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新型うつと勉強方法
新型うつの受験生におすすめの勉強法

本郷赤門前クリニックの開設以来、受験生のうつ病治療に数多く携わってきた吉田たかよし先生による、新型うつの対処法と勉強方法をご紹介します。
吉田たかよし先生プロフィール

従来は、マジメで責任感が強く几帳面で勤勉な人がうつ病になりやすいといわれ、「メランコリー親和型うつ」と呼ばれていました。
ところが、最近、若い人を中心に、問題が生じると他人のせいにし、周囲からは自分勝手に見える新しいタイプのうつ病が増えてきました。
こうしたうつ病をメディアは「新型うつ」と呼び、世間でも注目を集めるようになってきています。
「新型うつ」という病名は、まだ正式には認められておらず、診断基準もありません。
ただし、受験に挑む若い世代に、こうしたタイプのうつが増えているのは、否定しようがありません。
特に注意していただきたいのは、いわゆる「新型うつ」は、従来からの「メランコリー親和型うつ」と、効率のよい勉強法がまったく異なるため、対処は区別して考える必要があるということです。
今回は、いわゆる「新型うつ」に限定して、合格を勝ち取るための勉強法をアドバイスしたいと思います。

新型うつの傾向がある受験生には、いくつかの心理的な特徴が認められています。
それを否定せず、勉強法を心理的な特徴に合わせて上手に工夫すれば、成績の大幅アップが期待できます。

「新型うつ」の方は自分なりのこだわりを持っていることが多く、それに過剰に固執する傾向があります
それを親や教師など周囲の人が否定すると、心の奥底で反発し焦燥感につながるのです。
受験生本人も周囲の人も、こだわりを受け入れ、上手に受験勉強に利用していくと良い結果につながります。
ただし、これが自分の性格の特徴なのだということは、しっかり認識しておくことが必要です。

最も大切なのは、「こだわり」を仕分けすること!

受験にとって致命的なハンディーとなる「こだわり」と、
致命的ではない「こだわり」をしっかりと区別する。

塾の先生は「要約問題よりも他の分野の学習をしなさい」と指導。
これに反発して焦燥感が高まる。イライラが制御できず、勉強も手に付かない。

ドクター吉田のアドバイス

要約重視のこだわりは、東大の入試で致命的なハンディーではありません。
塾の先生の指導は、一般論としては正しいですが、新型うつにより、柔軟に受け入れることができなくなっている受験生には、足かせとなるだけです。
要約の学習を通して、他の総合問題の得点力も高められる勉強法をアドバイスしました。
課題文を段落ごとに即座に要約できるようになれば、全体の論旨を問う設問の正答率も大幅に高まります。
また、英作文や文法の学習も、要約と関連付ければ効率よく学習できます。
実際、Aさんは強いこだわりを逆手に取って利用することで、結果として英語全体の得点力がアップしました。

図形問題に特別な才能を持っており、また、図形問題が解ける人こそ価値があるという思い込みがある。
そのため模擬テストでは、6問出題される数学の問題のうち、図形問題が解けないと、他の問題に移れず、答案用紙が白紙になってしまっていた。

ドクター吉田のアドバイス

この場合のこだわりは、合格を勝ち取るために致命的なハンディーとなります。実際、このままでは、数学が0点になることだってあるでしょう。
ただし、新型うつの傾向がある場合は、頭ごなしにこだわりを否定すると、イライラして焦燥感が高まってしまうだけなので、逆効果です。
親子カウンセリングを行うと、実は両親にも図形問題を過剰に評価する思い込みがあり、幼少期の自我の形成に影響していたことがわかりました。受験生本人にそれを理解させた上で、単に「図形問題を解くこと」ではなく、「制限時間内で図形問題を解く」ことが能力の証明になることを納得させました。また、心理の根底に、親から本心で評価されたいという渇望感が強く見受けられましたので、毎晩、図形問題に挑み、制限時間内で正解できれば褒めてあげる、正解できなければ励ます習慣を導入してもらいました。その結果、模擬テストでは、無理なく適切な時間配分ができるようになりました。

そもそも受験は、合否という勝ち負けがつく勝負ごとなので、負けず嫌いという心理的な特徴自体は、むしろ長所だといえます。
ところが、新型うつの傾向がある受験生は、負けず嫌いが過剰になりすぎて、問題行動につながる場合が少なくないのです。
放置しておけば、やはり不合格につながります。

模擬テストの成績がよいときは、気分を良くして前向きに勉強する。
しかし、模擬テストの結果が悪いと、親に八つ当りし、2週間から3週間ほど、まったく勉強しなくなる
無理に勉強させようとすると、「こんな子どもに産んだお前が悪い」と暴れだす。

ドクター吉田のアドバイス

成績が悪かったという現実を柔軟に受け止める力が低下しているため、受験勉強を投げ出すことで、心のバランスを維持しようとしているのです。
失敗から学び取ることが苦手なタイプなので、少々、過激ではありますが、成績の悪かった模擬テスト答案は、両親の目の前で破り捨てさせました。
間違った設問の復習もしなくていいと指導しました。
心理的に受け入れるのが困難な経験は、早期に風化させ、忘れさせるのが得策です。
塾の先生は「復習しないなんて愚の骨頂だ」とおっしゃるでしょうが、新型うつの傾向がある受験生に限って言えば、長期的には合格につながります。
代わりに、最も成績が良かった模擬テストの答案を勉強机の前に貼っておき、毎日眺めるようおすすめします。
また、良い成績の模擬テストが返ってきたら、両親そろって家庭で「表彰式」を行い、子どもを大々的に讃えてあげるのも、実践したい習慣です。
もともと嫌な経験を繰り返さないように勉強するというスキームは苦手なタイプなので、心地良い経験を繰り返したいから勉強するというポジティブなモチベーションの形成に切り替えると、劇的に成績が向上します。

