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受験うつ、親のサポート講座!【パート1】
受験うつ勉強法講座 第3弾

本郷赤門前クリニックの開設以来、受験生のうつ病治療に数多く携わってきた吉田たかよし先生による、新型うつの対処法と勉強方法をご紹介します。
吉田たかよし先生プロフィール

受験勉強にはコーチが必要!

どんなスポーツでも一流選手にはコーチがつき、練習メニューを決め、メンタル面のサポートをしています。
試合で勝つためにはコーチが不可欠だというのは、スポーツの世界では常識です。
ところが受験だけは、コーチがいません。
塾の先生も家庭教師も教科の勉強を教えるだけで、総合的なコーチの役割は誰も果たしてくれていないのが実情です。

だから、受験生は自分自身で勉強スケジュールを決めなければなりません。
試験で落ちてしまうかもしれない不安とも、自分一人で向き合なければなりません。
これが受験勉強のストレスを倍増させ、受験うつの大きな原因となっているのです。

さらに、いったん受験うつの状態に陥ると、ものごとを判断し、自分がこれから何を行うのか決定する能力が極端に低下します。
また、心の中で不安感が広がり、自分一人ではコントロールできなくなってしまうものです。

だから、受験勉強のスケジュール管理についても、精神面のサポートについても、受験うつの方には、なおさらコーチの手助けが必要なのです。

親こそ受験勉強のコーチに適任!

受験勉強のコーチとしては、私のように受験うつの医学と勉強方法の両方に精通した人間が理想的ではありますが、指導できる機会には限りがあります。
それよりも受験生と一つ屋根で暮らしているご両親のほうが、コーチとしてははるかに適任だといえます。

多くの親御様が「子どもの勉強をみるのは学力的に無理です」とおっしゃいます。
しかし、コーチに求められるのは、勉強を教える先生になることではなく、スケジュールを管理し、さらに精神面で支えになってあげることです。
これなら、人生の先輩であり、また誰よりも我が子を愛するご両親であれば、充分に可能なことです。

中学受験までは親が子どもの勉強をみてあげても、大学受験になれば勉強に親が口を出してはいけないと思い込まれている方が少なくありません。
しかし、ストレスに心が押しつぶされ、受験うつに陥ってしまった場合は、たとえお子さんが大人になった後でも、ご両親にコーチの役割を担っていただくことをおすすめしています。

Aさん 30代男性
大うつ病性障害の回復期
司法試験の受験生

Aさんは、重度のうつ病(大うつ病性障害)を発症し、務めていた一流企業を退職しました。症状がいくぶん回復したところで、第二の人生を切り開くために司法試験に挑むことを決意されましたが、意欲の低下や不安感にとらわれ、受験勉強ははかどりません。

そこで、Aさんは30歳を越えていましたが、私の助言で還暦を過ぎたお母様にコーチの役割を果たしていただくことにしました。
これが功を奏し、Aさんは受験うつを克服して、合格を勝ち取ることができたのです。

年齢には関係なくスポーツ選手にコーチが必要なように、受験うつの場合も、年齢を重ねているから受験勉強にコーチがいらないということはないのです。

以前、受験うつを招いたストレス源を探るヒアリング調査をしたことがありますが、多かったのは「受験は大丈夫か?」という親からの問いかけでした。
これは、試験の直前には、絶対にやめていただきたいことです。
「大丈夫か?」と聞かれたら、受験生は全科目の中から大丈夫ではないことを探し、不安感を高めてしまうからです。

多くの親が「大丈夫か?」と尋ねてしまう理由は、自分自身が安心したいからです。
つまり、親は尋ねることで自分の不安感を子どもに転嫁してしまっているわけです。
これでは本末転倒です。

親がコーチとして真っ先にやるべきことは、「試験に落ちても親が支えてあげるから大丈夫だ」と子どもに伝え、不合格になる恐怖心を軽減してあげることです。

ただし、口先だけでは子どもの不安感は拭えません。
たとえ志望校に合格できなくても、子どもの人生が立ち行くように、親が人生の路線を用意してあげるべきです。
それをしっかりと子どもに理解させると、不合格の恐怖心が相対的に小さくなり、受験うつの症状が軽減されます。

