進化しているうつ病の治療方法

進化しているうつ病の治療方法

うつ病はかなり前から知られていた疾患ですが、原因をつきとめられていないこともあり、確実性や即効性のある方法はなかなか確立されませんでした。
それでもこれまでに多数の治療方法が開発されており、最新治療法も登場しています。ここではまったく異なる方法を比較しながらそれぞれの違いを説明しましょう。

治療法1:経頭蓋磁気刺激治療法(TMS)

経頭蓋磁気刺激治療法(TMS)の様子

頭部に、磁気を照射して、脳の働きを正常に戻すことでうつ病を改善する方法です。

具体的には

代表的なものに、TMS(経頭蓋磁気刺激治療法)があります。
DLPFC(背外側前頭前野)と呼ばれる部位に、磁気を照射して活性化を行います。
DLPFCの機能が改善することで、不安感・焦燥感が解消されるほか、判断能力や好奇心、意欲といった機能が自然と回復しうつ病が改善します。

メリットとデメリット

頭皮の下の筋肉や神経を刺激するため、軽度の痛みや不快感を伴う可能性はあります。しかしそれ以外は副作用もほとんどなく、数回の治療で効果を実感することも少なくありません。体へのリスクが少なく、効果が高い方法とされています。

治療法2:長期的な休養をとる方法

長期的な休養をとりましょう

うつ病の治療で必ずと言っていいほどすすめられることは「しっかりと休養をとること」でしょう。

具体的には

「責任感の強い人ほど、うつ病になりやすい」とよくいわれています。
そのようなタイプの人は、仕事や家事等から思い切って当分の間離れないと、うつ病はよくなりません。そのため長期の休職に踏み切ったり、入院するなどして日常の雑務から完全に解放されることで生活リズムの根本的な見直しをはかり、うつ病を快方に向かわせる方法です。いつまで休んだら良いかという判断はドクターに相談し、アドバイスを受けましょう。

メリットとデメリット

長期的に休養を取ることでうつ病は徐々に回復します。しかし、再び仕事や家事のある日常に戻ったら、ぶり返してしまう恐れも少なくありません。

治療法3:投薬による方法

投薬のイメージ

うつ病専門の薬の投与は、うつ病治療の代表的な方法です。ほとんどの場合、数種類の薬を同時に服用し、その期間も長期にわたります。具体的な服用方法については、担当医とよく話し合う必要があります。

具体的には

以下3つが代表的なうつ病の薬ですが、
ほかにも症状に合わせてさまざまな薬を組み合わせます。

抗うつ薬

うつ病専用の薬の中核をなすもので、脳の中にある物質の作用を強化する役割を果たします。
抑うつ気分や不安感・焦燥感を解消させる働きを持つほか、意欲や物事に対しての好奇心を喚起する働きを持ちます。

抗不安薬

名前にあるように、不安を静める作用を持つ薬です。特に不安感・焦燥感が強い場合に処方されます。

睡眠薬

いつまでも寝付けない場合や、すぐに眠りから覚めてしまう場合に処方されます

メリットとデメリット

薬の服用のため、治療しやすい方法です。効果が出るまで時間がかかるほか、医師の指示があるまで服用を続ける必要があるといったデメリットがあります。
また、平衡感覚の欠如や脱力感といった副作用が出ることも少なくありません。

抗うつ薬の効能とリスク

抗うつ薬は、脳に含まれる神経伝達物質に対して作用するように製造されています。
神経伝達物質にも種類がありますが、

  • セロトニン
  • ノルアドレナリン

の2つに対して働きかけるように開発されています。
「この2つのどちらかに働くのか」で分類することもできますが、科学構造や作用機序等よって次のように分けることも多いです。

抗うつ薬

SSRI

セロトニンに強い効き目がある薬です。
服用後の副作用は少ないものの、飲んでから吐き気をもよおすこともあるため、慣れないうちはスムーズに飲めないという体験談も少なくありません。

SNRI

セロトニンにもノルアドレナリンにも効き目があります。
SSRIよりさらに副作用が少ないですが、排尿時に違和感を覚えたり、のどの渇きをずっと覚えたりするという特徴があります。

NaSSA

ノルアドレナリンに強い効き目を発揮します。
速効性も他の薬と比べて速いという傾向がありますが、服用後にかなりの眠気をもよおすことがあるため仕事等を休まない場合は注意が必要です。

三環系

セロトニンにもノルアドレナリンにも効き目があります。
ただし副作用も強めで、のどの渇きや排尿時の違和感ほか、眼圧が上昇するといったデメリットがあります。

四環系

三環系と同様に、セロトニンにもノルアドレナリンにも効き目があります。
副作用は三環系と比べれば比較的緩和される傾向がありますが、それでものどの渇きや眠気、平衡感覚の欠如や排尿時の違和感…と、種類は多岐にわたります。

どの薬についても一長一短があり、決定的な薬は存在しません。
通常は医師と詳細に相談して決めることになりますが、服用の際の注意点や
副作用等についてよく教わっておく必要
があります。
人によっては薬との相性が悪く、治療効果を感じられないケースもあります。
薬以外の治療方法にも目を向けることは大切なことでしょう。

治療法4:精神療法・心理療法

経験を積んだカウンセラーの指導のもとで、うつ病をゆっくりと克服していく方法です。
現在のうつ病については、「認知行動療法」が有名で、英米のようなうつ病治療の先進国においては、投薬治療と同等に認知されています。

具体的には

認知行動療法では、マイナス思考に支配された患者の考え方を徐々に異なる方向に変えていきます。自分の考え方を自分の力で変えていくことになるため、成功した場合はうつ病になりにくい性格に変わることも可能です。

メリットとデメリット

投薬治療などとは違い、副作用など身体への負担がありません。
自分で自分の性格を変えていくことになるため、まったく変わろうとする意欲がない場合や、ただ指示に従っているだけの、受け身の態度が目立つ場合は、効果が出ない可能性も高まります。
また、医療機関ではない場所で受けると健康保険が適用されません。

治療法5:電気けいれん療法

頭部に、電気を流して、うつ病を改善する方法です。

具体的には

代表的なものに、ECT(電気けいれん療法)があります。
両前頭葉上の皮膚に電極をあてて、通電を行う方法です。

メリットとデメリット

自殺の危険性がある重度のうつ病や双極性障害に効果があります。しかし、記憶障害をはじめ、さまざまな副作用を伴う方法でもあります。
また、全身麻酔をかけてから行うため、入院する必要もあります。

主なうつ病治療との比較

項目治療費治療期間副作用仕事
国内
TMS治療
(通院)
約60万円約1.5か月ほとんど
なし
支障なし
アメリカ
TMS治療
約240万円約1か月ほとんど
なし
休職
薬物治療と
カウンセリング
約72万円平均5年副作用あり副作用がでると
支障あり
電気けいれん
療法
約50~
70万円
数週間~
数か月
体に
大きな負担
入院のため休職

うつ病の磁気刺激治療が受けられる医療施設

TMS治療を受けられる医療施設の一覧になります。治療は予約制となっている医療施設もありますので、治療を希望される場合は、ホームページやお電話にて事前にご確認の上、受診してください。
なお実施の有無が変更している場合もございますので、直接医療施設へお問い合わせください。

掲載している情報についてのご注意

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