MENU

20代で休職?原因と対策を専門家が徹底解説|未経験でも安心

20代で「休職」という言葉が頭をよぎるあなたは、もしかしたら心身の限界を感じているのかもしれません。新しい環境への適応、キャリアへの期待と現実のギャップ、人間関係の悩みなど、20代は多くのプレッシャーに直面しやすい時期です。そんな中で体調を崩し、休職を考えることは決して珍しいことではありません。このガイドでは、あなたが安心して休職を検討し、今後の道を切り開けるよう、休職の原因から具体的な手続き、休職中の過ごし方、そして復帰や新たな選択肢までを詳しく解説します。

20代で休職を検討する背景には、様々な要因が複雑に絡み合っています。特に社会人としての経験が浅く、ストレス耐性が未熟な時期であるため、心身の不調をきたしやすいと言えるでしょう。ここでは、20代の方が休職を考える主な理由や原因について、具体的に掘り下げていきます。

メンタルヘルスの不調が原因の休職

20代の休職理由として最も多いのが、メンタルヘルスの不調です。新社会人として働き始め、責任の重さや職場の人間関係、仕事のプレッシャーなど、これまでに経験したことのないストレスに直面することが多くあります。特に20代は、キャリアの方向性や自身の成長への焦りを感じやすく、それがストレスの要因となることも珍しくありません。

具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • うつ病:気分の落ち込みが続き、興味や喜びを感じられなくなるのが特徴です。以前は楽しんでいた趣味にも関心が持てなくなり、何もする気力が湧かないといった状態が続きます。睡眠障害(寝付けない、夜中に何度も目が覚める、朝早くに目覚めてしまう)や食欲不振、あるいは過食といった症状、さらには集中力の低下や判断力の鈍化が見られ、業務に支障をきたします。朝起きられない、常に体が重い、頭痛や吐き気がするといった身体症状を伴うことも少なくありません。
  • 適応障害:特定のストレス源(職場環境、人間関係、仕事内容など)によって引き起こされる精神的な不調で、ストレス源から離れると症状が軽減するのが大きな特徴です。仕事に行く前になると強い不安や動悸を感じる、会社ではなんとか平静を装っていても、家に帰ると涙が止まらなくなる、怒りっぽくなる、引きこもりがちになるなどの症状が見られます。
  • 不安障害:漠然とした不安感が常に付きまとう状態や、特定の状況下で強い不安を感じる状態です。人前での発表や会議で強い緊張を感じ、動悸や発汗、震えといったパニック発作のような症状に見舞われる社交不安障害なども含まれます。仕事中に突然息苦しくなる、漠然とした将来への不安から夜も眠れないといった症状が現れることがあります。
  • 燃え尽き症候群(バーンアウト):仕事への熱意が失われ、極度の疲労感、虚無感、無気力に陥る状態です。特に真面目で責任感が強く、仕事に情熱を注いできた人に起こりやすいとされています。以前は積極的に取り組んでいた業務に対して無関心になったり、顧客や同僚に対して冷淡な態度をとるようになったりするなどの変化が見られます。

これらのメンタル不調は、20代に特有の「将来への漠然とした不安」「キャリアパスへの迷い」「周囲との比較」といった心理的要因とも密接に関わっています。SNSなどで他者の成功が目につきやすい現代において、自分だけが遅れていると感じ、焦りや劣等感を募らせることも、心の大きな負担となり得るでしょう。例えば、同期は昇進したのに自分は現状維持であることに劣等感を抱き、知らず知らずのうちにストレスをため込むケースも少なくありません。

身体的な疲労・体調不良による休職

心の不調だけでなく、身体的な疲労や体調不良も休職の大きな原因となります。長時間労働や不規則な勤務、十分な休息が取れない生活が続くと、身体は限界を迎えてしまいます。特に20代は、徹夜や休日出勤を繰り返すなど、無理が効く時期だと思われがちですが、身体のサインを見逃すと後々深刻な影響を及ぼすことがあります。

20代で経験しやすい身体的なサインには、以下のようなものがあります。

  • 慢性的な頭痛やめまい:毎日頭痛がする、立ち上がるとふらつく、ふわふわとした浮遊感があるといった症状が続く場合。特に、片頭痛や緊張型頭痛が悪化したり、原因不明のめまいが頻発したりすることがあります。
  • 胃腸の不調:ストレス性の胃炎や胃潰瘍、過敏性腸症候群(IBS)などにより、慢性的な胃もたれ、吐き気、便秘や下痢の繰り返しなど。通勤途中や会社に行く前にお腹が痛くなる、会議中に腹痛が起こるといった心因性の症状も見られます。
  • 睡眠障害:寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早くに目覚めてしまう、あるいは寝すぎてしまうといった、質の良い睡眠が取れない状態。十分な睡眠時間が取れないことによる日中の強い眠気や倦怠感が、業務効率を著しく低下させます。
  • 肩こり、腰痛、眼精疲労:デスクワークや立ち仕事など、長時間同じ姿勢を続けることによる身体の痛みや凝り。特に、パソコンやスマートフォンを長時間使用することによる眼精疲労は、頭痛や吐き気、集中力低下にもつながります。
  • 自律神経の乱れ:動悸、息苦しさ、発汗、冷え、しびれ、耳鳴りなど、自律神経のバランスが崩れることで起こる多様な症状。これらの症状は病院で検査を受けても「異常なし」と診断されることが多く、精神的なストレスが原因であることが少なくありません。

これらの症状は、日々の業務における身体的負担だけでなく、精神的なストレスが身体症状として現れている場合も多くあります。例えば、プレゼンの前日になると必ず胃が痛くなる、といったように、ストレスが特定の身体部位に集中して現れることもあります。若いうちは無理が効くと考えがちですが、身体のサインを見逃さず、早期に対応することが重要です。無理を続けることで、より重篤な病気へと発展する可能性もあります。

