ご家族の対応
わが子が受験を控えると、それまでの数ヶ月~1年くらいの間は、親としてはつい勉強の進み具合が気になってたまらないでしょう。とはいえ、この時期のお子様への対応には注意が欠かせません。
受験生のこころに
負担を与える4つの行動
理想の大学に入ってほしいあまり、日頃からそのことをよく話題にだしている
わが子が勉強に身が入っていない様子が少しでも見えると、つい注意してしまう
よその家庭の子供が受験に成功した話を家の中でしている
学校や予備校の先生や関係者に、熱心に受験相談を繰り返している
受験を迎えるわが子の親としての心構え
受験を控えたお子様は、どこの家庭でも神経質になっているものです。そのために成績が伸び悩んだり勉強の進捗がかんばしくなかったりすることも珍しいことではありませんが、そのときに「怠けている」と一概に決めつけることは逆効果をもたらす恐れがあります。受験うつにならないように、プレッシャーになるような言動は控えることが望ましいでしょう。
子供に話しかけるコツ
「助けてあげたい」こちらの気持ちをわかってもらう
どんなことが起こっても子供のそばにいる、ということを知らせてあげてください。
この年頃はうるさくかまわれると嫌がるので質問責めは避けて、子供が求めれば助けてあげる用意があることをわかってもらうことが大切です。
優しく、でもあきらめずに
親をシャットアウトするようになりますが、そこであきらめないでください。10代の子供にとって自分の“うつ” について話すことは大変難しいことなのです。
子供の気持ちを最優先しつつ、しかも「いつでも聞いてあげるから必要なときには話してね」というスタンスを子供にわかってもらうことが重要です。
お説教せずに、ただ聞く
子供が自分の状態について話始めたら、批判や評価をしないよう我慢してください。重要なのは、お子様があなたとコミュニケーションをとろうとしているということ。
不要なアドバイスや、最後通牒のようなことは絶対言わないように。
子供の感じていることを認めてあげる
子供の訴えがどんなに馬鹿らしくても、また理屈に合わなくても、それはうつ病によるものであることを忘れないでください。子供が感じている「痛み」や「悲しさ」をそのまま理解してあげてください。そうしなければ子供は自分の訴えを真剣に考えてくれないと思ってしまいます。
受験うつの疑いが出てきたときは?
お子様の様子が以前とちがってきて、悪くなってきたときは、受験うつがはじまっている可能性があります。
こういったときに対応を間違えると、病気が悪化したり、取り返しがつかない結果を招いてしまう恐れも出てきます。
治療のための医療機関を探す
うつ病はそのままにしておくとダメージが広がっていく病気です。子供に出ている症状がいつか消えるだろうと考えるのは要注意です。医師のところに行く前に、症状はどのくらいの期間出ているのか、子供の生活にどのように支障が出ているのか、親が気づいている症状のパターンなど、子供の症状をきちんと説明できるよう準備をすることが必要です。子供の親族にうつ病や他の精神病を患った人がいないかについても医師から聞かれます。病院で行うスクリーニング(うつ病の診断)では血液検査なども行い、他の病気の可能性も検査します。
子供と相性の良い専門医を探す
検査で身体に異常が見つからなければ、うつ病の可能性が考えられるので精神科医のところに連れて行ってください。できれば、思春期のうつに詳しい医師が望ましいでしょう。
抗うつ薬を未成年に処方することは大変難しいことだからです。専門医を選ぶ際は必ず子供と話しながら行うようにしてください。子供は自分の病気についての決断を保護者に頼るしかないので、本人の話を充分聞いてあげることが大切です。もし子供がその医師や臨床心理士と相性が悪く効果が出ていないようであれば、他を探すことも必要です。
薬だけに頼らないこと
子供のうつ病の治療方法について、医師とよく話し合うことが大切です。思春期のうつ病治療には、カウンセリングだけでもいくつかの選択肢があります。カウンセリングは、軽症のうつ病の最初の治療として効果が高い方法です。一定の期間、カウンセリングを続ければ思春期のうつ病は改善することが多いようです。カウンセリングで効果が出ない場合には投薬治療も検討しなければいけませんが、あくまで薬は幅広い治療計画の中の一部であり、青年期は投薬のみの治療は避けなければいけません。
漫画で分かる家族編
ケーススタディー
CaseStudy 01 温厚な性格のお子様の場合
進学校の高校3年生の女子高生
性格にやや内向的なところがあり、学校でも周囲とのコミュニケーションに時間を要するタイプ。
同級生がどんどん受験に向けて順調に準備ができていくのを見ておくれを取るまいとして自分にプレッシャーをかけてしまう。だんだんとテストを受けることに恐怖を感じるようになり、学校の先生と話をすることも困難なほど、うつの症状が重たくなってしまい、受験勉強が挫折。
CaseStudy 02 頑張り屋の浪人中のお子様の場合
人一倍頑張り屋で、
第一希望にこだわる浪人中の男性
両親をはじめ近親や周囲の人々が、悪気はないものの無意識の間に期待をかけてしまう。その結果、うつを発症して勉強しようとしても集中できず、何も考えられない状態に。
これは病気ではないか……と両親が感づいたときには、もう年の暮れで受験に間に合わず。
このようなケースは多発していますが、あまり報道されないため、
気づかれない方も多いようです。
いずれのケースも早期発見・早期治療をすることが
お子様の大切な受験を台無しにしない最善の策と言えます。
吉田たかよし先生からのアドバイス受験生にこんなサインがあったら注意
受験生に以下のような徴候が表れたら、「受験うつ」などメンタル面のご病気や、何らかの脳機能の問題が潜んでいる可能性があります。まずは、以下のリストに沿って、お子様の様子をチェックしてください。
主な症状
吉田たかよし先生からのアドバイスサインがあった受験生への親の対応
お子様の将来を奪う「素人判断」は厳禁!
