退職給付金と失業手当の違いとは?両方もらえる?受給条件や金額なども解説

「退職給付金と失業手当って、どう違うの?」
「両方もらえるのか、正直よくわからない…」

そう悩んでいる方は多いです。
結論からお伝えします。

📌 この記事の結論
  • 退職給付金(退職金)と失業手当は、まったく別の制度
  • 条件を満たせば、両方を同時に受給できる
  • 退職金は「会社」から、失業手当は「国(ハローワーク)」から支給される
  • 税金の扱いも異なる(退職金=課税あり/失業手当=完全非課税)

この記事では、制度の違いから受給条件・計算方法・申請手順・注意点まで、社労士監修の正確な情報をもとに徹底解説します。

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【比較表】退職給付金と失業手当の違い一覧

まずは全体像を表で整理します。

項目 退職給付金(退職金) 失業手当(雇用保険の基本手当)
支払者 勤務先の企業 国(ハローワーク/雇用保険)
目的 長年の功労への報償・老後資金 失業中の生活保障・再就職支援
受給条件 会社の退職金規定を満たすこと 離職し、働く意思・能力があり、加入期間を満たすこと
支給時期 退職後1〜2ヶ月以内が目安 手続き後、待機・給付制限を経てから
金額の決定要素 勤続年数・退職時の給与・退職理由 直近6ヶ月の給与・年齢・被保険者期間・退職理由
税金 課税(退職所得控除で大幅軽減) 完全非課税
受給回数 原則、退職ごとに1回 離職のたびに条件を満たせば受給可
併用 ✅ 両方同時に受給できる
なぜ混同されやすいのか?
どちらも「退職後にもらえるお金」として語られるため、ひとまとめに認識されがちです。
また、SNS広告などで使われる「退職給付金」という言葉が、失業手当や傷病手当金を含む意味で使われることも混乱の原因になっています。

退職給付金(退職金)とは?制度の仕組みと受給条件

退職給付金の定義と目的

退職給付金(退職金)とは、従業員が退職する際に企業が独自の規定にもとづいて支払うお金です。

賃金の後払い的な性格と、長年の功労に対する報奨金的な性格の両方を持っています。

⚠️ 重要:退職金は法律で義務付けられていない
就業規則や退職金規定がない会社には、退職金を支払う義務はありません。
厚生労働省の調査によると、退職金制度がある企業の割合は約8割(企業規模による)です。

退職給付金の4つの種類

種類 特徴
退職一時金制度 退職時に一括で現金を受け取る、最も一般的な形態
確定給付企業年金(DB) 将来の給付額があらかじめ約束された年金制度
確定拠出年金(企業型DC) 企業が掛金を拠出し、従業員が自ら運用。運用実績により受取額が変動
中小企業退職金共済(中退共) 自社で制度を持てない中小企業が外部共済を活用する仕組み

受給条件と勤続年数の目安

  • 多くの企業では勤続3年以上が受給の目安
  • 自己都合退職は満額から一定割合が減額されることが一般的
  • 会社都合・定年退職は自己都合より高い支給倍率が設定されることが多い
正確な受給条件は、自社の「就業規則」または「退職金規定」で必ず確認してください。

退職給付金にかかる税金(退職所得控除)

退職金は「退職所得」として課税対象ですが、長年の勤労に対する配慮から他の所得と分けて計算する「分離課税」が適用され、税負担は非常に軽くなっています。

勤続年数(n) 退職所得控除額の計算式
20年以下 40万円 × n(最低80万円)
20年超 800万円 + 70万円 × (n-20年)
📊 計算例:勤続20年の場合

控除額 40万円 × 20年 = 800万円
→ 退職金が800万円以内なら所得税・住民税ともにゼロ
→ 超えた分も「2分の1」にした金額に課税されるため、非常に有利


失業手当(雇用保険の基本手当)とは?仕組みと受給条件

失業手当の定義と目的

正式名称は「雇用保険の基本手当」です。

労働者が離職し、「次に働く意思と能力があるにもかかわらず、仕事に就けない状態」にある場合に、再就職を支援するために国から支給されます。

単なる「退職後のお小遣い」ではなく、求職活動の資金を支援するための制度です。
受給中はハローワークでの求職活動が必須になります。

受給できる3つの条件

1
離職票があること
前職の会社から発行された「離職票」が必要

2
就職する意思と能力があること
すぐに働ける状態であり、ハローワークで求職活動を行うこと

3
雇用保険の被保険者期間を満たすこと
自己都合 離職前2年間に12ヶ月以上
会社都合・特定受給資格者 離職前1年間に6ヶ月以上

自己都合 vs 会社都合:支給開始日の違い

退職理由 給付制限 初回振込の目安
自己都合退職 7日間の待機 + 2〜3ヶ月の給付制限 退職から3〜4ヶ月後
会社都合退職(倒産・解雇等) 7日間の待機のみ 手続き後約1ヶ月程度

