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休職を考え始めたら?心身のSOSサインと賢い進め方|復職への道

最近、仕事に行くのがつらい
体がだるくて、なかなかベッドから出られない

もしあなたが今、このような状況で「休職」という言葉が頭をよぎっているのであれば、それは心や体がSOSを発しているサインかもしれません。
休職は、決して「逃げ」や「終わり」ではありません。
むしろ、心身の健康を取り戻し、キャリアを再構築するための大切な「一時停止」の期間です。

この記事では、休職を考え始めたあなたが、自身の状況を客観的に把握し、適切な一歩を踏み出すための具体的な情報を提供します。
休職を検討し始める原因から、見逃してはいけない心身のサイン、実際に休職するまでの具体的なステップ、休職中の過ごし方、そしてその後の復職や退職といった選択肢まで、休職に関するあらゆる疑問に寄り添い、あなたの不安を少しでも和らげられるよう解説していきます。
一人で抱え込まず、あなたの状況に合った対処法を見つけるための参考にしてください。

目次

休職を考え始めるのはどんな時?

休職を「考え始める」瞬間は、人それぞれ異なります。
しかし、共通しているのは、これまでの働き方や環境が、心身に何らかの負担をかけ、限界に近づいていると感じている状態です。
漠然とした「疲労感」や「やる気のなさ」から始まり、やがて「このままではいけない」「もう耐えられない」という強い感情へと変化していくことがあります。

多くの場合、仕事におけるストレスが積み重なり、それが日常生活にまで影響を及ぼし始めた時に、「休職」という選択肢が現実味を帯びてきます。
自身の状況を客観的に把握するためにも、まずは休職を考え始める主な原因について確認してみましょう。

仕事で休職を考え始める主な原因

仕事は私たちの生活の大部分を占めるため、そこで生じる問題は心身に大きな影響を与えます。
休職を検討し始める背景には、以下のような具体的な原因が潜んでいることが少なくありません。

業務過多・長時間労働

現代社会において、業務過多や長時間労働は多くの職場で問題となっています。
終わりの見えない残業、休日出勤の常態化、度重なるノルマ達成へのプレッシャーなどにより、心身の疲労が蓄積し、やがて限界を迎えることがあります。

例えば、常に複数のプロジェクトを抱え、毎日深夜まで働き続けるような状況では、十分な休息を取ることができず、思考力や判断力の低下を招きます。
肉体的な疲労だけでなく、「いつまでこの状態が続くのか」という精神的な疲弊も大きく、燃え尽き症候群のような状態に陥るケースも少なくありません。
本来のパフォーマンスを発揮できなくなり、ミスが増えることで自己肯定感が下がり、さらに悪循環に陥ることもあります。

人間関係の悩み

職場における人間関係の悩みは、業務内容そのものよりも大きなストレス源となることがあります。
上司からのハラスメント、同僚との協調性の問題、部下とのコミュニケーション不全など、さまざまな形で人間関係のストレスは生じます。

たとえ仕事内容が好きであっても、毎日顔を合わせる相手との関係がこじれていれば、出社すること自体が苦痛になるでしょう。
特に、パワハラやモラハラといったハラスメントを受けている場合、精神的なダメージは計り知れません。
これらの問題は、個人の努力だけで解決が難しいことが多く、第三者(人事、産業医、外部機関など)の介入が必要になるケースも珍しくありません。

仕事内容への不満・キャリアへの不安

自分の能力や興味と仕事内容が合っていない、やりがいを感じられない、あるいは将来のキャリアパスが見えないといった不満も、休職を考えさせる原因となり得ます。

例えば、「この仕事は本当に自分がやりたかったことなのか」「この会社にいて、自分のスキルは成長するのか」といった疑問を抱え続けることは、モチベーションの低下に直結します。
特に、与えられた業務が単調であったり、自分の専門性を活かせなかったりする場合、日々の業務に意味を見出せず、精神的に疲弊していくことがあります。
また、今後のキャリアに対する漠然とした不安も、心の負担を増大させます。

会社の将来性への懸念

自分が所属する会社の将来に対する懸念も、従業員のストレスとなることがあります。
経営不振による業績悪化、頻繁な組織変更、不透明な人事評価制度などは、従業員に「この会社にいても大丈夫なのか」という不安を抱かせます。

具体的には、会社の業績悪化による給与カットやリストラの噂、頻繁な部署異動、または企業文化の劇的な変化などが挙げられます。
このような状況では、従業員は常に不安定な状態に置かれ、仕事に集中しにくいだけでなく、将来への漠然とした不安から心身のバランスを崩しやすくなります。

休職を考え始めるサインとは?

