うつ病の診断書のもらい方は!【即日発行可能】すぐもらえる人やもらうべき理由、タイミングを解説

うつ病かもしれないと感じたり、医師からうつ病の可能性を伝えられたりしたとき、多くの方が「診断書」の必要性に直面します。休職や傷病手当金の申請、学校への提出など、さまざまな場面で求められる診断書ですが、「どうやってもらうの?」「どこで頼めば?費用は?」「診断書には何が書かれるの?会社にどこまで伝わる?」といった疑問や不安を抱える方も少なくないでしょう。

この記事では、うつ病の診断書が必要になった方のために、その取得方法から費用、記載内容、主な用途、そして会社や学校への提出時の注意点まで、網羅的に徹底解説します。この記事を読めば、診断書に関する一連の流れを理解し、安心して手続きを進めるための一歩を踏み出せるはずです。

うつ病の診断書とは?|法的根拠と社会的な役割

まず、うつ病の診断書がどのようなものなのか、基本的な知識を押さえておきましょう。

診断書の定義
診断書とは、医師が患者さんの病状や治療内容、療養に関する意見などを証明するために作成する公的な書類です。

法的根拠
医師には、患者さんから診断書の交付を求められた場合、正当な理由がなければこれを拒否できない義務があります。これは医師法第19条第2項に定められています。

なぜ必要か(社会的な役割)
うつ病の診断書は、主に以下のような社会的な役割を果たします。

  • 休職・休学の証明: 会社や学校に対して、うつ病により療養が必要であることを正式に伝えるために用いられます。これにより、安心して治療に専念できる環境を整える一助となります。
  • 公的支援の申請: 傷病手当金、障害年金、自立支援医療(精神通院医療)といった経済的なサポートや医療費の助成を受けるための重要な証明書類となります。
  • 労務管理: 企業が従業員の健康状態を把握し、療養後の復職支援や、症状に応じた業務軽減、配置転換といった適切な配慮を行うための根拠として活用されます。

誤解されがちなポイント
診断書は、単に「お休みするための許可証」というわけではありません。診断書は、ご自身が適切な治療を受け、必要な社会的サポートを得て回復に向かうための大切なステップの一つです。また、診断書を提出したからといって、必ずしも全ての要求(例えば、希望通りの休職期間や業務内容の変更など)がそのまま認められるわけではないことも理解しておく必要があります。最終的な判断は、提出先の規定や状況に応じて行われます。

【5ステップ解説】うつ病の診断書の取得方法と流れ

それでは、具体的にうつ病の診断書を取得するまでの流れを5つのステップで見ていきましょう。

ステップ1:受診する医療機関を選ぶ(精神科・心療内科)

うつ病の診断や診断書の作成は、主に精神科心療内科といった専門の医療機関で行われます。

  • 医療機関の選び方:
  • 専門性: うつ病治療の実績が豊富か、専門医が在籍しているかなどを確認しましょう。
  • 通いやすさ: 治療には継続的な通院が必要になることが多いため、自宅や職場からアクセスしやすい場所を選ぶと負担が少ないでしょう。
  • 予約の取りやすさ: スムーズに初診の予約が取れるか、またその後の通院予約がしやすいかも確認しておくと安心です。
  • 雰囲気: 医療機関のウェブサイトを見たり、口コミを参考にしたりして、自分に合いそうな雰囲気の場所を選ぶのも一つの方法です。
  • かかりつけ医への相談: もし普段から通っているかかりつけの内科医などがいる場合は、まずそこで相談してみるのも良いでしょう。症状によっては、かかりつけ医から専門医を紹介してもらえることもあります。ただし、休職や公的支援の申請など、診断書の提出先によっては精神科医や心療内科医による専門的な診断書が求められるケースが多いです。
  • オンライン診療: 最近では、オンライン診療で診察を受け、診断書を発行してくれる医療機関も増えてきました。通院が難しい場合には選択肢の一つとなりますが、注意点もあります。多くの場合、初診は対面での診察が原則とされていたり、発行できる診断書の種類に制限があったりする可能性があります。また、会社や提出先によってはオンライン診療で発行された診断書が認められないケースも考えられるため、事前に確認が必要です。

多くの方が見落としがちなポイント:
オンライン診療は便利ですが、うつ病の診断は詳細な問診や精神状態の評価が重要です。症状が複雑な場合や、初めて精神科・心療内科を受診する場合は、可能であれば対面診療で医師と直接話をし、じっくりと診察を受けることをお勧めします。また、オンライン診療で診断書を依頼する際は、その診断書が提出先の要件を満たすかどうかを必ず事前に確認しましょう。

