職場うつの実態・原因
処理しきれないほどの業務を抱え込んだり、上司や同僚の期待に応えようと頑張りすぎたりしていませんか?
まじめに仕事に取り組んだり、親しい人間のために頑張ろうとすることは大事なことです。しかし、どんなことにも限度があります。多忙で息つく暇もない、いつも何かやらなければいけないことに追われている。そんな状態じゃありませんか?
また、そんな方が周囲にいませんか?過労や過度なストレス負荷は要注意のサインです。こうした状態が続くと、うつ状態に陥る恐れがあります。職場における過労・対人ストレスにより発症するうつは「職場うつ」と呼ばれています。
強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者割合の推移(労働者=100%)
うつ病になりやすい、危険な働き方
職場で不安・ストレスを感じる人がすべてうつ病なるというわけではありません。うつ病になりやすい人には、3つの危険な働き方の傾向があります。
職場うつになりやすい人の特徴
特別に変わったことではないため、該当する人が多いかもしれませんが、「うつかも……」と過敏になることはありません。うつ病は誰でもかかる可能性のある病気だということを知っておくことが大事でしょう。
仕事量が多く手が抜けない、睡眠時間が少ない、相談できる相手がいない。こんな状態は、もちろんメンタルにいい影響を与えません。そこで、少し視点を変えてみるのはどうでしょうか。「危険な働き方」にならないよう調整することも、健全に働くための大事な仕事のひとつなのです。
職場うつの原因は仕事の量・質
職場うつの原因の大半を占めるのが、仕事の量と質によるものです。
明らかに自分の仕事量が超過している場合は、上司に相談してみましょう。
また、業務内容になっとくがいかないときは、正直に話す勇気も必要です。
人が感じる仕事のつらさは個人差があり、さらに考え方や性格などの要因もメンタルヘルスに影響します。
ようするに、どのような人であっても条件や環境によっては職場うつとなる可能性があり、その原因は様々であるため、労働時間に注意するだけでなく、環境やその他の影響も考慮しなければなりません。
職場でのうつの原因
仕事の量・質
59.4%(57.5%)
仕事の失敗、責任の発生等
34.0%(33.2%)
対人関係(セクハラ、パワハラ含む)
31.3%(36.4%)
※平成30年の労働者健康状況調査(厚生労働省)より
()内は平成27年の調査結果
職場環境がきっかけとなるケース
仕事によりストレスを感じている場合、うつを発症するきっかけのひとつとして「上司からの心無い言葉」や「同僚に無視された」などの人間関係のトラブルがあります。
こうしたストレスを抱え続けた結果、うつ病を発症し正常な判断ができなくなってしまうばかりではなく、転職や職場復帰後も、人間不信によって仕事がうまくこなせなくなってしまうことも。
日常生活に支障をきたす前に、産業医や人事部など職場内で相談先を探すことや、心身への影響がある場合には、精神科や心療内科の受診をおすすめします。
考え方や受け止め方を変えてみる
ストレスは1人で抱えないことも重要です。
身近な人や、家族に悩みを打ち明けることで、対策方法が思いつくかもしれません。
また、職場での対人関係に悩んでいる場合、上司からの嫌味や同僚の無視なども、真に受けず受け止め方を変えることで、危険を回避することにつながるでしょう。
大切な部下や同僚をうつ病にさせないために
業務上必要な指導や指示は、職場のパワーハラスメントに該当しないとされていますが、良かれと思った指導が思わぬショックを与えることもあります。
また、言葉を発した当人には大した意味がないことでも、うつ状態になりかけている人にとっては大きな引き金となることもあるので注意が必要です。
無自覚のうちに、自身の言動がエスカレートし、パワーハラスメントとなる場合もあるため、自分の業務指示や指導の悩みを感じたときは、上司や人事部に相談するなどの検討をしましょう。
職場うつの治療
職場のストレスによって、心身に影響が出てきた場合は、精神科や心療内科を受診しましょう。
また、場合によっては休職や、上司に通院していることを伝えるのに不安を感じるかもしれませんが、自分の身体はひとつしかないのです。