失業手当の税金(完全非課税)

✅ 失業手当は法律により「完全非課税」
  • 確定申告の対象にならない
  • 翌年の住民税の計算にも含まれない
  • 受給した金額がそのまま手元に残る

5つの項目で決定的な違いを比較

① 支払者(会社か、国か)

  • 退職給付金 あなたが勤めていた「企業」が支払う。福利厚生の一部
  • 失業手当 「厚生労働省(ハローワーク)」が雇用保険料を原資として支払う。社会保険制度の一部

② 支給のタイミング

  • 退職給付金 退職日から1〜2ヶ月程度で指定口座に振込
  • 失業手当 ハローワークで手続きした後からカウント開始。自己都合は数ヶ月のブランクあり

③ 受給期間と回数

  • 退職給付金 原則として一括(または年金形式)
  • 失業手当 所定給付日数(90〜360日)を上限に、4週間ごとの「失業認定」で分割支給

④ 金額の決定方法

  • 退職給付金 各社の規定による。一般的に「退職時の基本給 × 勤続年数に応じた係数」で算出
  • 失業手当 離職前6ヶ月の給与平均から「基本手当日額」を算出 × 所定給付日数

⑤ 税務上の扱い

退職給付金(退職金) 失業手当
課税区分 退職所得(課税あり) 完全非課税
確定申告 原則不要(源泉徴収) 不要
住民税への影響 あり(翌年に分離課税) なし

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「退職給付金」が指すもう一つの意味(傷病手当金との関係)

インターネットで「退職給付金」と検索すると、本来の退職金とは少し異なる情報が出てくることがあります。

これは主に、健康保険制度の「傷病手当金」を指しているケースです。

「退職給付金最大28ヶ月」の正体

SNS広告などで見かける「退職給付金最大28ヶ月受給」という訴求は、以下の2つを組み合わせた給付を指しています。

給付の種類 支給元 最長受給期間
傷病手当金 健康保険(協会けんぽ等) 最長1年6ヶ月
失業手当(就職困難者枠) 雇用保険(ハローワーク) 最長約1年(300〜360日)

傷病手当金と失業手当の根本的な違い

⚠️ この2つは「同時に」もらえません

傷病手当金 病気・怪我で「働けない」期間の保障
失業手当 健康で「すぐに働ける」人のための支援

前提条件が矛盾するため、同時受給は不可です。

✅ 合法的な順番受給の流れ

① 病気・怪我で退職

傷病手当金を受給(この間、失業手当の受給期間を延長申請)

③ 病気が回復したら失業手当に切り替え

この流れは法的に認められた正当な手続きです。

最大200万円以上もらえるケース

うつ病などの精神疾患や身体的疾患で長期間働けない状態で退職した場合、傷病手当金+失業手当(就職困難者枠)を組み合わせることで、総額200万〜数百万円の給付を受けることができます。

「就職困難者」に認定されると、雇用保険の所定給付日数が通常の90〜150日から300〜360日に大幅増加します。

退職給付金と失業手当を賢く受給するための申請手順

1
会社から離職票と退職金回答書を受け取る
退職後10日〜2週間で「離職票」が届きます。退職金の振込予定時期・金額が記載された明細も必ず確認しましょう。

2
ハローワークで失業手当の受給手続きを行う
離職票が届いたら、速やかに居住地管轄のハローワークへ。

📋 必要なもの
  • 離職票1・2
  • マイナンバーカード(または通知カード)
  • 本人確認書類
  • 写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
  • 本人名義の預金通帳

3
待機期間・給付制限期間を過ごす
手続き日から7日間は全員が待機期間(受給不可)。自己都合退職の場合はさらに2〜3ヶ月の給付制限あり。この期間のアルバイトは制限があるため、必ずハローワークに相談を。

4
4週間ごとの失業認定を受けて受給
「この1ヶ月間、求職活動をしましたが決まりませんでした」と報告することで、その期間分が数日後に口座へ振り込まれます。


知らないと損する注意点・デメリット

① 自己都合退職は生活費の準備が必須

自己都合の場合、実際に振り込まれるまで最短でも3ヶ月程度かかります。退職金が少ない場合は、この期間の生活費をあらかじめ貯金しておく必要があります。

② 失業手当をもらうと健康保険の扶養から外れる可能性がある

⚠️ 扶養に入る予定の方は要注意
失業手当の日額が3,612円(60歳以上は5,000円)を超えると、その期間は配偶者の健康保険の扶養に入れません。自分で国民健康保険に加入し、保険料を支払う義務が生じます。

