神経科学者チームが行った最新研究(2014年6月発表)によると、「記憶していることを思い出すこと」と「想像すること」は、それぞれ脳の中心部の近い部分であるけれども、異なる領域が関与していることが明らかになりました。

この研究ではMRI装置を使って、「特定の経験を思い出している」ときと、「未知の経験をしている自分」を想像しているときの脳活動をそれぞれ観察しました。


これまで「記憶の想起」と「想像」というふたつのプロセスは、同じ「認知作業」であるとされていて、脳の同じ領域で実行されると考えられてきましたが、この研究でわかったことで重要な点は、記憶と想像はどちらも脳の海馬で行われる活動ですが、海馬という狭い領域の中でそれぞれの活動の違いがきちんと識別されたことだそうです。
実際にあったことを思い出すことと将来を想像することを、脳はきちんと区別しているようです。

不安のメカニズム

最近の脳科学の進歩によって、不安のメカニズムが少しずつわかってきています。不安や何かを恐れる気持ちは、脳の扁桃体が関係しています。外からの情報が扁桃体に入ると、扁桃体はそれが「危険か否か」を判断します。危険なものと判断した場合、自律神経系を介して、動悸、発汗、血圧を上げるなどの身体の変化が現れます。

同じストレスや環境にさらされても、人によって恐怖や不安の感じ方にはちがいがあり、扁桃体の活動にも個人差があります。この回路が過剰に働く人は、大きな危険が迫っているわけでなくても、扁桃体が過剰に働き過ぎて必要以上の不安症状が出現し、日常生活に支障をきたしてしまうことになります。

扁桃体は相手の表情に反応するという研究結果もあります。能面を使って精神状態を検査する方法も考案されています。これは、コンピュータ画面上に表示された能面の感情を15 分間判断するというユニークな検査です。日本独特の芸術作品である能面は、見る人によって「悲しんでいる」「喜んでいる」「怒っている」等と感じられる表情を無数に持つといわれています。

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