その他の休職理由(ハラスメント・人間関係など)

メンタルや身体の不調以外にも、職場環境に起因する様々な問題が休職の引き金となることがあります。20代は、学生時代とは異なる社会の人間関係やルールに戸惑いやすい時期でもあり、特に職場の人間関係のストレスが仕事のモチベーションを大きく左右します。

具体的な例としては、以下の要因が挙げられます。

  • ハラスメント
    • パワーハラスメント(パワハラ):上司からの過度な叱責、人格否定、無視、不当な業務命令、達成不可能なノルマの強制など。例えば、「お前は社会人失格だ」「こんなこともできないのか」といった言葉を日常的に浴びせられたり、他の社員がいる前で執拗に叱責されたりすることで、精神的に追い詰められるケースです。
    • モラルハラスメント(モラハラ):陰湿な嫌がらせ、精神的な攻撃、集団での無視、噂の流布など。直接的な暴力はないものの、精神的に追い詰める行為が続き、職場にいること自体が苦痛となることがあります。
    • セクシャルハラスメント(セクハラ):性的な言動による精神的苦痛。性的な冗談、身体への不必要な接触、性的な内容の質問などが該当します。

    ハラスメントは、個人の尊厳を傷つけ、職場への信頼を失わせ、心身の健康を著しく損なう深刻な問題です。ハラスメントを受けている場合、会社に相談窓口があっても、報復を恐れて声を上げられないことも多く、孤立感から休職を選ばざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

  • 職場の人間関係の悪化:同僚との軋轢、部署内での孤立、チーム内の協力体制の欠如、派閥争いなど。仕事そのものに不満がなくても、人間関係のストレスが非常に大きく、毎日出社することが苦痛に感じられるようになります。特に20代は、学生時代の友人関係とは異なる、利害関係が絡む職場の人間関係の構築に難しさを感じ、大きな負担となることがあります。ランチの時間に一人になるのが辛い、休憩中に話す相手がいない、といった些細なことが積み重なってストレスになることもあります。
  • 仕事内容とのミスマッチ・キャリアパスへの不安
    • 入社前のイメージと実際の業務内容が大きく異なる。例えば、クリエイティブな仕事だと思って入社したら、実際は単純な事務作業ばかりだった、といったケース。
    • 自分のスキルや能力が活かされていないと感じ、成長機会がないと不満を抱く。
    • 将来のキャリアアップが見込めない、あるいは漠然とした将来への不安から、現在の仕事に意味を見出せなくなる。
    • 努力しても成果が出ない、あるいは正当に評価されないと感じ、モチベーションが著しく低下する。

    これらの要因は、仕事への情熱を失わせ、日々の業務に虚無感を感じる原因となります。20代はキャリア形成の重要な時期であり、自身の成長や将来への期待が高い分、ミスマッチによるストレスも大きくなりがちです。

  • 個人的な事情
    • 家族の介護や看病、親族の不幸、自身の怪我や病気(仕事とは無関係なもの)など、家庭の事情によるもの。
    • 配偶者の転勤に伴う引っ越しなど、住環境の変化に対応するための休職。

    個人的な事情であっても、会社の就業規則に規定があれば休職制度が適用される場合があります。

これらの原因が単独で起こることもあれば、複数組み合わさって心身のバランスを崩すこともあります。いずれにせよ、体調の異変や精神的な辛さを感じたら、決して一人で抱え込まず、信頼できる人に相談したり、専門機関を受診したりすることが大切です。早期の対応が、回復への近道となります。

休職を決意したら、次に気になるのは具体的な手続きや期間についてでしょう。「会社にどう伝えたらいいのか」「お金はどうなるのか」「いつまで休めるのか」といった不安を解消するため、ここでは休職に関わる重要な情報を解説します。

休職の申請方法と会社への伝え方

休職は、法的に定められた制度ではなく、会社の就業規則に基づいて運用されることが多いです。そのため、まずは自社の就業規則を確認することが最も重要です。

1. 最初の相談は直属の上司へ
体調不良が原因であっても、まずは直属の上司に現在の状況を簡潔に伝えましょう。この段階では、「体調が思わしくなく、業務に支障が出ている」「一度病院を受診したい」といった内容で十分です。具体的な病名や詳細な症状を無理に話す必要はありません。可能であれば、他の社員がいない時間帯や、別室で話せる機会を設けてもらいましょう。メールではなく、直接口頭で伝えるのが望ましいです。

2. 医療機関の受診と診断書の取得
心身の不調で休職を検討する場合、医師の診断書が必須となることがほとんどです。精神科、心療内科、内科など、症状に応じた専門医を受診し、現在の状態、休養の必要性、見込みの休職期間などを記載してもらいましょう。診断書は会社への正式な申請書類となります。
診断書をもらう際のポイント

  • 休養が必要なこと:明確に「自宅での休養が必要」と記載してもらう。
  • 休職期間の目安:「〇ヶ月程度の休養が必要」と期間を明記してもらう。
  • 復職の見込み:「休養により復職の見込みがある」旨を記載してもらうと、会社側も安心して休職を許可しやすくなります。
  • 病名については、診断書に記載する義務があるか否かは会社の規定や医師の判断によりますが、会社側から求められることが多いです。

3. 人事担当者との面談
診断書が準備できたら、会社の人事担当者と面談することになります。この面談では、診断書の内容に基づいて休職の必要性を説明し、会社の休職規定や制度(休職期間、給与の有無、社会保険の扱い、復職までの流れなど)について詳しく説明を受けます。この際に、休職中の会社との連絡頻度や連絡方法(メールのみ、緊急時のみ電話など)についても確認し、取り決めておきましょう。