③ 一度受給すると雇用保険の加入期間がリセットされる

失業手当を1日でも受給すると、それまでの雇用保険の被保険者期間はゼロになります。次に就職した会社で再び受給するには、原則としてまた12ヶ月(自己都合)働く必要があります。

④ 傷病手当金受給中は失業手当を受け取れない

⚠️ 受給期間延長申請を忘れずに
病気で退職し傷病手当金をもらっている間は、失業手当の手続きを「受給期間延長」という形で先延ばしにする必要があります。これを忘れると、退職から1年の受給期限が過ぎてしまい、失業手当がもらえなくなるリスクがあります。

【ケース別】退職給付金と失業手当のシミュレーション

📋 ケースA:30代・自己都合退職(勤続10年)

月収30万円

  • 退職給付金(退職金):50万円(退職所得控除400万円の範囲内 → 非課税)
  • 失業手当:約16万円/月 × 3ヶ月 = 48万円
💰 合計受給額の目安:約98万円

※自己都合のため2ヶ月の給付制限あり

📋 ケースB:50代・会社都合退職(勤続25年)

月収50万円

  • 退職給付金(退職金):1,200万円(控除額1,150万円を少し超えるためわずかに課税)
  • 失業手当:約20万円/月 × 11ヶ月 = 220万円(特定受給資格者330日分)
💰 合計受給額の目安:約1,420万円

※会社都合のため給付制限なし

📋 ケースC:体調不良で退職・傷病手当金から受給するケース

月収25万円

  • 傷病手当金:約17万円/月 × 12ヶ月 = 204万円
  • 体調回復後、失業手当(就職困難者):約14万円/月 × 10ヶ月 = 140万円
💰 合計受給額の目安:約344万円(+会社の退職金)

※就職困難者認定で給付期間が大幅増加


よくある質問(FAQ)

Q1. 退職給付金と失業手当は両方もらえる?
A. はい、両方もらえます。
退職給付金は「会社」から、失業手当は「雇用保険」から支払われる別々の制度です。どちらかの受給によってもう一方が減ることはありません。
Q2. 退職給付金を受けられる条件は?
A. 会社の就業規則によります。
法律で定められた制度ではないため、会社に退職金規定があることが前提です。一般的に勤続3〜5年以上で支給対象になるケースが多いです。
Q3. 退職給付金制度で200万もらえるのは本当?
A. 条件次第で十分にあり得ます。
勤続年数が長い場合の退職金、または傷病手当金と失業手当を組み合わせた公的給付の総額が200万円を超えるケースは多くあります。
Q4. 自己都合退職でも失業手当はもらえる?
A. はい、もらえます。
ただし、2〜3ヶ月の給付制限期間があるため、実際に振り込まれるのは退職から3〜4ヶ月後になります。
Q5. 失業手当の計算方法は?
A. 「離職前6ヶ月の賃金総額 ÷ 180」で算出した賃金日額に、給付率(50〜80%)を掛けます。
この金額(基本手当日額)に所定給付日数を掛けたものが総受給額です。ハローワークの公式サイトでもシミュレーションが可能です。
Q6. 失業保険を一度もらうとどうなる?
A. 雇用保険の加入期間がリセットされます。
次に再就職した際、被保険者期間がゼロからのスタートになります。ただし、年金や信用情報への影響は一切ないため、受給資格があるなら必ず手続きしましょう。
Q7. 退職後、いつまでに申請すればいい?
A. 離職票が届き次第、速やかにハローワークへ行くことをおすすめします。
失業手当には「退職から1年以内」という受給期限があります。病気などで働けない場合は「受給期間延長申請」が必要なため、早めの行動が大切です。

まとめ:退職後の生活を守るために制度の違いを正しく理解しよう

📌 この記事のまとめ
  • 退職給付金(退職金)は会社からの報奨金(課税あり・控除で大幅軽減)
  • 失業手当は国からの再就職支援(完全非課税)
  • 2つは同時受給が可能で、どちらかが減ることはない
  • 体調不良の場合は傷病手当金→失業手当の順番受給も合法
  • 退職後はまず「退職金規定を確認」→「ハローワークで失業手当の手続き」の2ステップ

自分がいくらもらえるか不安な場合は、ひとりで抱え込まず専門家に相談することをおすすめします。

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