ステップ2:診察を受ける(症状を正確に伝える)

医療機関を選んだら、次は診察です。

  • 予約: 多くの精神科・心療内科は予約制です。電話や医療機関のウェブサイトから予約を取りましょう。
  • 医師に伝えるべきこと: 診察では、ご自身の状態を正直かつ具体的に伝えることが大切です。
  • いつからどのような症状があるか(例:気分の落ち込み、興味・関心の喪失、不眠、食欲不振、集中力低下、疲れやすさなど)
  • それらの症状が日常生活や仕事・学業にどの程度支障をきたしているか
  • これまでの病歴(既往歴)、現在服用中の薬(お薬手帳があれば持参しましょう)
  • 家族構成や職場・学校の環境など、ストレスの原因となりうる事柄
  • 診断書が必要な理由や提出先(もし分かっていれば)
  • 診断までの期間: うつ病の診断は、一度の診察ですぐに確定することもあれば、症状の経過を慎重に見るために複数回の受診が必要となる場合もあります。焦らず、医師の指示に従いましょう。

ステップ3:医師に診断書の作成を依頼する

うつ病である、あるいはその可能性が高いと医師が判断し、治療方針が決まってきた段階で、診断書の作成を依頼します。診断書が必要な旨は、初診時や診察の早い段階で伝えておくとスムーズな場合があります。

依頼する際には、以下の情報を正確に伝えましょう。

  • 診断書の提出先: 会社(人事部、上司など)、学校(学生課、保健室など)、健康保険組合、市区町村役場など。
  • 必要な記載項目: 提出先によっては、診断書に特定の項目(例:具体的な休職期間の明記、業務遂行能力に関する意見など)を記載するよう求められることがあります。もし指定の様式や指示があれば、医師に伝えましょう。
  • 必要な部数: 複数箇所に提出する必要がある場合は、必要な部数を伝えます。
  • いつまでに必要か(提出期限): 診断書には発行までに時間がかかる場合があるため、提出期限を伝え、余裕をもって依頼することが大切です。

医師は、患者さんの症状や状況、そして提出先の用途に応じて、診断書に記載する内容を判断します。

ステップ4:診断書を受け取る

診断書が作成されたら、医療機関の窓口で受け取るのが一般的です。郵送に対応している医療機関もあります。

受け取る際には、以下の点を確認しましょう。

  • 氏名、生年月日などの基本情報に誤りがないか。
  • 依頼した内容(傷病名、療養期間の目安など)が記載されているか。
  • 医療機関名や医師名、押印がされているか。

もし記載内容に不明な点や誤りと思われる箇所があれば、その場で医療機関のスタッフや医師に確認しましょう。

ステップ5:費用を支払う

診断書の発行には費用がかかります。これは健康保険の適用外となり、全額自己負担となります。

  • 費用相場: 費用は医療機関や診断書の種類によって異なります。
  • 一般的な診断書(会社や学校提出用など): 3,000円~7,000円程度
  • 傷病手当金申請書の医師記入欄: 同程度か、やや高めになることもあります。
  • 障害年金用の診断書: 記載項目が多く複雑なため、10,000円以上かかる場合もあります。
    事前に医療機関に確認しておくと良いでしょう。
  • 医療費控除: 診断書の費用が医療費控除の対象になるかどうかは、その目的によります。一般的に、単に会社や学校に提出するための証明として発行された診断書の費用は対象外となることが多いです。しかし、傷病手当金の申請に必要な診断書のように、治療を受けるために直接必要な費用と見なされる場合には対象となる可能性もあります。判断が難しい場合は、管轄の税務署や税理士に確認することをおすすめします。

診断書発行までにかかる期間は?即日発行も可能?

