うつ病と双極性障害の違いとは?

「双極性障害(読み方:そうきょくせいしょうがい)」という病名を聞いたことがあるでしょうか?
一般には「躁うつ病」と呼ばれる病気で、「うつ病」と同じ気分の障害を定義とする精神疾患です。双極性障害は躁病(そうびょう)と抑うつの病相(エピソード)を循環する精神障害であるとwikipediaに書かれています。

共通症状として“抑うつ状態”があるため「うつ病」と類似していますが、双極性障害の場合、抑うつ状態に加えて躁状態にもなります。躁状態とは、極端に気分の高揚した状態が持続することをいいます。一般的に、楽しいことをするとだれでも気分が高揚しますが、双極性障害の場合は特に理由がなく気分が高揚します。抑うつ、躁状態の二つの病相を繰り返す疾患が、双極性障害です。うつ期(うつ病相)から躁期(躁病相)へチェンジすることをうつ転と言います。頻度も人それぞれです。

また、最近では異論もありますが、「うつ病」と同様に回復、治療が可能とされています。その原因は複合的な要因によることが多く、下記の複数の要素を含んだ問題であることがほとんどです。傾向として、うつ病よりも身体的要因など内因の割合が大きいことが特徴です。

外的要因

環境的要因

  • 近親者との離婚
  • トラブル
  • 喪失

社会的要因

  • 貧困
  • 社会的孤立

内的要因

身体的要因

  • 慢性的な身体疾患

心理的要因

  • ストレス
  • 几帳面
  • 落ち込みやすい

うつ病と双極性障害の違い

うつ病 双極性障害

また双極性障害は、季節や天候など自然の変化に「うつ病」よりも影響されやすく、環境変化に適応しようとする働き「自律神経系」が大きく関係していることが知られています。

日本人の双極性障害の生涯有病率は、一型と二型を合わせて0.7%と厚生労働省が発表しています。世界的な比率と比べると2~3%とされているため、日本では本格的調査の実施が少なく正確なところは不明とされています。ちなみに、双極性障害の発症率に男女差はありません。

双極性障害とは

双極性障害は、うつ病と同様に「気分障害」に分類され、躁状態(躁病エピソード)とうつ状態(大うつ病エピソード)という病相(エピソード/症状を発症している状態)を繰り返す精神疾患です。少し前では、躁うつ病と呼ばれていたものがこれに当たります。また、双極性感情障害などと呼ばれる場合もあります。

日本における双極性障害の患者さんの頻度は重症・軽症をあわせて約0.4~0.7%といわれており、かなり低い数値です。人数にすると100人に約4~7人です。しかし、海外に目を向けてみると、1.0‒1.5%とされています。このように大きな差が生まれる原因として、人種・環境などの違いも考えられます。

しかし、それだけではありません。日本と海外では研究、調査の方法が異なるため、アンケートの回答率や回収率、実施の有無などが影響している可能性もあり、日本の発表している生涯有病率が確たるものであるとは考えられていません。また、双極性障害はなりやすい人の特徴として、遺伝的要因も高いと多くの研究者に指摘されています。

一卵性双生児の場合は50~80%、二卵性双生児の場合は5~30%の一致率とされており、一卵性双生児の方が双子で発症する確率が高いことから、先天性で遺伝子的な関連性がある可能性は否定できません。ほとんどのケースで、双極性障害の患者さんは回復に向かいますが、再発の可能性も大きく、薬物治療での症状緩和、抑制、予防が必要となるのが一般的です。

双極性障害一型・双極性障害二型の症状

双極性障害とは「2つの極を持つ」という意味です。2つの極とは、躁とうつのことであり、上下の二つの方向へ気分が周期的に変化することを指します。

躁とうつの間には正常な精神状態があり、それを上向きに行き過ぎた状態を躁状態と呼びます。また、躁状態にも2つのタイプがあり、激しく気分の上向いている状態を「躁状態」(双極性障害一型)、気分の上向きが軽度である場合を「軽躁状態」(双極性障害二型)と言います。