会社への伝え方のポイント

  • 具体的な症状を伝える(病名まで踏み込む必要はないが、尋ねられたら答える覚悟を)
    「ここ数週間、不眠が続き、日中の集中力が著しく低下し、ミスが増えています」「通勤中に強い動悸や息苦しさを感じ、出社が困難な日が増えています」など、業務に支障が出ている具体的な状況を伝えましょう。感情的にならず、冷静に事実を伝えることが重要です。
  • 医師の診断を受けていることを伝える
    「医師から〇〇の診断を受け、一定期間の休養が必要との診断書をいただきました」と伝え、客観的な根拠を示すことで、休職の必要性を理解してもらいやすくなります。診断書の提出は必須です。
  • 休職することで回復を目指す意思を伝える
    「休職期間中に体調を回復させ、復職に向けてしっかり治療に専念したいと考えています」など、前向きな姿勢を示すことで、会社もサポートしやすくなります。将来的な復職の意思があることを示すことで、会社側も安心して休職を認めやすくなります。
  • 感謝と配慮のお願いを伝える
    「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。休職中もご配慮いただけますと幸いです」といった言葉を添えることで、円滑なコミュニケーションを保ちやすくなります。引き継ぎが必要な業務がある場合は、可能な範囲で協力する姿勢を見せましょう。

焦らず、冷静に、事実を伝えることに努めましょう。会社側もあなたの健康を案じていますし、休職はあなただけでなく会社にとっても損失を最小限に抑えるための選択肢の一つです。

休職期間中の給与・手当・社会保険

休職期間中の経済的な不安は、多くの人が抱えるものです。休職中は会社からの給与が支給されないケースがほとんどですが、公的な保障制度を利用できる可能性があります。

1. 傷病手当金

健康保険に加入している場合、病気やケガで仕事を休んだ際に「傷病手当金」を受け取ることができます。これは、労働者とその家族の生活を保障するための重要な制度です。

  • 支給条件
    • 業務外の病気やケガで療養していること(業務上の場合は労災保険の対象)。
    • 仕事に就くことができない状態であること:医師が「労務不能」と判断していることが前提です。
    • 連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること(待期期間):最初の連続する3日間は支給されず、4日目から支給対象となります。この3日間には土日祝日も含まれます。
    • 休業した期間について給与の支払いがないこと(給与の一部が支給される場合は、傷病手当金と給与の差額が支給)。
  • 支給期間:支給開始日から最長1年6ヶ月。この期間は、途中に仕事に復帰した期間があっても、同一の病気やケガにより再び休業した場合は、通算されます。
  • 支給額:原則として、支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額を平均した額の3分の2に相当する額が、1日あたりの支給額となります。具体的な金額は、加入している健康保険組合や過去の給与によって異なります。例えば、月給30万円(標準報酬月額30万円)の場合、日額は約6,667円(30万円 ÷ 30日 × 2/3)となります。

申請には医師の意見書や会社の証明が必要となるため、会社の人事担当者と連携を取りながら手続きを進めます。申請書類は健康保険組合や会社から入手できます。

2. 会社の給与支給

休職中の給与支給については、会社の就業規則に定められています。多くの企業では、休職期間中の給与は無給となるか、一定期間のみ(例:最初の1ヶ月のみ)基本給の一部を支給する、といったケースが多いです。事前に就業規則を確認し、不明な点は人事担当者に確認しましょう。中小企業では、休職中の給与保障がない場合も珍しくありません。

3. 社会保険料(健康保険・厚生年金保険)

休職中でも、健康保険と厚生年金保険の加入資格は継続されます。そのため、保険料は引き続き発生します。

  • 健康保険料・厚生年金保険料:原則として会社と折半で負担しますが、休職中は会社からの給与がないため、全額自己負担となる場合があります。会社によっては、会社負担分を立て替えてくれるケースや、給与天引きではなく振込で対応するケースなど様々です。支払いが滞ると、将来の年金受給額に影響が出たり、健康保険の資格を喪失したりする可能性があるので、必ず確認し、支払いを継続しましょう。
  • 住民税:前年度の所得に基づいて課税されるため、休職中でも支払い義務があります。会社が給与から天引きしていた場合は、休職中に自分で納付する方法(普通徴収)に切り替わる可能性があります。市区町村から送付される納付書で支払うことになります。
  • 雇用保険:休職中に雇用保険(失業給付)を受け取ることはできません。雇用保険は、離職して失業状態にある人が再就職するまでの生活を支援する制度だからです。ただし、休職期間満了後に退職する場合は、条件を満たせば受給対象となります。

これらの経済的な側面を理解し、不安を軽減するために、事前に会社の制度や公的支援についてしっかり確認しておくことが大切です。特に、月々の支払いが必要な社会保険料や住民税について、会社にどのように支払うのか、いつまでに支払うのかを明確にしておきましょう。

休職期間はどのくらい?クビになる?

休職期間の長さや、その後の復職・退職の可能性は、会社の就業規則によって大きく異なります。

1. 休職期間の目安

一般的に、メンタルヘルス不調による休職期間は、症状の回復度合いによって大きく変わりますが、数ヶ月から1年程度が目安となることが多いです。

  • 短期間(1~3ヶ月):軽度の体調不良や、一時的なストレスが原因の場合。症状が比較的早く改善し、復職の目途が立つケースです。
  • 中期間(3ヶ月~6ヶ月):適応障害や軽度のうつ病など、ある程度の休養と治療が必要な場合。この期間で症状が安定し、復職に向けたリハビリ期間に入ることもあります。
  • 長期間(6ヶ月~1年半):うつ病など、症状が重く、回復に時間を要する場合。傷病手当金の最長支給期間である1年6ヶ月を上限としている会社も多く、この期間中に回復を目指すことになります。

多くの企業では、休職できる最長期間が就業規則に明記されています。例えば、「勤続年数に応じて最長6ヶ月」「一律1年」などです。この期間を超えても復職が難しいと判断された場合、退職扱いとなるのが一般的です。休職期間が満了する数ヶ月前には、会社から今後の意向や復職の可能性について確認の連絡が入ることがほとんどです。