「受験うつ」の怖いところは、単なる性格の問題と区別がつきにくいことです。わがままな性格であれば、「うるさい!」と怒鳴り散らすこともあります。ヤル気のない性格だったら、すぐに受験勉強を投げ出します。
このため、多くの親御様が「きっと性格のせいだろう」と甘く見てしまい、「受験うつ」の徴候を見逃しているのです。その結果、治療が遅れ、浪人を繰り返すことになり、お子様の将来が奪われているというのが現実です。素人判断は、とても危険なことです。
専門の検査と医師の診断が不可欠!
「受験うつ」の診断には、光トポグラフィー検査や認知機能の検査と、経験が豊富な医師による問診の両方が不可欠です。私はこれまで、「受験うつ」のお子様を数多く診療してきたため、ほんのささいな徴候も見逃さないという自負を持っています。しかし、脳内で何が起こってその徴候が生じているのかは、検査のデータを見ないと詳細にはわかりません。そのため、問診の前に必ず検査を受けていただいています。
薬に頼りすぎるのは危険!
国際的に見て日本の医療は、抗うつ薬に過剰に依存しているのが実情です。もちろん、薬が必要な場合もありますが、受験生のような若い世代は、うつ病のタイプによって、抗うつ薬が禁忌(原則として使用しない)と定められている場合もあります。また、十分な治療の効果が現れるまで長い年月を要することもあり、入試に間に合わず、結果として一生を棒に振ってしまう受験生も多いのです。
さらに、抗不安薬の大半は脳の活動を抑える作用があるため、試験の問題を解く能力も大幅に低下してしまいます。このように、少なくとも「受験うつ」については、薬が治療の決定打とはなっていないのです。
「磁気刺激治療(TMS)」は一石二鳥!
「受験うつ」は単なる心だけの問題ではなく、脳機能の不調によって生じるものです。この部分を改善しない限り、根本的な解決にはなりません。その点で大きな効果が期待できるのが、磁気刺激治療です。これは、頭の外から安全な磁気のパルスを当て、脳を刺激して機能の回復を図る最新の治療法です。すでにアメリカでは優れた治療実績を残し、今、世界の専門家の間で注目を集めています。
特徴は、大きな副作用がほとんどないにも関わらず、極めて短い期間で効果が現れることです。合格のためには、なんとしても早期に回復したい受験生にとって、とりわけ打ってつけだといえる治療法です。また、磁気刺激治療は、問題を解くときに不可欠となるワーキングメモリーという脳の機能を高める効果を持つことも実証されています。入試でより高得点を稼ぎ出すためにも役立つので、「受験うつ」には、まさしく一石二鳥の治療法だといえます。
医師による脳機能に合わせた受験指導!
「受験うつ」に陥ると脳機能が不調を起こすため、記憶力や集中力など、問題を解くのに必要となる能力が低下してしまいます。こうした状態で合格を勝ち取るには、脳機能の特徴に合わせた受験勉強や専門の対策が不可欠です。そこで私は、検査のデータをもとに、どのタイプの問題をどのように攻略していけば合格を勝ち取れるのか、カウンセリングの中で個別に指導をしています。
学習塾や予備校は、あくまでも心身ともに健康な受験生を前提に指導を行うものです。「受験うつ」の場合は、検査データと医師としての経験や知識がなければ、適切な指導は行なえません。
磁気刺激治療とカウンセリングで早期合格!
「受験うつ」から立ち直り早期に合格を勝ち取るには、磁気刺激治療と医師によるカウンセリングを組み合わせることが極めて有効です。そこで、この2つを一体として提供する「磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コース」を設けました。「受験うつ」は、お子様にとってもご家族にとっても、とても辛いものです。それに耐えかね、受験を投げ出してしまうご家族も少なくありません。そのお気持ちは、よくわかります。
でも、あきらめるのは、ちょっと待って下さい。多くのお子様が「受験うつ」のドン底から立ち直り、志望校への合格通知を手にされています。まずは、一日も早く検査をお受けになることを強くおすすめします。少しだけ勇気を出して、お子様の未来のために第一歩を踏み出しましょう。