症状の例として、躁状態では下記のような症状が挙げられます

  • 高揚気分または易怒性
  • 自尊心の肥大または誇大
  • 睡眠欲求の減少
  • 多弁
  • 観念奔逸
  • 注意散漫
  • 目標志向性活動の増加
  • 焦燥
  • 危険な快楽的活動への熱中

躁的エピソード
症状が一週間以上継続し、さらに仕事や人間関係に大きな障害をきたして入院の必要があるような場合

軽躁病エピソード
4日間程度継続し入院は不要な場合

一型・二型の違い

診断上の一型・二型の区別は、「躁状態の重症度」「深刻さ」「激しさの違い」にあると言えます。

しかし、一型の躁状態は期間が長引くため深刻で、正常時には持つことのできる「社会適応性・他者協調性が、極端に欠如してしまうほどの気分の高揚や開放」を伴う躁病です。二型と比較して、長期間に渡り躁状態となるため、一時的異常とみなされず、複数の問題行動が、社会的・対人的・経済的な不利益に直接つながってしまうこととなります。

二型は軽い躁状態「軽躁状態」を繰り返します。以前よりも今は調子が良いと思うため、正常時より気分が高揚していることに気づかない事が多いのです。軽躁状態は見分け方が難しい傾向があります。

一型の特徴

  • 「躁状態」がはっきりしていて症状が重い
  • 上向きの躁状態が、二型と比較して大きく現れる

近年まで「躁うつ病」と呼ばれていた病気は、ほとんどの場合が一型の双極性障害を指します。わかりやすく躁うつの波があり、躁状態のときは、本人は「気分が高揚」し、「無敵状態」になります。また、病気だという自覚がないため、他社へ攻撃的態度をとりトラブルを起こす、仕事や家族を失うなどの深刻な喪失を伴う場合があります。

二型の特徴

  • 「軽躁状態」とうつ状態を頻繁に繰り返す
  • 「軽躁状態」は入院するほど重篤ではなく、幻聴や妄想もなく、社会生活に大きな支障を来さない

本人は「以前より今は調子が良い」と思うため、正常時より気分が高揚していることに気づきません。また、「今日は気分がいい」という程度なのでトラブルはなく、本人も周囲も見過ごすケースが多いです。実は深刻な問題で、摂食障害や過度な不安を感じる、アルコール依存を合併しやすいという傾向にあります。

双極性障害のチェックリスト

あなたはどのくらい当てはまりますか?

躁状態の症状

  • エネルギーにあふれ、気分が高まって
    元気になった気がする
  • あまり眠らなくても元気
  • 急に偉くなったような気になる
  • なんでもできる気になる
  • おしゃべりになる
  • アイデアが次々にうかんでくる
  • 怒りっぽくなる
  • すぐに気が散る
  • じっとしていられない
  • 浪費
  • 性的逸脱

うつ状態の症状

  • 気分が落ち込む
  • 寝てばかりいる
  • やる気が起きない
  • 楽しめない
  • 疲れやすく疲労感がある
  • なにも手に付かない
  • 自分には生きる価値がないと
    自分を責めてしまう
  • 決断力がなくなる
  • 死にたくなる
  • 食欲がなくなる

上記のような症状が当てはまる場合は双極性障害の疑いがあります。
早めに心療内科や精神科のクリニックを受診しましょう。
双極性障害は問診だけでは誤診される可能性もありますので、
できれば、光トポグラフィー検査を行っている
クリニックや病院を選びましょう。

双極性障害は誤診されやすい!?