「メランコリー親和型うつ」の場合は、学校を休むと自分を責めますが、「新型うつ」の傾向がある場合は、学校を休んでも本人は抵抗感がないことが多いという特徴があります。

学校に行くと極度の抑うつ感に襲われるが、休ませると、ケロッとした表情で受験勉強を続ける。
学校を休むことに、まったく罪悪感を持っていない。

ドクター吉田のアドバイス

一般的にいえば、学校を休ませて受験勉強をしても、いい結果が得られないことが多いのが現実です。
ズル休みをしている心の負い目がストレスにつながるため、最も大切な受験の直前期に成績アップに急ブレーキがかかってしまうのです。
だから、普通の生徒さんの場合は、学校に登校させてください。
ところが、こうした傾向が合致しないのが新型うつの特徴です。
合格だけのことを考えれば、無理をして学校に行かすのは、現実論として得策ではないでしょう。
ただし、保護者によるフォローが不可欠となります。
万が一、卒業できなくなったら大変なので、学校側と頻繁に連絡を取り、出席日数の確保に務めることを怠ってはいけません。
学校側には単なるズル休みにしか見えない場合が多く、そうではなく新型うつだということをしっかりと理解させることが必要です。
ただし、理解さえしてくれれば、学校によっては、夏休みなどに登校して自習することで出席日数にカウントしてくれるケースもあります。
また、丸一日休むのではなく、可能であれば授業ごとに出席・欠席を分けさせることも検討すべきです。
Cさんの場合は、保護者に代わって私が担当医として学校と交渉し、出席計画を詳細に策定することで、卒業にこぎつけました。

従来型のうつ病では、何か問題が生じたときに自分が悪いと考える自罰的な性格が多いのですが、新型うつの場合は、周囲の人が悪いと考える他罰的な性格が多いのが特徴です。

家庭の環境が悪い、親の接し方が悪い、先生の教え方が悪い、問題の出題者が悪いなど、周囲の人に対して何かと腹が立ち、イライラして勉強が手に付かない。
とくに、東大の数学の出題傾向に不満を募らせていた。
ユニークな発想でエレガントに解く数学の問題に思い入れがあるのに、東大の数学の問題は、複雑な場合分けをして力づくで解く問題が多く、そんな問題に出会うたびにイライラして間違ってしまっていた。
さらに、こうした心の歪みがキッカケになって、それ以外の科目でも、勉強自体にヤル気が持てなくなった。

ドクター吉田のアドバイス

まず、受験生本人が他罰的な性格であることを理解させることから始めます。しかし、無理に環境に自分を合わせようとすると、焦燥感がつのり、受験には良い結果は得られません。
他罰的な性格を受け入れた上で、それが暴走しないようにコントロールしながら、合格を勝ち取るために上手に利用していくのが望ましいのです。 学習環境を改善するのには、他罰的な性格のほうが、むしろ上手くいくことが少なくありません。
そのためには、不満を感じたら、ノートに箇条書きにする癖をつけることが必要です。頭のなかだけで考えると心が暴走しやすいのですが、紙に書くと一定の制御が可能になります。それを見ながら対処を考え、やはり紙に書くのです。
新型うつの受験生の場合、ほぼ例外なく先生の教え方が悪いという不満をつのらせますが、無理に先生に合わせる必要はなく、塾なら先生を変えることを検討しましょう。
参考書の説明が悪いと不満を感じたら、参考書をドンドン変えればいいのです。参考書を丸一冊使うのではなく、一部分だけ使用するようにするのも効果的です。
見落としてはいけないのは、試験の出題が悪いという不満です。この場合は、志望校の出題傾向が受験生に合っていない可能性がありますので、偏差値が同水準の他の大学の過去問を片っ端から解き、志望校の再検討を行いましょう。
Dさんの場合は、京都大学の過去問を解かせ、比較させました。
東大では入学後にDさんの性格的な傾向が進学する学科の振り分けで不利になることも考慮し、結局、試験問題をリスペクトできる京大を受験して、大学院で東大に戻るキャリアデザインを目指すこととなりました。
腹立たしさやイライラは認知力を低下させるので、受験勉強の妨げになるのですが、工夫をしてそれを乗り越えれば、強い興味や関心を掘り起こすキッカケになるのも事実です。
受験については、無関心や無感動に陥るよりは、むしろイライラのほうが良性だといえます。

講師プロフィール

吉田たかよし

本郷赤門前クリニック院長
医学博士 心療内科医師
http://docor-t-yoshida.jimdo.com/

1964年生まれ。灘中学校・高等学校、東京大学工学部を卒業後、1989年にNHKに入局。個性派アナウンサーとして『ひるどき日本列島』や野球実況などを担当。NHKを退職後、東京大学大学院医学博士課程修了。本郷赤門前クリニックを開設し院長を務め、受験生を専門に扱う。現在では脳医学や自律神経機能の学習への応用研究に取り組む。人間情報学会理事・ヘルスケア部会長。

主な著書『最強の勉強法』(PHP出版)『子供がヤル気を出す家庭の秘密』(角川書店)

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