休職を検討する前に、自身の心身がどのような状態にあるのか、そのサインを見極めることが非常に重要です。
初期の段階でこれらのサインに気づき、適切な対処を始めることが、症状の悪化を防ぎ、より早期の回復につながります。
以下に挙げるサインに心当たりがないか、チェックしてみてください。

身体的なサイン

心と体は密接に繋がっており、精神的なストレスは身体的な不調として現れることが多くあります。
これらの症状は、病院で検査を受けても異常が見つからないこともあり、「気のせい」と見過ごされがちですが、決して軽視してはいけません。

睡眠に関する不調(入眠困難・中途覚醒)

ストレスが高まると、自律神経のバランスが乱れ、睡眠に大きな影響が出ることがあります。

  • 入眠困難: ベッドに入っても、仕事のことや不安なことが頭から離れず、なかなか寝付けない。
  • 中途覚醒: 夜中に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けない。
  • 早朝覚醒: 朝、予定よりも早く目が覚めてしまい、再び眠ることができない。
  • 熟眠感の欠如: 十分な時間寝たはずなのに、朝起きても疲れが取れていない。

このような睡眠の質の低下は、日中の集中力や判断力に影響を与え、さらなるストレスやミスの原因となる悪循環を生み出す可能性があります。

食欲・消化器系の不調(食欲不振・美味しく感じない)

ストレスは、食欲や消化器系の機能にも影響を及ぼします。

  • 食欲不振: 好きな食べ物を見ても食欲が湧かない、食事の時間が億劫に感じる。
  • 過食・拒食: ストレスからくる過食に走る、または逆に全く食事が喉を通らない。
  • 味覚の変化: 食事が美味しく感じられない、何を食べても味がしないように感じる。
  • 消化器系の不調: 胃の痛み、胃もたれ、吐き気、下痢や便秘の症状が続く。

これらの症状は、栄養状態の悪化や体力の低下を招き、より心身の不調を深刻化させる可能性があります。

原因不明の身体的痛み(頭痛・肩こり・腰痛)

ストレスは、筋肉の緊張を引き起こし、様々な身体の痛みを誘発することがあります。

  • 頭痛: 慢性的な頭痛や、特定の時間帯に頻繁に起こる頭痛。市販薬が効きにくい。
  • 肩こり・首こり: 肩や首の筋肉が常にガチガチに硬くなり、マッサージをしても改善しない。
  • 腰痛: 特に思い当たる原因がないのに腰が痛む、または悪化する。
  • めまい・耳鳴り: ふとした瞬間にめまいがする、または耳鳴りが続く。
  • 動悸・息切れ: ストレスを感じた際に、心臓がドキドキしたり、息苦しくなったりする。

これらの痛みや不調が、病院で検査を受けても原因が見つからない場合、精神的なストレスが原因である可能性が高いです。

精神的なサイン

身体的なサインと並行して、精神面でも様々な変化が現れます。
これらのサインは、あなた自身の内側で何かが変化していることを示しています。

気分の落ち込み・ゆううつ感

最も一般的な精神的なサインの一つです。

  • 常に気分が晴れない: 何をしていても楽しいと感じられず、憂鬱な気分が続く。
  • 悲しみや絶望感: 将来に希望が持てない、漠然とした悲しみに襲われる。
  • 理由のない涙: テレビを見ていたり、音楽を聴いていたり、特に理由がないのに涙が出てしまう。

このような感情が続く場合、うつ病などの精神疾患の可能性も考えられます。

意欲の低下・何もする気が起きない

これまで意欲的に取り組んでいたことへの関心が薄れ、行動すること自体が億劫になります。

  • 仕事への意欲喪失: 仕事に取り組む気力が湧かない、業務をこなすのがやっと。
  • 趣味や楽しみへの関心低下: 以前は楽しかった趣味や活動が、面倒に感じる。
  • 身の回りのことへの無関心: 入浴や着替え、食事の準備など、日常生活の基本的なことすら億劫に感じる。