2. 休職中にクビになる可能性

日本の労働法では、正当な理由なく従業員を解雇することは厳しく制限されています。休職制度は従業員の治療・回復を支援するためのものであり、休職を理由にすぐに解雇されることはありません。休職は、労働契約は継続したまま、一時的に労働義務を免除する状態を指します。

ただし、以下の場合は退職となる可能性があります。

  • 休職期間満了後も復職が不可能と判断された場合:会社の定める休職期間の上限に達しても、医師の診断や会社の産業医の判断で「業務遂行能力が回復していない」「元の部署での業務が困難」と判断された場合、その時点で労働契約が終了し、「自然退職」となるのが一般的です。これは、解雇とは異なり、就業規則に則った契約終了となります。
  • 休職期間中に他の会社で働いていたことが判明した場合:休職は治療・療養に専念するための期間であるため、原則として他の会社で働くことは認められません。もし兼業やアルバイトをしていることが判明した場合、就業規則違反として懲戒処分の対象となり、最悪の場合、解雇につながる可能性もあります。
  • 会社への連絡義務などを怠った場合:休職期間中の定期連絡(例:月に一度の病状報告)や、復職に向けた面談、指定された書類提出など、会社の指示に従わない場合は、就業規則違反とみなされ、退職につながる可能性もあります。会社は従業員の状況を把握し、復職支援を行うために連絡を求めているため、これに応じないことは信頼関係の破綻につながりかねません。

休職は、あなたの健康を守り、長期的なキャリアを継続するための制度です。会社の規定を理解し、治療に専念することで、安心して休養を取ることができます。不安な場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することも検討しましょう。

休職は「休暇」とは異なり、体調を回復させ、元の生活や仕事に戻るための「治療期間」です。この期間をどのように過ごすかが、その後の回復や復職の成否を大きく左右します。特に20代は、休職期間中に焦りや不安を感じやすいため、適切な過ごし方を知ることが重要です。

休職中にやってはいけないこと

休職期間を有効に活用し、確実に体調を回復させるためには、いくつかの注意点があります。特にメンタルヘルス不調での休職の場合、これらの行動は回復を妨げるだけでなく、かえって症状を悪化させる可能性もあります。

  • 無理に活動しない、無理に人と会わない
    休職したばかりの頃は、心身ともに疲弊している状態です。この時期に無理に旅行に出かけたり、多くの友人と会って刺激を受けたりすることは避けましょう。友人との集まりも、気遣いや会話の努力が負担になることがあります。まずは十分な休息をとり、エネルギーをチャージすることが最優先です。家で静かに過ごしたり、一人で散歩に出かけたりする程度の軽い活動に留めましょう。
    • なぜやってはいけないのか:疲弊した心身は、些細な刺激でも過剰に反応し、症状を悪化させる可能性があります。無理な活動は、回復に必要なエネルギーを消耗させてしまいます。
  • 会社や同僚との連絡を取りすぎない
    休職中は、会社からの連絡は必要最低限にとどめましょう。同僚からの「大丈夫?」「早く戻ってきてね」といった連絡も、良かれと思っての激励や心配のメッセージであっても、仕事のことを思い出させ、ストレスになる可能性があります。可能であれば、会社との連絡窓口を人事担当者や直属の上司に一本化してもらい、必要な時以外は連絡を取らないようにしましょう。
    • なぜやってはいけないのか:会社との接点を持つことで、仕事へのプレッシャーや復職への焦りを感じやすくなります。休職中は、完全に仕事から離れて心身をリフレッシュすることが重要です。
  • 焦って転職活動をしない
    「この会社に戻りたくない」「この期間に新しい仕事を見つけたい」という気持ちから、休職中に転職活動を始める人もいますが、これはおすすめできません。まだ心身が十分に回復していない状態で転職活動を行うと、選考のストレス(面接での緊張、不採用通知など)や新しい職場への適応不安から、再度体調を崩すリスクが高まります。
    • なぜやってはいけないのか:転職活動は想像以上に心身に負荷がかかります。回復途上での無理な活動は、症状の悪化や再休職につながり、結果的にキャリア形成を妨げる可能性があります。まずは治療に専念し、回復してから次のステップを考えましょう。
  • 不規則な生活を送る
    休職中は自由な時間が増えるため、夜更かしをしたり、昼夜逆転の生活になったりしやすい傾向があります。しかし、規則正しい生活リズムは心身の健康を保つ上で非常に重要です。起床・就寝時間を一定にし、日中は太陽の光を浴びるように心がけましょう。
    • なぜやってはいけないのか:睡眠不足や不規則な生活は、自律神経の乱れを招き、メンタルヘルス不調を悪化させることが科学的に証明されています。回復のためには、健康的な生活習慣を確立することが不可欠です。
  • 過度に情報収集をする、自分を責める
    インターネットやSNSで自分の症状について調べすぎたり、他者の休職・復職体験談を読み漁ったりすると、不安を増幅させてしまうことがあります。また、「なぜ自分だけこんなことになったのか」「もっと頑張れたはずなのに」と自分を責め続けることも、回復を妨げます。
    • なぜやってはいけないのか:ネガティブな情報や自己否定は、心のエネルギーを消耗させ、回復を遅らせます。必要な情報は主治医や信頼できる専門家、会社の担当者から得るようにし、それ以外の情報に振り回されないようにしましょう。休職は、あなた自身の限界のサインです。自分を責めるのではなく、まずはそのサインを受け入れ、休むことを許してあげることが大切です。

休職は、自分自身の心と体をじっくりと癒すための大切な時間です。焦らず、自分のペースで回復に努めることが何よりも重要です。

復職に向けた体調・メンタルの整え方

休職期間中に体調が回復してきたら、本格的に復職への準備を始めましょう。段階的に生活リズムを整え、心の準備を進めることが成功の鍵となります。焦らず、着実にステップを踏むことが、再休職を防ぐことにもつながります。