うつ病と双極性障害が似ている、というのは「うつ」の症状が双方で現れるからです。その症状は、どちらの病気でも同じため、区別がつきません。

「躁(無意味に高揚している)」状態が現れて初めて双極障害であると診断できるため、双極性障害の場合でも、はじめはうつ病と診断されている場合が多いのです。

誤診を避けたい、というのは当然の話ですが、双極性障害の症状として、「躁」と「うつ」を繰り返すスパンは人それぞれのため、予後は数ヶ月~数年という長い期間のサイクルで現れる双極性障害に対して、正確な診断や対策をするのは非常に難しいと言われています。

また、初診時にうつ病と診断された患者さんの内、約10人に1人が実は双極性障害であると判明します。そのため、うつ病と診断された場合でも、躁症状が現れるまで、うつ病なのか双極性障害なのか、わからないと言われています。双極性障害の場合、2/3の患者さんはうつの時にしか病院を受診しないとされています。

それは、発症後に症状がある期間の内、約1/3~半分が「うつ」状態であると言われており、「うつ」の期間が「躁」の期間よりも多いためです。「躁」症状になった経験がある場合も、本人には「うつに付随する症状」という自覚がないため診療時に医師に話をしません。そして、「躁」状態の時には本人では「最近調子がいい」と感じる(気分が高揚している)ので、医者にかかることが稀なのです。

このような双極性障害特有のメカニズムのため、「うつ」状態の時のみ受診する、「躁」状態に気づかないため、双極性障害を見抜くことが難しいのです。特に、比較的軽い躁状態「軽躁」の場合、家族や主治医に見逃されることがあります。また、経過を長期的に渡り観察しないと双極性障害と診断されないことも多くみられます。近年では研究が進んだことで、うつ病や双極性障害であることを調べるために、「光トポグラフィー検査」といううつ病の状態を数値化する検査があります。検査の対象年齢は12歳からです。

双極性障害の治療方法

双極性障害の治療で重視されることは、躁うつの状態からの回復だけではありません。再発を繰り返すごとにそのスパンが短期間になり、悪化しやすいというリスクがあるため、再発を予防することが最も重要な治療となります。主に、薬物治療と心理社会的治療を組み合わせての治療となります。新たに磁気刺激治療(TMS)も抑うつ状態を改善する治療として、双極性障害にも取り入れられています。

薬物治療

双極性障害に有効な内服薬は、気分安定薬です。日本で主に処方される気分安定薬には、リチウム・バルプロ酸・カルバマゼピンです。最も広く使われているのはリチウムで、躁うつ症状の改善・予防効果、突発的に起こる自殺予防の効果があります。しかし、リチウムは効果的な治療薬や予防薬である反面、副作用が強く、血中濃度を測りながら服用する必要のある、難しい薬でもありますので、医師の判断が大切です。また、薬は薬の依存症になるリスクもあります。

主な副作用

  • 飲み始めの下痢
  • 食欲不振
  • 喉が渇く
  • 尿意が頻繁になる

また、適切な血中濃度で服用した場合でも長期間手の震えが出る場合もあります。しかし、副作用がこわいから、と薬の服用を止めるのはおすすめしません。どんな薬にも副作用がある反面で、治療の見込みがあるのです。「副作用が出たから、薬をやめる」となると、双極性障害の治療は途端に難しくなります。致死率を下げるためにも医師の指示に従い、適切な治療が大切です。

薬物治療では、副作用があることを前提として、副作用による症状との折り合いをつけながら、病状をコントロールすることで治療に望む姿勢が必要です。

心理社会的治療

薬での症状緩和に加えて、根本的な解決のために用いるのが心理社会的治療となります。単純な心の問題だけではないため、うつ病のようにカウンセリングをすれば治るというものではありません。しかし、下記のような精神療法ももちろん必要となります。

精神療法的治療「心理教育」

  • うつ病と正しく理解して、
    寄り添ってあげること
  • 心と体に現れた変化をチェックする
  • 大切な人の話はじっくり聞き、
    受け止めてあげること
  • 変化があればすぐに病院に
    連れて行ってあげること

まずは、自分の病気に対する理解を深めることからはじめます。双極性障害の性質や特徴、薬で解決できる症状と、それぞれの薬の副作用。また、再発のサインは何なのかを自分で把握できるようになることを目指します。

再発に気づけないと、自分自身で「発症している」という自覚を持てなくなり、病状悪化、通院不可などの状態に陥る可能性があります。しかし、再発時でも初めのうちに治療をはじめることで、重度な症状を食い止めることができます。再発時の初期症状を知ること、家族や身の回りの人間と共有することで再発の放置を予防します。また、きっかけとなりやすい心理的負担を事前に把握し、避けること、そのストレスに直面した際の対処法を考えることで、再発予防に関する知識を学ぶことができます。