これは、心にエネルギーが不足している状態であり、無理に活動しようとするとかえって疲弊します。

集中力・記憶力の低下

認知機能にも影響が出ることがあります。

  • 集中力の散漫: 仕事中にぼーっとすることが増え、なかなか作業に集中できない。
  • ミスが増える: これまで簡単にできていた単純な作業でミスを繰り返す。
  • 物忘れがひどくなる: 人の名前や約束を忘れる、指示された内容が思い出せない。
  • 判断力の低下: 簡単な決断すらできなくなり、思考がまとまらない。

これらの症状は、業務効率の低下だけでなく、自己肯定感の低下にもつながり、さらなる精神的負担を生み出します。

感情の起伏が激しい・涙が出る

感情のコントロールが難しくなることもサインの一つです。

  • イライラしやすい: 些細なことで怒りを感じやすくなる、家族や友人にも感情的に接してしまう。
  • 突然の涙: 突然悲しくなり、涙が止まらなくなることがある。
  • 無感情: 喜怒哀楽の感情が薄れ、何も感じられなくなる。

感情のコントロールが難しいと感じる場合、精神的な疲弊がかなり進んでいる可能性があります。

日常生活でのサイン

仕事や精神面だけでなく、日常生活にも変化が現れることがあります。

趣味や楽しみへの関心がなくなる

休職を考え始めるほど疲弊している場合、仕事以外の楽しみや活動への意欲も失われがちです。

  • 以前は熱中していた趣味(読書、ゲーム、スポーツなど)に全く手がつかない。
  • 友人や家族との交流が億劫になり、誘いを断るようになる。
  • 休日も何もする気が起きず、一日中ぼーっとしている。

人生の喜びを感じられなくなることは、心からのSOSと言えるでしょう。

会社に行くのが怖い・億劫

出社することへの抵抗感が強くなるのも、重要なサインです。

  • 日曜日の夕方から気分が落ち込む「サザエさん症候群」が顕著になる。
  • 朝、会社に行く前に吐き気や腹痛がする。
  • 会社に着くと、強い不安感や動悸に襲われる。
  • 「会社を休みたい」という考えが常に頭を占めるようになる。

このような身体的・精神的な抵抗感は、職場環境や業務内容があなたにとって大きな負担になっていることを示しています。

過度な飲酒・喫煙

ストレスを解消しようとして、飲酒や喫煙の量が増えることもあります。

  • 寝酒の量が増え、アルコールに頼らなければ眠れなくなる。
  • 仕事のストレスから、タバコの本数が増える。
  • 暴飲暴食に走る。

これらは一時的な気晴らしにしかならず、根本的な問題解決にはつながりません。
かえって健康を損ね、依存症のリスクを高める可能性があります。

休職を考え始めたらまずやるべきこと

もしあなたが上記のサインに一つでも当てはまると感じたら、まずは具体的な行動を起こすことを検討しましょう。
一人で抱え込まず、段階的に準備を進めることが重要です。

会社の就業規則を確認する

休職を検討する上で最初にやるべきことは、自分が所属する会社の就業規則を確認することです。
休職制度は、法律で義務付けられているものではなく、企業によってその内容が大きく異なります。

就業規則で確認すべき主な項目は以下の通りです。

  • 休職制度の有無: そもそも会社に休職制度があるか。
  • 休職の種類: 病気休職、私傷病休職、自己都合休職など、どのような種類の休職が認められているか。
  • 休職の取得条件: 勤続年数、診断書の提出義務、具体的な症状の程度など。
  • 休職期間: 最大でどれくらいの期間休職できるのか。延長は可能か。
  • 給与の扱い: 休職中の給与が支払われるか、無給なのか、一部支給なのか。
  • 社会保険料の支払い: 健康保険、厚生年金保険料の自己負担分の支払い方法。
  • 復職の手続き: 復職する際の条件(医師の診断書、産業医面談など)やプロセス。

これらの情報は、会社の規定集や社内ポータルサイトで確認できることが多いです。
もし見つからない場合は、人事部や総務部に問い合わせてみましょう。
ただし、この段階で「休職したい」と直接伝えるのではなく、「休職制度について知りたい」という形で尋ねるのが良いでしょう。

医師に相談し、診断書をもらう

会社の就業規則を確認したら、次に医師に相談し、診断書をもらうことが重要です。
多くの場合、休職制度の利用には医師の診断書が必須となります。

どの医師に相談すべきか?