1. 医療機関との連携を密にする
主治医との定期的な診察は継続し、体調の変化や復職への気持ちを正直に伝えましょう。復職可能と判断された場合は、主治医から「復職可能診断書」を発行してもらいます。これは会社に提出する重要な書類です。服薬が必要な場合は、自己判断で中断せず、医師の指示に従いましょう。治療計画に沿って、心身の状態を安定させることが最優先ですいです。

2. 生活リズムを整える
復職に向けて、会社の勤務時間に合わせて生活リズムを調整していきます。これは、休職中に乱れがちな生活習慣を元に戻し、体と心を仕事モードに慣らすための重要なステップです。

  • 起床・就寝時間を固定する:平日の出社時間に合わせた起床時間を設定し、夜も同じ時間に就寝するよう心がけましょう。週末も大きくずらさないことが大切です。
  • 日中に活動する:日中に散歩や軽い運動を取り入れ、太陽の光を浴びることで、セロトニン(幸福感やリラックスに関わる神経伝達物質)の分泌を促し、心身のリズムを整えます。午前中の活動を意識しましょう。
  • 食事の時間を一定にする:バランスの取れた食事を規則的に摂ることで、体の調子を整えます。特に、朝食をしっかり摂る習慣をつけることが重要です。

3. 段階的に活動量を増やす
いきなり休職前の活動レベルに戻すのではなく、徐々に心身に負荷をかけていくことが大切です。

  • 軽い運動:ウォーキング、ストレッチ、ヨガなど、無理のない範囲で体を動かしましょう。運動はストレス解消にもつながります。
  • 社会との接点を持つ:体調が安定してきたら、友人との交流を再開したり、図書館やカフェに行ったりと、社会とのつながりを持つ機会を増やしましょう。ただし、刺激の強い場所や大人数での交流は避け、少人数でリラックスできる関係性に留めるのが賢明です。
  • 集中力を要する活動:読書や映画鑑賞、簡単なPC作業など、少しずつ集中力を要する活動に挑戦してみましょう。ただし、無理は禁物です。疲れたらすぐに休憩を取るようにしましょう。

4. 会社とのコミュニケーション
復職の意思が固まり、主治医からも復職可能と判断されたら、会社に連絡を入れます。会社によっては、復職前に面談やリハビリ出勤(試し出勤)を促されることがあります。

  • 復職面談:休職中の状況や復職への意欲、今後の働き方に関する希望などを話し合います。この際、休職の原因となった問題点(業務量、人間関係など)について、改善策を提案・相談できる機会があれば積極的に活用しましょう。
  • リハビリ出勤/試し出勤制度:いきなりフルタイムで働くのではなく、短時間勤務や特定の業務から始める制度です。会社の制度として導入されていない場合でも、産業医や人事担当者に相談してみる価値はあります。段階的に仕事に慣れることで、復職後の負担を軽減できます。

5. 復職後の働き方を考える
復職後に再休職しないためにも、休職の原因となった問題がどこにあったのかを整理し、会社と相談して対策を講じることも重要です。例えば、業務量の調整、部署異動、人間関係の改善策などです。

  • ストレス対処法を学ぶ:カウンセリングなどを通じて、自身のストレス要因や対処法を学ぶことは、今後のキャリアを歩む上で大きな財産となります。
  • 自己肯定感を高める:休職中に自分を責めるのではなく、頑張った自分を認め、小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感を高めていきましょう。

休職は、自分を見つめ直し、これからの働き方や生き方を考える貴重な機会です。焦らず、着実に復職への準備を進めていきましょう。

心身の不調を感じた時、「休職して回復を待つか、いっそ退職して新たな道を探すか」という葛藤に直面する20代は少なくありません。特に社会人経験が浅い20代にとっては、キャリアへの不安や周囲の目も気になり、決断が難しいと感じるでしょう。しかし、どちらの選択肢にもメリットとデメリットがあり、自身の状況や将来の展望によって最適な選択は異なります。ここでは、それぞれの選択肢を比較し、後悔のない決断をするためのヒントを提供します。