Bさん 高校3年生 男子
受験うつ(気分変調性障害)
東京大学理科Ⅰ類志望

Bさんは、将来は研究者を目指していて、何が何でも東大の理科Ⅰ類に入学したいとの希望でしたが、その心理的重圧からうつ症状に陥ってしまいました。

親御様とカウンセリングを何度か重ね、不合格の不安を軽減するために、第一志望の入試に失敗したとしても人生が成り立つセーフティーガードを見つけてあげることになりました。

そして、仮に東大に合格できなくても、ある私立大学を経て大学院で東大に進学すれば一流の研究者になるという第二の選択肢が見つかりました。

その私立大学と東大の志望学科は、研究者の人材交流を行っており、第二の選択肢は極めて現実的であることが、受験生本人にも心の底から理解してもらえました。

その結果、安心感がもたらされ、うつ症状自体も軽減し、結局、東大に合格することができたのです。
親が第二の選択肢を用意したからこそ、第一志望の合格も勝ち取れたわけです。

受験うつになると、朝、普通に起床して勉強を始めるという当たり前のことができなくなります。
早朝に目が覚めるケースも多いのですが、その場合も、意欲がわかず、布団から出ることがなかなかできません。
その分だけ、夜は眠れなくなり、生活リズムはどんどん乱れていくのが一般的です。

生活リズムが不規則になると、コルチゾールというホルモンの分泌サイクルが崩れるなど心身ともに不調をきたし、受験うつの症状は、ますます増悪します。
また、普通の人と違う生活をしているという後ろめたい思いが、受験生をさらに精神的に追い詰めます。

生活リズムの管理は、受験勉強のコーチにとって最も大切な仕事だと考えてください。
うつの症状が極めて重い時期以外は、朝はしっかり起こしたほうが、受験には圧倒的に良い結果がもたらされます。

ただし、朝、起床してすぐに勉強しろというだけでは、受験うつのお子さんが早起きを続けるのは、現実的に不可能です。
朝には、起きることが楽しみになるようなことをコーチである親が用意してあげることが必要です。
1日の中で、最も楽しいことを朝に行うという生活習慣を、親が率先してデザインしてあげましょう。

Cさん 自宅浪人生 1浪、男子
新型うつ
私立大学医学部志望

Cさんは新型うつの症状のために昼夜が逆転し、さらにこうした生活の乱れがうつ症状を悪化させていました。
しかし、母親がいくら起こしても、起床してくれません。
そこで、親子カウンセリングを行い、Cさんが最も楽しいと感じることを、お母さまに提供していただくことにしました。

まず、昼食・夕食は質素にし、その分、朝食はCさんが大好きな豪華料理を用意してもらうことにしました。食後のデザートも、毎朝、Cさんが好むものを出してもらいました。

さらに、朝食の後は、いきなり受験勉強をするのではなく、まずはCさんの大好きなスポーツを行う時間としました。
毎朝、お母様にバスケットボールのゴールを庭に設置していただき、朝だけ限定して、シュートの練習ができるようにしてもらったのです。

運動はうつ病の予防や治療に大きな効果を持つことは、世界中の研究で結論が出ています。
また、Cさんのように新型うつの場合は、好きなことを朝に行うという生活管理が、特にうまくいっています。

講師プロフィール

吉田たかよし

本郷赤門前クリニック院長
医学博士 心療内科医師
http://docor-t-yoshida.jimdo.com/

1964年生まれ。灘中学校・高等学校、東京大学工学部を卒業後、1989年にNHKに入局。個性派アナウンサーとして『ひるどき日本列島』や野球実況などを担当。NHKを退職後、東京大学大学院医学博士課程修了。本郷赤門前クリニックを開設し院長を務め、受験生を専門に扱う。現在では脳医学や自律神経機能の学習への応用研究に取り組む。人間情報学会理事・ヘルスケア部会長。

主な著書『最強の勉強法』(PHP出版)『子供がヤル気を出す家庭の秘密』(角川書店)

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