  • 精神科・心療内科: 精神的な不調が主な原因であれば、精神科や心療内科の受診が適しています。
    専門医が症状を診断し、適切な休養や治療の必要性を判断してくれます。
  • かかりつけ医: まずはかかりつけの内科医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうことも可能です。
  • 産業医: 会社に産業医がいる場合は、まずは産業医に相談することも選択肢の一つです。
    産業医は、従業員の健康管理や職場環境の改善をサポートする専門家であり、守秘義務があります。
    ただし、産業医は会社側の人間でもあるため、直接休職の判断を下すというよりは、専門医への受診を勧めたり、会社との橋渡し役を担ってくれたりする役割が大きいです。

診察時に伝えるべきこと

医師には、自身の症状について具体的に、正直に伝えることが重要です。

  • いつから、どのような症状が続いているか(睡眠、食欲、気分、身体の痛みなど)。
  • 仕事の内容や職場環境でストレスを感じていること。
  • 日常生活に支障が出ていること(趣味への関心の低下、外出が億劫など)。
  • 休職を検討していること。

医師はこれらの情報をもとに、あなたの心身の状態が休職を必要とするかどうかを判断し、必要であれば診断書を作成してくれます。
診断書には、病名、症状の程度、必要な休養期間(例:〇ヶ月程度の休養が必要)などが記載されます。

休職届・診断書を提出する

医師から診断書を受け取ったら、いよいよ会社に休職を申し出る段階に入ります。
このプロセスは、会社の規定によって異なりますが、一般的には以下の流れで進めます。

  1. 直属の上司に連絡する: まずは直属の上司に、心身の不調により業務遂行が困難であることを伝え、休職を希望する旨を相談します。
    電話やメールでも構いませんが、できれば対面で、それが難しければ電話で直接話すのが望ましいでしょう。
  2. 診断書を提出する: 医師から発行された診断書を会社に提出します。
    提出先は上司、人事部、または産業医の場合があります。
    会社の指示に従いましょう。
  3. 休職届を提出する: 会社指定の休職届がある場合は、必要事項を記入して提出します。
    書式がない場合は、自分で作成して提出することもあります。
    休職届には、休職期間、休職理由などを記載します。

この段階で、今後の連絡方法(メール、電話など)や、休職中の業務の引き継ぎについて話し合うことになります。

休職理由の伝え方

休職を申し出る際、休職理由をどのように伝えるかは非常に重要です。
具体的に症状を伝えることは必要ですが、詳細すぎるプライベートな情報まで開示する必要はありません。

ポイント:

  • 正直に、かつ簡潔に: 「心身の不調により、業務を継続することが困難なため、医師から〇ヶ月の休養が必要との診断を受けました。」など、診断書の内容に基づいて伝えます。
  • 具体的な症状を伝える: 「睡眠が取れず、集中力が低下している」「常に疲労感が抜けず、動悸がする」といった具体的な症状を伝えることで、あなたの状況の深刻さを理解してもらいやすくなります。
  • 病名を伝えるかは慎重に: 精神疾患の場合、病名を伝えることに抵抗があるかもしれません。
    無理に伝える必要はなく、「心身の不調」という表現で十分な場合もあります。
    ただし、会社によっては診断書に病名の記載を求める場合もあるので、その場合は医師と相談し、必要に応じて記載してもらいましょう。
  • 回復への意欲を示す: 「休養期間中にしっかり回復し、復職後には貢献したいと考えております」といった前向きな姿勢を示すことで、会社側の理解も得やすくなります。

会社によっては、休職の手続きや期間、復職後のポジションなどについて、個別面談を求められることもあります。
その際は、冷静に自身の状況を説明し、会社との合意形成を図ることが大切です。

休職期間中にやってはいけないこと

休職期間は、心身の回復に専念するための大切な時間です。
この期間を効果的に過ごすためには、意識的に避けるべき行動があります。
誤った過ごし方は、回復を遅らせ、復職後の再休職リスクを高めることにつながりかねません。

仕事のことばかり考える

休職しているにもかかわらず、仕事のことが頭から離れないのは、回復を妨げる大きな要因です。

  • 「あのプロジェクトはどうなっているだろうか?」
  • 「自分の担当業務は誰が引き継いでくれたのだろう?」
  • 「休んでいる間に、周りからどう思われているだろうか?」

このような思考は、心身の休養を阻害し、ストレスを再燃させてしまいます。
休職中は意識的に仕事から距離を置き、完全に「オフ」の状態になることが重要です。
仕事関係のメールや連絡ツールは確認しない、同僚との仕事の話は避けるなど、物理的・精神的に仕事と切り離す工夫をしましょう。