休職と退職のメリット・デメリット比較

休職と退職、それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。

項目 休職のメリット 休職のデメリット 退職のメリット 退職のデメリット
経済面 傷病手当金が受給できる可能性がある(最長1年6ヶ月):給与の約2/3が補償され、生活の大きな支えとなる。
社会保険の加入が継続される:健康保険、厚生年金にそのまま加入できるため、医療費負担や将来の年金受給に安心感がある。
会社によっては給与の一部が支給される場合がある:休職期間が短い場合や、会社規定で手当がある場合も。
原則として会社からの給与はない:傷病手当金があっても、給与全額ではないため収入は減少する。
社会保険料の自己負担が発生する:会社負担分が無くなる場合があり、支払額が増える可能性。
傷病手当金は申請から受給まで時間がかかる:最初の支給までに数ヶ月かかることもあり、当面の生活費が必要。
ストレス源から完全に解放される:職場との関係が完全に断ち切られ、精神的な負担がなくなる。
すぐに転職活動ができる:心身の状態が回復していれば、早期に次の職場を探せる。
新たな環境で心機一転できる:完全に異なる業種や職種にチャレンジしやすい。
失業給付を受給できる可能性がある:雇用保険の加入期間など条件を満たせば、失業中の生活を支えることができる。
収入が途絶える:失業給付は手続きや待期期間があるため、一時的に無収入になる。
社会保険や税金の支払いを全て自分で管理する必要がある:国民健康保険、国民年金への切り替え手続き、住民税の支払いなど、自己負担が増え、手続きも煩雑になる。
転職活動のプレッシャーがかかる:次の仕事を見つけなければという焦りが生じ、精神的な負担となる。
キャリアの中断と見なされる可能性がある:履歴書に空白期間ができることで、採用側から説明を求められる場合がある。
社会保障 ・健康保険、厚生年金に継続加入(会社のサポートあり)。
・傷病手当金、育児休業給付金等の対象維持。
・社会保険料の自己負担が発生する(経済的負担)。
・雇用保険は休職中対象外。
・国民健康保険、国民年金に切り替えが必要。
・失業給付金受給の可能性。
・社会保険の切り替え手続きが必要(自身で行う)。
・国民健康保険料、国民年金保険料は全額自己負担。
・失業給付金受給には条件があり、受給まで時間がかかる。
キャリア 現在の会社でのキャリアを継続できる:復職後も同じ職務に戻れる可能性があり、キャリアの中断を最小限に抑えられる。
転職回数が増えない:履歴書に休職期間の記載はあっても、退職ではないため、転職時の評価で不利になりにくい。
復職支援が受けられる可能性がある:会社によっては産業医面談やリハビリ出勤制度など、復職へのサポート体制が整っている。
休職期間がキャリアのブランクになる可能性:休職期間が長期化すると、スキルや知識のアップデートが遅れる可能性がある。
復職後も同じ職場環境に戻る不安が残る:休職の原因が職場環境にある場合、復職しても根本的な問題が解決していないと再発のリスクがある。
周囲の目が気になる場合がある:休職したことで、同僚からの目が気になったり、業務調整がされなかったりする可能性。
キャリアチェンジの機会が得られる:現在の会社とは異なる業種や職種への転職を自由に検討できる。
スキルアップのための時間が作れる:退職後に専門スキルを学ぶためのスクールに通うなど、自己投資の時間が確保できる。
転職活動が不調だとブランクが長くなる:すぐに次の仕事が見つからない場合、無職期間が長期化し、精神的・経済的負担が増大する。
新しい環境への適応ストレス:転職先の環境に慣れるまでの新たなストレスが発生する。
経済的不安が精神的負担となる場合がある:収入の途絶や転職活動の長期化が、さらなる精神的な負担となる。
精神面 回復に専念できる時間がある:会社に在籍したまま、安心して療養できる。
戻る場所があるという安心感:完全に職場との縁が切れるわけではないため、精神的な拠り所があると感じられる。
会社からのサポートを受けやすい:産業医面談や人事担当者との相談など、会社内の専門家からサポートを受けられる。
会社のことを考えてしまい、完全に休めない場合がある:復職へのプレッシャーや、休職中の業務状況が気になってしまう。
復職へのプレッシャーを感じる:休職期間が終わりに近づくと、復職できるかという不安や焦りが生じる。
復職後、周囲の目が気になる可能性:同僚や上司からの「休んでいた人」という目線を感じてしまうことがある。
ストレス源から完全に解放される:嫌な上司や人間関係、過重な業務から完全に離れられ、心機一転できる。
心機一転、新たなスタートを切れる:新しい環境で自分の力を試せるチャンス。
自分のペースで今後のことを考えられる:会社からの制約がなく、自分のペースで今後のキャリアや生き方を設計できる。
将来への不安や焦りを感じやすい:次の仕事が見つからない場合や、転職活動がうまくいかない場合に、経済的・精神的な不安が大きくなる。
新しい環境への適応ストレス:転職先の環境に慣れるまでの新たなストレスが発生する。
経済的不安が精神的負担となる場合がある:収入の途絶や転職活動の長期化が、さらなる精神的な負担となる。

休職を選ぶべきケース、退職を選ぶべきケース

上記の比較を踏まえ、どのような場合に休職、あるいは退職を選ぶべきか、具体的なケースを見ていきましょう。

休職を選ぶべきケース

  • 症状が一時的で、回復の見込みがある場合:医師から「一定期間の休養で回復可能」と診断された場合、休職を選ぶことで元の職場に戻れる可能性が高まります。例えば、過労による一時的な体調不良や、特定のプロジェクト終了でストレスが軽減する見込みがある場合など。
  • 現在の会社でのキャリアを継続したい場合:給与や福利厚生、企業のブランド力、部署以外の人間関係など、会社全体に大きな不満があるわけではなく、一時的な心身の不調や特定の部署・業務が原因の場合。休職明けに部署異動や業務内容の変更を希望できる見込みがあるなら、休職が有利です。
  • 経済的な安定を優先したい場合:傷病手当金を受給しながら治療に専念したい、社会保険の継続加入を望むなど、経済的な不安を最小限に抑えたい場合。退職すると、すぐに収入が途絶え、健康保険や年金の手続き・支払いを自分で行う必要があるため、経済的な負担が大きくなります。
  • 転職活動を行う余裕がない場合:心身ともに疲弊しており、すぐに転職活動を始めるのが難しいと感じる場合。休職中にゆっくり回復し、今後のことを考える時間を作ることができます。体力が回復してから、冷静にキャリアを考えることが可能になります。
  • 会社の休職制度が充実している場合:休職期間が長く設定されている、復職支援プログラム(リハビリ出勤など)がある、産業医やカウンセラーとの面談制度があるなど、会社のサポート体制が整っている場合。

退職を選ぶべきケース

  • 職場の環境改善が根本的に見込めない場合:ハラスメントが横行している、人間関係が極度に悪い、過重労働が常態化しており会社側が改善に全く応じないなど、休職しても問題が解決しないと確信している場合。休職しても同じ問題に直面する可能性が高いなら、退職して新たな環境を探すべきです。
  • 別のキャリアパスを考えている場合:現在の仕事内容や業界自体に強い不満があり、全く異なる分野への転職や、スキルアップのための時間を確保したい場合。キャリアチェンジを決意しているなら、退職して自由な時間と選択肢を得る方が効率的です。
  • 心機一転、新たなスタートを切りたい場合:現在の会社や仕事に未練がなく、精神的に完全にリセットして新しい環境で再出発したいという強い気持ちがある場合。過去を断ち切り、前向きな気持ちで再出発したい人には退職が適しています。
  • 休職制度が不十分な場合、あるいは利用できない場合:会社の休職期間が極端に短い、休職中の経済的保障が全くない、あるいは休職制度自体がないなど、制度が期待できない場合。
  • 経済的に一時的な無収入に耐えられる場合:貯蓄がある、実家に戻る、家族の支援が得られるなど、当面の生活に困らないだけの経済的基盤がある場合。退職後の生活費の目処が立っているかどうかが重要な判断基準になります。