診断書の作成にかかる期間は、医療機関や医師の状況、診断の進捗によって異なります。

  • 即日発行が可能なケース:
  • 既に継続して通院しており、病状や治療方針が安定している場合。
  • 記載内容が比較的簡易な診断書の場合。
  • オンライン診療の一部サービスで、条件を満たせば即日発行を謳っているところもありますが、前述の通り注意が必要です。
  • 通常かかる期間: 一般的には、依頼してから数日~1週間程度かかることが多いようです。特に初診の場合は、まず診断を確定させるための診察や検査に時間が必要となるため、診断書の発行までにはさらに時間がかかる可能性があります。
  • 余裕を持った依頼を: 提出期限が決まっている場合は、診断書が必要になった時点で早めに医師に相談し、発行までの期間を確認した上で、余裕をもって依頼しましょう。

診断書取得に必要なもの

診断書を取得するにあたって、特別に多くの準備が必要なわけではありませんが、以下のものを準備しておくとスムーズです。

  • 医療機関受診時:
  • 健康保険証
  • お持ちであれば診察券(再診の場合)
  • お薬手帳(他の薬を服用中の場合)
  • 紹介状(他の医療機関からの紹介の場合)
  • 診断書発行依頼時:
  • 特に追加で必須となるものは少ないですが、提出先から指定された診断書の様式がある場合は、必ず持参して医師に渡してください。
  • 診断書の用途や提出先、必要な記載事項などをまとめたメモがあると、医師に伝えやすくなります。

うつ病の診断書に記載される内容と主な用途

うつ病の診断書には、どのような情報が書かれるのでしょうか。また、それは主にどのような目的で使われるのでしょうか。

うつ病の診断書には何が書かれる?主な記載項目

一般的なうつ病の診断書に記載される主な項目は以下の通りです。医療機関や診断書の様式によって多少異なる場合があります。

  • 患者情報: 氏名、生年月日、性別、住所など
  • 傷病名: 例:「うつ病」「抑うつ状態」「気分変調症」など、医師が診断した病名。
  • 発症年月日または初診日: 症状が出始めた日、またはその医療機関を初めて受診した日。
  • 主な症状: 患者さんが訴える具体的な症状(例:抑うつ気分、意欲低下、不眠、食欲不振、思考力低下など)や、医師が診察で認めた所見、症状の重症度などが記載されます。近年は、症状の客観的な評価が重視される傾向にあり、より具体的な記述が求められることもあります。
  • 治療内容: 現在行っている、あるいは今後予定している治療の概要(例:薬物療法の種類、精神療法の実施、休養の必要性など)。詳細な処方内容まで記載されることは少ないです。
  • 療養に関する医師の意見: これが診断書の中でも特に重要な部分です。
  • 就労の可否: 現在の状態で仕事が可能か、不可能か。
  • 休職が必要な期間の目安: 「○月○日より約○ヶ月間の自宅療養を要す」といった形で記載されます。
  • 就業上の配慮事項: もし就労可能な場合や復職する場合に、会社側が配慮すべき事項(例:時間外労働の制限、業務負荷の軽減、配置転換の検討など)が具体的に記載されることもあります。
  • 発行日、医療機関名、所在地、電話番号、医師名、押印

傷病手当金申請用の診断書や障害年金用の診断書など、特定の用途で使用する診断書の場合は、それぞれの制度で定められた様式があり、上記以外にも必要な記載項目が追加されることがあります。

医師は、患者さんのプライバシーに配慮しつつ、提出先に必要な情報が的確に伝わるように記載内容を調整します。

うつ病の診断書の主な提出先と用途

うつ病の診断書は、以下のような場面で必要とされます。

① 会社(休職・復職、労務管理)

  • 休職手続き: うつ病により一定期間の休養が必要と医師が判断した場合、会社に休職を申し出るために診断書を提出します。これにより、会社は就業規則に基づいて休職を発令し、その間の給与や社会保険の取り扱いなどを決定します。
  • 復職の判断: 休職期間が終了し、症状が改善して復職を考える際には、多くの場合、主治医による「復職可能」との判断が記された診断書(復職診断書、治癒証明などと呼ばれることもあります)の提出が求められます。会社によっては、産業医との面談も必要になることがあります。
  • 業務上の配慮: 症状が軽快し就労は可能であるものの、まだ本調子ではない場合や、再発予防のために、診断書に基づいて業務内容の調整(例:残業の免除、短時間勤務、ストレスの少ない部署への異動など)を会社に求める際の根拠となります。会社には、従業員の健康と安全に配慮する義務(安全配慮義務)があり、診断書の意見はこれを果たす上で重要な情報となります。

提出時の注意点:

  • 提出タイミング: 会社の就業規則に診断書提出に関する規定があるはずなので、それを確認し、可能な限り速やかに提出しましょう。
  • 誰に渡すか: 通常は直属の上司や人事労務担当者に提出します。会社の指示に従ってください。
  • 伝え方: 診断書に記載されている病名や症状の詳細まで全てを会社に伝える義務はありません。しかし、必要な休養期間や求める配慮(例:「○ヶ月の休養が必要です」「復職後は当面、残業は控える必要があります」など)については、診断書の内容を元に具体的に伝えることが重要です。
  • プライバシーへの配慮: 会社は、従業員の病状に関する個人情報を適切に取り扱い、プライバシーを保護する法的義務があります。診断書の取り扱いについても、社内で適切な管理体制が取られているはずです。心配な場合は、人事担当者に確認してみましょう。

社員と上司の会話例(シナリオ)

社員: 「(上司に)〇〇部長、少しお時間よろしいでしょうか。実は、先日病院で診察を受けた結果、うつ病と診断されました。医師からは、治療に専念するため、本日より2ヶ月程度の休職が必要との診断書をいただきました。こちらがその診断書です。」

上司: 「そうですか…。それは大変でしたね。診断書、確認します。(診断書に目を通し)分かりました。まずはゆっくり療養することが大切ですね。休職の手続きについては、人事担当の△△さんと連携して進めますので安心してください。休職中の連絡方法や、何か会社としてサポートできることがあれば遠慮なく相談してください。」

社員: 「ありがとうございます。休職期間中は、治療に専念したいと思います。手続きについて、また人事の方からもご連絡いただけると助かります。」

② 学校(休学・復学)

  • 休学手続き: 学生の方がうつ病により学業の継続が一時的に困難になった場合、休学するために診断書の提出が必要になります。
  • 復学の判断: 休学期間が終わり、復学する際にも、主治医による学業再開が可能である旨の診断書が求められることが一般的です。
  • 提出時の注意点: 提出先は、学校の保健室、学生相談室、学部・学科の事務室など、学校によって異なります。事前に担当窓口に確認しましょう。

③ 健康保険組合・協会けんぽなど(傷病手当金の申請)

  • 傷病手当金の概要: 傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。連続して3日間会社を休んだ後、4日目以降も休んだ日に対して支給されます(一定の条件あり)。
  • 申請における診断書の役割: 傷病手当金の申請には、医師が「労務不能(仕事ができない状態)」であったことを証明する書類が必要です。多くの場合、申請書に医師が記入する欄が設けられています。
  • 注意点:
  • 申請には期限があります。また、支給条件(被保険者期間など)も確認が必要です。
  • 医師に記載を依頼する際は、「傷病手当金の申請用であること」を明確に伝え、専用の申請用紙があればそれを渡しましょう。
  • 医師の記載内容に不備(例:労務不能と認める期間が明確でない、症状の具体的な説明が不足しているなど)があると、審査に時間がかかったり、最悪の場合、不支給となったりする可能性があります。医師とよく相談し、必要な情報が記載されるようにしましょう。

④ その他公的支援制度

うつ病の診断書は、上記以外にも様々な公적支援制度を利用する際に必要となることがあります。

  • 障害年金: うつ病などの精神疾患によって、長期にわたり日常生活や仕事に著しい支障がある場合に申請できる年金制度です。申請には専用の診断書が必要で、その記載内容が障害等級の認定に大きく影響します。
  • 自立支援医療(精神通院医療): 精神疾患の治療のために継続的な通院が必要な場合に、医療費の自己負担額を軽減する制度です。申請には、医師の診断書(意見書)が必要となります。
  • その他: 地方自治体が独自に行っている見舞金制度や生活福祉資金貸付制度などで、診断書の提出を求められる場合があります。

これらの制度を利用する際は、それぞれの申請窓口(年金事務所、市区町村役場、精神保健福祉センターなど)に詳細を問い合わせ、必要な書類や手続きを確認しましょう。

うつ病の診断書をスムーズに取得・活用するための3つのポイント

診断書を円滑に取得し、ご自身の療養や社会生活に役立てるためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

1. 医師とのコミュニケーションを大切に

最も重要なのは、担当医師との良好なコミュニケーションです。

  • 具体的に伝える: ご自身の症状や、それによって日常生活や仕事で困っていること、診断書をどのような目的で使用したいのか(どこに提出し、どのような配慮を求めているかなど)を具体的に医師に伝えましょう。これにより、医師は状況を正確に把握し、適切な内容の診断書を作成しやすくなります。
  • 遠慮なく質問する: 診断書の内容について不明な点や不安な点があれば、遠慮なく医師に質問しましょう。例えば、「この療養期間の目安はどのような根拠に基づいているのですか?」「会社には、この診断書をどのように説明すればよいでしょうか?」など、疑問を解消しておくことが大切です。
  • 治療方針の共有: 診断書は治療の一部です。治療方針や療養計画全体についても医師とよく話し合い、納得して治療を進めることが、結果としてスムーズな回復、そして診断書の適切な活用にも繋がります。