焦って復職準備をする

「早く復職しなければ」「休んでいる間にキャリアに遅れが出る」といった焦りも禁物です。

  • 休職して間もないのに、復職後の業務計画を立て始める。
  • まだ体調が戻りきっていないのに、資格の勉強やスキルアップのための活動を始める。
  • 会社への復職時期を短期間に設定し、無理な目標を立てる。

回復が不十分なまま復職を急ぐと、多くの場合、再び体調を崩し、再休職につながるリスクが高まります。
休職の目的は、心身を十分に回復させることです。
医師と相談しながら、自身のペースで回復の段階を見極め、復職の準備は体調が安定してから段階的に進めるようにしましょう。

人生の決断(転職など)

心身が疲弊している状態では、冷静な判断が難しくなります。

  • 「休職したついでに、もう会社を辞めて転職しよう」
  • 「この機会に、全く違う業界にキャリアチェンジしよう」
  • 「引越しをして環境をガラッと変えよう」

休職中は、精神的なエネルギーが低下しているため、後悔するような大きな決断を下しやすい傾向にあります。
転職や退職、引っ越しなどの人生の大きな決断は、心身が十分に回復し、冷静に物事を考えられるようになってから行うようにしましょう。
まずは回復に専念し、その上で将来の選択肢をじっくり検討することが大切です。

過度な飲酒・喫煙

ストレス解消や気晴らしのために、飲酒や喫煙の量が増えることは、回復を阻害します。

  • 毎日大量にお酒を飲む。
  • タバコの本数が大幅に増える。

これらは一時的な現実逃避にしかならず、心身の健康には逆効果です。
アルコールやニコチンは、睡眠の質を低下させたり、精神状態を不安定にさせたりする可能性があります。
また、精神疾患の治療薬を服用している場合は、薬との相互作用で健康を害するリスクもあります。
適切なストレス解消法を見つけ、健康的な生活習慣を心がけましょう。

休職中の給与・社会保険料について

休職を検討する際、最も気になるのが金銭的な側面ではないでしょうか。
「休職中に給与は出るのか?」「社会保険料の支払いはどうなる?」といった疑問は、休職への不安を大きくする要因となります。

休職中の給与はどうなる?

休職中の給与については、会社の就業規則によって大きく異なります。
一般的には、以下のいずれかのケースが多いです。

  • 無給: 多くの会社では、休職期間中は給与が支払われないことが一般的です。
  • 一部支給: 一部の会社では、休職期間の最初の数週間から数ヶ月間、基本給の何割かが支給される場合があります。
  • 有給休暇の消化: 休職に入る前に、残っている有給休暇を消化することを求められる、または推奨される場合があります。

傷病手当金の活用

会社からの給与が支給されない場合でも、健康保険から「傷病手当金」が支給される可能性があります。
傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだ際に、被保険者とその家族の生活を保障するための制度です。

項目 内容
支給条件 ・業務外の病気やケガで療養していること(業務上の病気・ケガは労災保険の対象)
・仕事に就くことができないこと
・連続する3日間(待期期間)を含む4日以上仕事を休んでいること
・休業期間中に給与の支払いがない、または支払いがあっても傷病手当金の額より少ないこと
支給額 支給開始日の以前12ヶ月間の標準報酬月額を平均した額の約2/3
支給期間 支給開始日から最長1年6ヶ月
申請方法 会社を通じて、または直接健康保険組合(協会けんぽ)に申請。
医師の意見書や会社の証明が必要。

※傷病手当金は、支給開始から通算して1年6ヶ月が上限となります。
途中で復職し、再度休職した場合は、通算期間に含まれます。
詳細な条件や手続きは、加入している健康保険組合や会社の人事部に確認しましょう。

社会保険料の支払いについて

休職期間中も、原則として健康保険料と厚生年金保険料(社会保険料)は発生します。

  • 自己負担分: 通常、給与から天引きされている自己負担分の保険料は、休職期間中も支払う必要があります。
  • 会社負担分: 会社が負担している分の保険料は、休職期間中も会社が支払い続けることが一般的です。

支払い方法:

  • 会社が一時的に立て替える: 会社が自己負担分も含めて一時的に立て替え、復職後に給与から一括で徴収するケース。
  • 個人で会社に振り込む: 毎月、自分で会社指定の口座に振り込むケース。
  • 休職前に一括で支払う: 休職に入る前に、数ヶ月分をまとめて支払うケース。

支払い方法は会社によって異なるため、必ず人事部や総務部に確認し、未払いが起こらないように注意しましょう。
特に長期の休職を予定している場合は、事前に支払い計画を立てておくことが重要です。

休職中に転職活動はできる?