どちらの選択をするにしても、一人で悩まず、信頼できる家族や友人、そして医師やキャリアアドバイザー、公的な相談窓口などの専門家に相談することが非常に重要です。客観的な意見を聞くことで、より冷静に、自分にとって最適な選択を見出すことができるでしょう。

ここでは、20代の休職を考える方が抱きやすい疑問や不安について、よくある質問とその回答形式で詳しく解説します。

メンタル不調で休職したいとき、どう伝える?

メンタル不調で休職を伝えるのは、非常に勇気がいることです。しかし、自身の健康を守るためには避けて通れない道です。伝える際のポイントをいくつかご紹介します。

1. 相談のタイミングと相手

  • タイミング:症状が悪化し、業務に明らかな支障が出始めたら、早めに相談しましょう。無理をして症状を悪化させると、回復に時間がかかります。
  • 相手:まずは直属の上司に相談するのが一般的です。上司に話しづらい場合は、人事部の担当者や産業医、信頼できる先輩に相談することも検討しましょう。可能であれば、他の社員がいない場所で、落ち着いて話せる時間を取りましょう。

2. 伝え方のポイント
感情的にならず、冷静に、具体的な事実に基づいて伝えることが重要です。

  • 体調不良の事実と業務への影響を簡潔に伝える
    「ここ数週間、不眠が続いており、日中の集中力が著しく低下し、業務でのミスが増えてしまっています。現状では〇〇(具体的な業務内容)の進行にも支障をきたしかねない状況です。」
    • ポイント:病名まで詳しく話す必要はありませんが、業務に影響が出ている具体的な状況を伝えることで、休職の必要性を理解してもらいやすくなります。
  • 医療機関を受診している、または受診する意向を伝える
    「すでに心療内科を受診しており、医師からはしばらくの休養が必要との診断書をいただきました。」
    「現在、心身の不調が続いているため、まずは病院を受診し、医師の意見を聞きたいと考えています。診断書が用意でき次第、改めてご相談させてください。」
    • ポイント:医師の診断書が休職の根拠となるため、客観的な証拠を提示する意思を示します。
  • 休職することで回復を目指し、復帰への意欲があることを伝える
    「このまま無理を続けると、症状が悪化し、長期的な業務への影響が出てしまう可能性があります。休職期間中にしっかり体調を回復させ、万全の状態で復職し、会社に貢献したいと考えています。」
    • ポイント:前向きな姿勢を示すことで、会社もサポートしやすくなります。「もう働きたくない」といったネガティブな発言は避けましょう。
  • 会社規定に従う姿勢と協力の意思を見せる
    「会社の休職規定を拝見しました。必要な手続きや提出書類など、ご指示いただければきちんと対応させていただきます。」
    「業務の引き継ぎが必要な場合は、体調と相談しながら可能な範囲でご協力させていただきます。」
    • ポイント:一方的に要求するのではなく、会社のルールを尊重し、協力する姿勢を見せることで、円滑な交渉につながります。

NGな伝え方

  • 「もう無理です」「会社に来たくありません」など、感情的で衝動的な言葉で伝える。
  • 診断書なしでいきなり「明日から休みます」と要求する。
  • 休職中の希望(連絡不要、一切会いたくないなど)を一方的に突きつける。
  • 具体的な症状ではなく、「なんとなく辛い」といった抽象的な表現に終始する。

冷静に、客観的な事実(体調不良、医師の診断)に基づいて休職の必要性を伝え、復職への前向きな意思を示すことが、スムーズな休職手続きへの第一歩です。

休職は何ヶ月でクビになる?

休職が直接「クビ(解雇)」につながることは、法的には非常に稀です。日本の労働法では、正当な理由なく従業員を解雇することは厳しく制限されています。休職制度は従業員の治療・回復を支援するためのものであり、休職を理由にすぐに解雇されることはありません。休職は、労働契約は継続したまま、一時的に労働義務を免除する状態を指します。

しかし、以下のような場合には、退職となる可能性があります。

  • 会社の就業規則に定める休職期間の上限を超過した場合
    休職制度は法律で義務付けられたものではなく、各会社の就業規則にその内容が定められています。休職できる期間、復職の条件、休職期間満了後の扱い(復職、退職、自動退職など)は、会社によって大きく異なります。
    例えば、「最長1年間」と定められている会社の場合、1年が経過しても復職できる状態ではないと判断されれば、その時点で労働契約が終了し、「自然退職」となるのが一般的です。これは、解雇とは異なり、就業規則に則った契約終了となります。
    • 20代への影響:若年層の場合、休職期間が比較的短く設定されている会社もあります。長期化する前に、復職か退職かを決断する必要が出てくることもあります。
  • 休職期間満了後も復職が不可能と判断された場合
    休職期間が満了しても、主治医の診断や会社の産業医・人事担当者の判断で「業務遂行能力が回復していない」「元の部署での業務が困難」と判断された場合です。会社は、従業員が安全かつ健康に業務を遂行できる状態であるかを慎重に判断します。
    • 復職可能性の判断基準
      • 医師の診断:主治医の「復職可能診断書」は重要ですが、最終判断は会社が行います。
      • 産業医との面談:会社の産業医が、あなたの健康状態や業務内容との適合性を判断します。
      • 試し出勤制度の利用状況:復職に向けたリハビリ出勤で、実際の業務遂行能力が評価されます。
  • 休職期間中に他の会社で働いていたことが判明した場合
    休職は治療・療養に専念するための期間であるため、原則として他の会社で働くことは認められません。もし、許可なく兼業やアルバイトをしていることが判明した場合、就業規則違反として懲戒処分の対象となり、最悪の場合、解雇につながる可能性もあります。
  • 会社への連絡義務などを怠った場合
    休職期間中の定期連絡(例:月に一度の病状報告)や、復職に向けた面談、指定された書類提出など、会社の指示に従わない場合は、就業規則違反とみなされ、退職につながる可能性もあります。会社は従業員の状況を把握し、復職支援を行うために連絡を求めているため、これに応じないことは信頼関係の破綻につながりかねません。