また、双極性障害は、天候変化などに適応しようとする力(自律神経系の働き)が影響することが多いため、規則的な生活が効果的です。徹夜をしない、朝日を浴びる、適度な運動(散歩など)をする。どんな心理状態の場合でも、このように一定のルールを守った生活をすることで、病気の安定に繋がります

磁気刺激治療(TMS)

頭部に磁気を照射して、脳の働きを正常に戻し、うつ病を改善する方法です。双極性障害の場合、抑うつ状態を磁気刺激治療(TMS)で改善することで、状態が緩和されます。特に多くの種類を服用する可能性の高い薬物治療のような副作用はほとんどないので、体に負担をかけない新たなうつ病治療法として注目されています。既に薬物治療をしている方は薬なしの生活を目指せます。

注目されている理由

  • 副作用がほとんどない
  • 治療期間が短い(1ヶ月半~6ヶ月)
  • 通院治療
  • 改善効果が高い(約8割が改善)

双極性障害は、抑うつ状態と躁状態が入り混じり、混合型の症状がみられるため、診断基準が難しい病気です。したがって、診断と治療は慎重に行う必要があります。双極性障害は、誤診により最適な薬が処方されないリスクがあります。しかし、磁気刺激治療は抑うつ状態に対しての治療なので、最適な治療が安心して受けられます。

双極性障害の原因・発症要因

遺伝的要因

発症の原因として、上記に述べたように遺伝的要因が考えられていますが、双極性障害は遺伝病ではありません。(通常、遺伝病はある遺伝子を持っている場合に発症する病気を指します)

単一の遺伝子による要因ではなく、要因となる複数の遺伝子を持つことで、発症すると考えられています。それは、一卵性双生児と二卵性双生児を比較した場合、半分の遺伝子が一致する二卵性よりも、基本的に同一の遺伝子を持つ一卵性の方が、双子で発症する確率が高いことが理由です。一卵性双生児での発症率も、決して100%ではありません。

このとおり、双極性障害の発症に遺伝的要素は関係していますが、それだけで発症する病気ではないことがわかっています。「同じ遺伝子を持つから双極性障害になる」のではなく「原因となる複数の遺伝子を持っているからなりやすい」のです。

環境的要因

双極性障害の発症について、「どのような環境をたどった際に発症する」ということははっきりわかっていません。幼少期からの育った環境や、日常的に周囲から受けるストレスは、要因になりうると考えられていますが、解明はされていないのです。

病前性格(びょうぜんせいかく)

病前性格とは、発症前の性格のことです。この病前性格を調査した報告では、下記のような性格の方が双極性障害を発症しやすいと言われています。

  • 社交的
  • 周囲への心配りができる
  • ユーモアがある
  • 現実

しかし、あくまでこういった性格は発症の可能性がある危険因子であり、大きなストレスや生活リズムの乱れ(仕事が急に忙しくなり睡眠や食事がおろそかになる)など、何らかのきっかけがあった時に、複数の要因が重なり、双極性障害を発症すると言われています。

双極性障害の過去の事例

40代男性 職業:会社員

  • 双極性障害二型
  • まじめ

仕事が原因で調子が悪くなり、病院に行った所、鬱病と診断をされました。

それで通院を始めたのですが、全然状態が変わらないので、病院を変えたところ病名が双極性障害二型と診断され、病名が変わりました。

それから治したいと思い、その病院に通院をして約3年になるのですが、少し良くなったと思えば又悪くなったりを繰り返していました。それで先日一体いつになったら治るのでしょうか?とドクターに聞いた所、こういう病気は完治と言う事はない、寛解と言うんだと言われました。

寛解と言う言葉は、ある程度知っていましたがまさか自分がそういう状況だなんて思っていなかったもので正直ショックでした。ちなみに寛解と言うのは、ある程度症状が落ち着いた状態が続いている状態の事を言うのだとドクターから言われました。