2. 提出先の要件と期限を事前に確認する

診断書を提出する会社、学校、公的機関などによって、求められる記載項目や様式、提出期限が異なる場合があります。

  • 要件の確認: 診断書を依頼する前に、提出先に「どのような内容の診断書が必要か」「指定の様式はあるか」「いつまでに提出が必要か」などを必ず確認しましょう。特に、会社独自の休職規定や、傷病手当金・障害年金などの公的制度では、詳細な要件が定められていることがあります。
  • 医師への情報提供: 確認した要件を医師に正確に伝えることで、二度手間を防ぎ、適切な診断書をスムーズに発行してもらいやすくなります。
  • 有効期限の確認: 診断書には一般的に有効期限があります。多くの場合、発行日から3ヶ月以内とされることが多いですが、提出先によって異なるため、これも事前に確認しておくと安心です。

3. 【意外なポイント】診断書は「万能薬」ではないと理解し、コピーを保管する

  • 意外性:診断書は万能薬ではない: 診断書は、医師が医学的な見地から患者さんの状態を証明する重要な書類ですが、それ自体が全ての問題を解決してくれる「万能薬」ではありません。例えば、休職の可否や期間、傷病手当金の支給決定などは、最終的には診断書を受け取った会社や健康保険組合などが、それぞれの規定や状況に基づいて判断します。診断書はそのための重要な判断材料の一つであると理解しましょう。
  • 療養への専念が最優先: 診断書を提出したからといって、すぐに全ての悩みが解決するわけではありません。最も大切なのは、医師の指示に従い、焦らずに治療と療養に専念することです。
  • コピーの保管: 診断書の原本は提出先に渡してしまうため、手元に残りません。提出する前に、必ずコピーを取るか、スマートフォンなどで写真データとして複数保管しておきましょう。後日、別の手続きで診断書の内容が必要になったり、ご自身で記載内容を再確認したりする際に非常に役立ちます。これは多くの方が見落としがちですが、非常に重要なポイントです。

よくある質問と回答(Q&A)

うつ病の診断書に関して、多くの方が抱きやすい疑問とその回答をまとめました。

Q1. うつ病の診断書を医師に依頼しても、書いてもらえないことはありますか?

A1. 基本的に、医師は医師法第19条第2項に基づき、正当な理由なく診断書の交付を拒否することはできません。
しかし、以下のような場合には、すぐには発行されなかったり、希望通りの内容にならなかったりすることがあります。

  • うつ病の診断に至っていない場合: 症状が軽微であったり、他の疾患の可能性があったりして、まだうつ病との確定診断が下せない段階では、診断書の発行が見送られることがあります。
  • 診断書の必要性が低いと医師が判断した場合: 例えば、症状が非常に軽く、休職や特別な配慮が必要ないと医師が判断した場合などです。
  • 依頼内容が医学的見地から妥当でない場合: 例えば、症状に対して不当に長い休職期間を希望したり、現実的でない業務配慮を求めたりする場合など、医師が医学的根拠に基づいて支持できない内容の診断書作成は難しいでしょう。

まずは医師とよく話し合い、なぜ診断書が必要なのか、どのような内容を希望するのかを具体的に伝えることが大切です。それでも納得のいく対応が得られない場合は、セカンドオピニオンを検討することも一つの選択肢です。

Q2. 診断書の発行費用は、医療費控除の対象になりますか?