休職期間中に転職活動ができるかどうかは、多くの人が抱く疑問です。
結論から言うと、休職中の転職活動は可能ですが、いくつかの注意点があります。

原則として回復優先:

まず大前提として、休職の目的は心身の回復にあります。
体調が十分に回復していない状態で転職活動を行うことは、新たなストレスを生み出し、回復を遅らせる原因となります。
焦って転職先を決めても、再び同じような状況に陥ってしまう可能性も否定できません。
まずは体調を最優先し、医師と相談しながら、回復の度合いを見極めることが重要です。

転職活動を検討するタイミング:

  • 心身が十分に回復し、医師から復職可能と判断された後: これが最も推奨されるタイミングです。
    回復した状態で冷静にキャリアプランを考え、新たなスタートを切ることができます。
  • 休職期間が長く、復職が難しいと判断した場合: 会社から復職が難しいと判断された場合や、自分自身が今の職場への復職は望まないと感じた場合、休職期間中に転職活動を検討することも選択肢の一つとなります。
    ただし、この場合も体調が安定していることが条件です。

注意点:

  1. 体調の管理: 転職活動は、書類作成、面接準備、企業研究など、かなりのエネルギーを要します。
    体調を崩さないよう、無理のない範囲で進めることが重要です。
  2. 休職の事実は伝えるべきか: 転職活動において、現職で休職中であることを伝えるかどうかはデリケートな問題です。
    基本的には正直に伝えるべきですが、伝え方には工夫が必要です。
    「心身の不調により休職しているが、現在は回復しており、〇月には復職予定(または退職予定)である」など、ポジティブな回復状況と今後の見通しを伝えることが重要です。
    ただし、企業によっては休職期間が長いことを懸念する可能性もあります。
  3. 情報収集と準備: 転職活動を始める前に、自己分析をしっかり行い、自身の強みや希望するキャリアパスを明確にしておくことが大切です。
    また、転職エージェントなどの専門家を活用することで、休職中の転職活動に関するアドバイスやサポートを受けることも可能です。

休職中に転職活動を行うことは、必ずしも悪いことではありません。
しかし、最も大切なのはあなたの健康です。
自身の体調と相談しながら、慎重に、そして計画的に進めるようにしましょう。

休職したら終わり?復職・退職の選択肢

「休職したら、もう会社でのキャリアは終わりだ」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、休職は決してキャリアの終わりを意味するものではありません。
休職を経験した後に復職し、以前よりも健康的に活躍している人も大勢います。
一方で、休職中に自身のキャリアを見つめ直し、転職や退職という道を選ぶ人もいます。
ここでは、休職後の主要な選択肢について解説します。

休職から復職への道のり

休職からの復職は、一足飛びにできるものではありません。
心身の回復度合いに応じて、段階的に進めることが推奨されます。
一般的な復職への道のりは以下の通りです。

  1. 回復期:
    • 休養に専念: 休職初期は、仕事から完全に離れ、心身を休ませることに集中します。
      医師の指示に従い、治療や休息を行います。
    • 生活リズムの改善: 規則正しい生活習慣を取り戻し、睡眠や食事の質を改善します。
    • 軽めの活動開始: 体調が安定してきたら、散歩や軽い運動、趣味など、負担の少ない活動から徐々に再開します。
  2. リハビリ期(職場復帰支援プログラム):
    • 通院・カウンセリングの継続: 医師との面談やカウンセリングを続け、体調の経過を共有します。
    • リワークプログラムの利用: 会社が提供している、または外部のリワーク施設で行われる職場復帰支援プログラムに参加します。
      これは、生活リズムの再構築、ストレス対処法の習得、模擬業務などを通じて、スムーズな復職を目指すものです。
    • 試し出社・短時間勤務: 会社と相談し、本格的な復職の前に、数時間程度の「試し出社」や、短時間勤務から開始する「リハビリ出勤」を検討します。
      これは、職場環境に慣れることや、自分の体調が仕事に耐えられるかを確認する良い機会になります。
  3. 復職判定:
    • 医師からの復職可能診断: 医師があなたの心身の状態が復職に耐えられると判断し、「復職可能」の診断書を発行します。
    • 産業医との面談: 会社に産業医がいる場合、産業医との面談を通じて、あなたの状態や復職後の業務内容、配慮事項などについて話し合います。
    • 会社との最終調整: 復職のタイミング、部署、業務内容、勤務形態(時短勤務など)について、会社と最終的な合意を形成します。