休職は、あなたの健康を守り、長期的なキャリアを継続するための制度です。会社の規定を理解し、治療に専念することで、安心して休養を取ることができます。不安な場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することも検討しましょう。

メンタル不調で休職する割合は?

厚生労働省の調査によると、メンタルヘルス不調により休職・退職する労働者の割合は、近年増加傾向にあります。これは、職場のストレス要因が多様化していることや、メンタルヘルスに対する社会の意識が高まり、相談しやすくなったことも背景にあると考えられます。

  • 厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」より
    • 令和4年の調査では、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は82.2%に上っています。これは多くの労働者が何らかのストレスを抱えていることを示しています。
    • 同調査によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は13.3%でした。これは、全ての事業所ではありませんが、一定数の企業で休職者が発生している実態を示しています。
    • また、総合労働相談件数においても、いじめ・嫌がらせ(ハラスメント)に関する相談が最も多く、次いで自己都合退職、そして解雇に関する相談が続くなど、職場の人間関係やハラスメントが労働者の心身に大きな影響を与えていることが分かります。
  • 20代に限定したデータ
    特定の年代に絞った詳細な休職割合の公的な統計は少ないですが、若年層では仕事への適応や人間関係の構築、キャリア形成のプレッシャーなどから、メンタルヘルス不調を訴えるケースが多いと指摘されています。

例えば、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「若年者のキャリア形成に関する調査」などでは、若年層が仕事で感じるストレスや離職理由として、人間関係や仕事内容のミスマッチが上位に挙げられることが示されています。新卒で入社して数年以内の20代は、学生時代とのギャップや社会人としての責任の重さに直面しやすく、それらが休職に至る大きな要因となるケースが少なくありません。

これらのデータは、あなたが一人で悩んでいるわけではないことを示しています。多くの人が職場でのストレスや心身の不調を経験しており、休職を選択することも決して珍しいことではないのです。「自分だけが弱いのか」と自己を責める必要は全くありません。大切なのは、数字に惑わされず、自身の心と体の状態に真摯に向き合い、適切な対処をすることです。

20代での休職は、キャリアのスタート地点で立ち止まることに不安を感じるかもしれません。しかし、心身の健康は、長期的なキャリアを築き、充実した人生を送る上で何よりも大切な基盤です。この時期に無理を重ねることは、将来の自分にとって大きな負担となりかねません。

休職は、決して「逃げ」ではありません。むしろ、自身の健康を守り、回復と成長のために必要な「戦略的な休息」と捉えることができます。この期間を有効活用することで、あなたはより強く、より賢くなって社会に戻ることができます。

  • 原因の理解:あなたの休職の原因がメンタル不調、身体的疲労、ハラスメント、人間関係など、どこにあるのかを正確に理解することが、回復への第一歩です。原因を特定することで、適切な治療や今後の対策を立てやすくなります。
  • 正しい手続き:休職には会社の規定に基づいた手続きが必要です。診断書の取得、会社への伝え方、傷病手当金などの公的支援の活用方法を理解し、経済的な不安を軽減しましょう。疑問点は必ず人事担当者や社会保険労務士などの専門家に確認してください。
  • 休職中の過ごし方:休職期間は治療に専念し、無理な活動は避け、規則正しい生活リズムを整えることが重要です。焦らず、自分のペースで心身の回復に努めましょう。この期間は、自分自身と向き合い、今後のキャリアや生き方を考える貴重な時間でもあります。
  • 復職・退職の選択:休職か退職か、どちらの選択肢もメリット・デメリットがあります。自身の状況、キャリアの展望、経済的な側面などを総合的に考慮し、後悔のない選択をすることが大切ですす。必要であれば、医師、キャリアアドバイザー、公的な労働相談窓口などの専門家のアドバイスも積極的に活用しましょう。

20代は、まだまだこれからの可能性に満ちた年代です。休職を経験したとしても、それはあなたの人生において、自分自身と向き合い、より良い働き方や生き方を模索する貴重な時間となるでしょう。この経験が、あなたの未来をより豊かにする一歩となることを願っています。

一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人、そして医師やカウンセラー、キャリアアドバイザーなど、専門家に相談してください。公的な相談窓口としては、以下のような場所があります。

  • 精神保健福祉センター:各都道府県・指定都市に設置されており、心の健康問題に関する相談を受け付けています。
  • 地域産業保健センター:小規模事業場の労働者や事業主を対象に、メンタルヘルスを含む健康相談や健康指導を行っています。
  • 労働基準監督署:労働に関する法的な問題について相談できます。ハラスメント問題などで休職を考えている場合も、情報提供や助言を受けることができます。
  • こころの健康相談統一ダイヤル:厚生労働省が実施している、心の健康問題に関する全国統一の電話相談窓口です。

あなたは一人ではありません。自分を大切にし、健康な心と体を取り戻すことが、何よりも重要です。


【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断、治療、予防を意図するものではありません。また、休職制度や社会保障制度は個々の状況や会社の規定、法律の改正によって内容が異なる場合があります。具体的な手続きや制度の利用については、必ず医師、会社の人事担当者、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによるいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次