うつ病の治療方法
うつ病の治療方法も年々進歩しています
うつ病の治療方法はバラエティに富んでいます
うつ病はかなり前から知られていた疾患ですが、原因をつきとめられていないこともあり、確実性や即効性のある方法はなかなか確立されませんでした。
それでもこれまでに多数の治療方法が開発されており、最新治療法も登場しています。
ここではまったく異なる方法を比較しながらそれぞれの違いを説明しましょう。
長期的な休養をとる方法
うつ病の治療で必ずと言っていいほどすすめられることは「しっかりと休養をとること」でしょう。

「責任感の強い人ほど、うつ病になりやすい」とよくいわれています。
そのようなタイプの人は、仕事や家事等から思い切って当分の間離れないと、うつ病はよくなりません。そのため長期の休職に踏み切ったり、入院するなどして日常の雑務から完全に解放されることで生活リズムの根本的な見直しをはかり、うつ病を快方に向かわせる方法です。いつまで休んだら良いかという判断はドクターに相談し、アドバイスを受けましょう。

再び仕事や家事のある日常に戻ったら、ぶり返してしまう恐れも少なくありません。
投薬による方法
うつ病専門の薬の投与は、うつ病治療の代表的な方法です。
ほとんどの場合、数種類の薬を同時に服用し、その期間も長期にわたります。
具体的な服用方法については、担当医とよく話し合う必要があります。
※よく使われる薬の具体的な名前や詳細については、「薬の効果と副作用」をご覧ください。

1. 抗うつ薬
うつ病専用の薬の中核をなすもので、脳の中にある物質の作用を強化する役割を果たします。
抑うつ気分や不安感・焦燥感を解消させる働きを持つほか、意欲や物事に対しての好奇心を喚起する働きを持ちます。
2. 抗不安薬
名前にあるように、不安を静める作用を持つ薬です。特に不安感・焦燥感が強い場合に処方されます。
3. 睡眠薬
いつまでも寝付けない場合や、すぐに眠りから覚めてしまう場合に処方されます。
以上が代表的なうつ病の薬ですが、ほかにも症状に合わせてさまざまな薬を組み合わせます。

効果が出るまで時間がかかるほか、医師の指示があるまで服用を続ける必要があるといったデメリットがあります。また、平衡感覚の欠如や脱力感といった副作用が出ることも少なくありません。
精神療法・心理療法
経験を積んだカウンセラーの指導のもとで、うつ病をゆっくりと克服していく方法です。
現在のうつ病については、「認知行動療法」が有名で、英米のようなうつ病治療の先進国においては、投薬治療と同等に認知されています。

認知行動療法では、マイナス思考に支配された患者の考え方を徐々に異なる方向に変えていきます。
自分の考え方を自分の力で変えていくことになるため、成功した場合はうつ病になりにくい性格に変わることも可能です。

自分で自分の性格を変えていくことになるため、まったく変わろうとする意欲がない場合や、ただ指示に従っているだけの、受け身の態度が目立つ場合は、効果が出ない可能性も高まります。
また、医療機関ではない場所で受けると健康保険が適用されません。
電気けいれん療法
患者の頭部に、電気や磁気を照射して、うつ病を改善する方法です。

代表的なものに、「ECT(電気けいれん療法)」があります。
両前頭葉上の皮膚に電極をあてて、通電を行う方法です。

記憶障害をはじめ、さまざまな副作用を伴う方法でもあります。
また、全身麻酔をかけてから行うため、入院する必要もあります。
経頭蓋磁気刺激治療法(TMS)
患者の頭部に、磁気を照射して、うつ病を改善する方法です。

代表的なものに、「TMS(経頭蓋磁気刺激治療法)」があります。
DLPFC(背外側前頭前野)と呼ばれる部位に、40分程度磁気を照射して活性化を行います。
DLPFCの機能が改善することで、不安感・焦燥感が解消されるほか、判断能力や好奇心、意欲といった機能が自然と回復します。

頭皮の下の筋肉や神経を刺激するため、軽度の痛みや不快感を伴う可能性はあります。しかしそれ以外は副作用もなく、数回の治療で効果を実感することも少なくありません。
他の治療との比較
治療費 | 治療期間 | 副作用 | 仕事 | |
---|---|---|---|---|
日本国内でのTMS治療 (通院治療) |
約100万円 | 約1.5ヶ月 | ほとんどなし | 勤務しながら通院 |
アメリカでのTMS治療 | 約240万円 | 約1ヶ月 | ほとんどなし | 休職 |
薬物治療+カウンセリング (5年通院治療 退職のケース) |
約72万円(5年間 年間14.4万) | 5年(半年から十数年) | 副作用必ずあり | 退職 |
電気けいれん療法 | 約50〜70万円 (入院費含む) |
数週間〜数ヶ月 | 体に大きな負担 | 休職 |
磁気刺激治療が受けられるクリニック
うつ病治療として使用
東京都新宿区 | 新宿ストレスクリニック 本院 | https://www.shinjuku-stress.com/clinic/shinjuku/ |
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東京都三鷹市 | 杏林大学医学部付属病院 | http://www.kyorin-u.ac.jp/hospital/ |
神奈川県横浜市 | 芹香(きんこう)病院 | http://seishin.kanagawa-pho.jp/index.html |
愛知県名古屋市 | 新宿ストレスクリニック 名古屋院 | https://www.shinjuku-stress.com/clinic/nagoya/ |
大阪府大阪市 | 新宿ストレスクリニック 梅田院 | https://www.shinjuku-stress.com/clinic/umeda/ |
福岡県糟屋郡 | 社会医療法人 青洲会 福岡青洲会病院 | http://www.f-seisyukai.jp/about/keizugai.html |
脳のリハビリとして使用
東京都港区 | 東京慈恵会医科大学 | http://www.jikei-reha.com/?page_id=509 |
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埼玉県さいたま市 | 医療法人社団ブレイン・コンシェルジュ おちあい脳クリニック | http://www.brainconcierge.com/ |
愛知県名古屋市 | 医療法人コジマ会 ジャパン藤脳クリニック | http://www.prof-k.jp/kei/ |
岐阜県岐阜市 | 河村病院 | http://kawamuramedical.or.jp/ |
京都府京都市 | 京都大原記念病院 | http://www.kyotoohara.jp/ft_neuro15/ |
大阪府吹田市 | 大阪大学医学部附属病院 | http://neuromod.casi.osaka-u.ac.jp/project.html |
兵庫県宝塚市 | 宝塚リハビリテーション病院 | http://www.takara-reha.com/magnetism/index.html |
鳥取県倉吉市 | 医療法人(財団)共済会 清水病院 | http://shimizuhospital.jp/index.php?id=115 |
福岡県糟屋郡 | 社会医療法人 青洲会 福岡青洲会病院 | http://www.f-seisyukai.jp/about/keizugai.html |
研究報告
日本臨床神経生理学会 | 磁気刺激法に関する委員会報告 | http://jscn.umin.ac.jp/files/guideline/TMS30_3.pdf |
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クリニカルTMSソサエティ | アメリカのTMS協会 | http://www.clinicaltmssociety.org/ |