A2. 一般的に、治療に直接関連しない診断書、例えば会社や学校に提出する単なる休職や休学の証明としての診断書の費用は、医療費控除の対象外となることが多いです。
しかし、傷病手当金の申請に必要な診断書(医師の意見書部分)など、その診断書がなければ給付を受けられない、つまり実質的に治療や生活を支えるために必要な書類と見なされる場合は、医療費控除の対象となる可能性もあります。
この判断は個別のケースや税務署の見解によって異なることがあるため、詳細は管轄の税務署や税理士にご確認いただくのが最も確実です。

Q3. 診断書の内容に納得がいかない、または会社にどこまで伝えるべきか悩んでいます。

A3. 診断書の内容に納得がいかない場合:
まずは、診断書を作成した医師にその旨を伝え、疑問点や不安な点を具体的に説明し、なぜそのような記載になったのか説明を求めましょう。場合によっては、患者さんの状況や意向を再度伝えることで、内容の修正や追記が可能か相談できることもあります。
それでも医師との間で理解が得られなかったり、納得のいく説明が得られなかったりする場合には、別の医師(他の医療機関)にセカンドオピニオンを求めることも検討できます。

会社にどこまで伝えるべきか:
病名や症状の詳細など、プライバシーに関わる情報を全て会社に報告する義務はありません。しかし、休職や業務上の配慮を適切に受けるためには、診断書に記載されている「療養が必要な期間の目安」や「就業上必要な配慮事項(例:残業制限、業務内容の調整など)」といった情報は、会社に正確に伝える必要があります。
どこまでの情報を伝えるべきか悩む場合は、一人で抱え込まず、以下のような相談先を活用することも有効です。

  • 会社の産業医や保健師
  • 社内の人事労務担当者や相談窓口
  • 労働組合の担当者
  • 社外の専門家(例:精神保健福祉士、キャリアコンサルタントなど)

診断書はあくまで医学的な見地からの意見であり、最終的な休職の承認や配慮の決定は会社側が行うという点も理解しておきましょう。

Q4. (代替案・応用策) 診断書をもらうほどではないかもしれないけれど、心身の不調で仕事や学業が辛い場合はどうすれば?

A4. 診断書が必要なほどの状態ではないと感じていても、心身の不調によって仕事や学業が辛いと感じることは誰にでも起こり得ます。そのような場合は、以下の対応を検討してみてください。

  • 早めに専門医に相談する: 「診断書をもらうほどではない」という自己判断が、必ずしも医学的に正しいとは限りません。不調を感じたら、まずは精神科や心療内科を受診し、専門医に相談することをおすすめします。診断書の要否に関わらず、適切なアドバイスや治療を受けることで、症状が悪化する前に対処できる可能性があります。
  • 社内・学内の相談窓口を利用する: 多くの会社には産業医やカウンセラー、健康管理室などが設置されています。学校にも保健室の先生やスクールカウンセラー、学生相談室などがあります。これらの専門家は、守秘義務を守った上で話を聞き、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。
  • 上司や担当教員に相談する: 信頼できる上司や同僚、学校の先生に、現在の状況を正直に話してみるのも一つの方法です。診断書がなくても、一時的な業務量の調整、休憩の取り方の工夫、課題の期限延長など、周囲の理解と配慮を得られる場合があります。
  • 公的な相談窓口を活用する: 「いのちの電話」や、お住まいの地域の精神保健福祉センターなど、無料で相談できる公的な窓口もあります。匿名で相談できる場合も多いので、まずは話を聞いてもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。

最も大切なのは、一人で抱え込まず、辛いと感じた時点で誰かに相談することです。早めの対処が、早期の回復に繋がります。

まとめ:うつ病の診断書は、適切な治療とサポートを受けるための大切な一歩

この記事では、うつ病の診断書について、その取得方法から記載内容、費用、提出時の注意点まで詳しく解説してきました。

主なポイントの再確認:

  • うつ病の診断書は、主に精神科・心療内科で発行され、休職や休学、傷病手当金などの公的支援の申請に不可欠な書類です。
  • 取得には、医療機関の選定、診察、医師への依頼、受け取り、費用の支払いといったステップがあり、発行までには時間がかかる場合があるため、事前に流れや必要事項を確認することが大切です。
  • 診断書に記載される内容は、患者情報、傷病名、症状、療養期間の目安、就業上の配慮など多岐にわたります。医師とよく相談し、提出先の要件も事前に確認しましょう。
  • 診断書は万能ではありません。最も重要なのは、医師の指示に従い、適切な治療と療養に専念することです。

うつ病の診断書を取得することは、決して特別なことではありません。ご自身の心身の健康を守り、必要なサポートを受けながら安心して療養し、回復していくための積極的で大切な行動の一つです。

もし今、心身の不調を感じていたり、診断書について不安や疑問を抱えていたりするなら、まずは勇気を出して専門医に相談してみてください。この記事が、あなたが次の一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

会社の制度や公的支援についても、積極的に情報収集し、利用できるものは上手に活用していきましょう。

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