復職後は、再休職を防ぐためにも、無理は禁物です。
必要に応じて、部署異動や業務内容の変更、時短勤務などの配慮を会社に求めることも重要です。
また、定期的に産業医や人事担当者と面談し、自身の体調や業務状況を共有することも有効です。

休職中に退職を決断する場合

休職期間中に、今の会社を退職するという選択肢を検討する人もいます。
これは、様々な理由から今の職場への復帰が難しいと判断した場合に現実的になります。

退職を決断する主な理由:

  • 根本的な原因の解消が難しい: 職場の人間関係や企業文化、業務内容そのものが、休職の原因であり、復職しても状況が変わらないと判断した場合。
  • キャリアプランの変更: 休職中に自己を見つめ直し、今の仕事や業界では実現できないキャリアを目指したいと考えるようになった場合。
  • 心身の回復を優先: 復職へのプレッシャーが大きく、無理なく回復に専念するためには退職が最善だと判断した場合。
  • 会社の復職支援が不十分: 会社に十分な復職支援体制がなく、安心して復職できないと感じた場合。

退職を決断する際の注意点:

  1. 心身が十分に回復してから: 退職という大きな決断は、心身が安定し、冷静に判断できる状態で行うべきです。
    焦って決断すると、後悔する可能性があります。
  2. 金銭的な計画: 退職後の生活費、転職活動費用などを考慮し、十分な貯蓄があるか、傷病手当金の支給期間は残っているかなどを確認し、金銭的な計画を立てておくことが重要です。
  3. 次のステップの検討: 退職後にすぐに転職活動を始めるのか、しばらく休養を続けるのか、具体的な次のステップを考えておきましょう。
  4. 会社への伝え方: 円満退職できるよう、会社には丁寧に状況を伝え、退職の手続きを進めることが大切です。
    休職中に退職届を提出する場合でも、可能であれば一度出社して、お世話になった方々へ挨拶をする機会を設けるのが望ましいです。

休職後の選択は、あなたの人生にとって非常に重要な決断となります。
焦らず、自身の心と体の声に耳を傾け、必要であれば家族や友人、キャリアカウンセラーなど、信頼できる人に相談しながら、最善の道を選びましょう。

まとめ:休職を考え始めたら専門家へ相談を

「休職を考え始める」という段階は、あなたの心身がこれ以上無理を続けるのは危険だというサインを発している重要な時期です。
このサインを見逃さず、適切に対応することが、心身の健康を守り、将来のキャリアを健やかに継続していくために不可欠です。

この記事では、休職を考え始める原因や、見逃してはいけない心身のサイン、実際に休職を検討する際の具体的なステップ、休職中の過ごし方、そしてその後の復職や退職といった選択肢まで、幅広く解説してきました。

休職は、決して「逃げ」や「キャリアの終わり」ではありません。
むしろ、立ち止まって自分自身を労り、必要な治療や回復期間を確保することで、長期的に見てより良いキャリアを築くための「戦略的な一時停止」と捉えることができます。

最も重要なのは、一人で抱え込まず、専門家へ相談することです。

  • 医師(精神科・心療内科): あなたの心身の状態を客観的に診断し、休職の必要性や適切な治療法についてアドバイスしてくれます。
    診断書の発行もここで行われます。
  • 会社の産業医・人事部: 会社の休職制度や手続き、休職中の給与や社会保険料について具体的な情報を提供し、会社との調整役を担ってくれます。
  • 家族や友人: 信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、心の負担が軽減されることがあります。
  • 外部のカウンセリング機関: 会社とは関係のない第三者に相談することで、客観的な視点からのアドバイスや心のケアを受けることができます。

あなたの心身の健康が何よりも大切です。
もし今、「休職」という言葉が頭をよぎっているのであれば、それは行動を起こすべきタイミングかもしれません。
勇気を出して一歩を踏み出し、あなたの心と体を守るための最善の選択をしてください。

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