まずはご自身を守ることを最優先してください。
長期的な休養をとる方法
うつ病の治療で必ずと言っていいほどすすめられることは「しっかりと休養をとること」でしょう。「責任感の強い人ほど、うつ病になりやすい」とよくいわれています。そのようなタイプの人は、仕事から思い切って当分の間離れないと、うつ病はよくなりません。そのため長期の休職に踏み切ったり、入院するなどして日常の雑務から完全に解放されることで生活リズムの根本的な見直しをはかり、うつ病を快方に向かわせる方法です。いつまで休んだら良いかという判断はドクターに相談し、アドバイスを受けましょう。
投薬による方法
うつ病の薬の投与は、うつ病治療の代表的な方法です。
ほとんどの場合、まず1剤目を服用し、効果が見られない場合は量を増やしたり、2剤目を服用したりするため、数種類の薬を同時に服用し、その期間も長期にわたります。
具体的な服用方法については、担当医とよく話し合う必要があります。
精神療法・心理療法
経験を積んだカウンセラーの指導のもとで、うつ病をゆっくりと克服していく方法です。
現在のうつ病については、「認知行動療法」が有名で、英米のようなうつ病治療の先進国においては、投薬治療と同等に認知されています。認知行動療法では、マイナス思考に支配された患者の考え方を徐々に異なる方向に変えていきます。
自分の考え方を自分の力で変えていくことになるため、成功した場合はうつ病になりにくい性格に変わることも可能です。自分で自分の性格を変えていくことになるため、まったく変わろうとする意欲がない場合や、ただ指示に従っているだけの、受け身の態度が目立つ場合は、効果が出ない可能性も高まります。また、医療機関ではない場所で受けると健康保険が適用されません。
電気けいれん療法
患者の頭部に、電気や磁気を照射して、うつ病を改善する方法です。代表的なものに、「ECT(電気けいれん療法)」があります。両前頭葉上の皮膚に電極をあてて、通電を行う方法です。全身麻酔で行うため、入院が必要となります。
経頭蓋磁気刺激治療法(TMS)
患者の頭部に、磁気を照射して、うつ病を改善する方法です。代表的なものに、「TMS(経頭蓋磁気刺激治療法)」があります。DLPFC(背外側前頭前野)と呼ばれる部位に、磁気を照射して活性化を行います。DLPFCの機能が改善することで、不安感・焦燥感が解消されるほか、判断能力や好奇心、意欲といった機能が自然と回復します。頭皮の下の筋肉や神経を刺激するため、軽度の痛みや不快感を伴う可能性はあります。しかしそれ以外は副作用もなく、個人差はありますが、数回の治療で効果を実感することもあります。
うつ自己診断
精神障害に関する国際的な診断マニュアル「DSM-5」より編集したうつ病のセルフチェックです。
最近の体調や心理変化から自己診断をしてみましょう。
以下の9つの症状のうち、最近2週間続いている状態にチェックをして下さい。
うつ病チェックリスト
チェック01
チェック02
チェック1から1つ以上とチェック2から4つ以上が
2週間以上続いていて、著しい苦痛や社会的・
職業的な活動で支障をきたしている場合、「うつ病」の可能性があります。
先進最新医療技術「光トポグラフィー検査」でうつ病を客観的に
診断することができます。
職場うつに悩む人の事例
20代男性
職業:流通関係
30代男性
職業:広告代理店
30代男性
職業:自営業
40代男性
職業:コンサル
20代男性 職業:流通関係
- 学生時代は体育会系
- まじめ
学生時代は体育会系の部活に所属。特に問題なく過ごした。就職活動もそれほど苦労することなく、流通系の企業に採用された。
新卒で入った会社はトレーニング期間が過ぎると1人で作業することが多い職種で、仕事仲間とのコミュニケーションが欲しくなり入社5年目で今の会社に転職した。
転職した先も同じ流通系だがチームで作業を行うのが大きな違いで、交代で仮眠を取りながら24時間働くこともあるシフト制の勤務体系をとっている。
最初はチームで働くのが楽しかった。しかし、24時間勤務の日は終日他のメンバーに気を使わなければいけないので次第にストレスが溜まっていった。
転職した当初、24時間勤務が終わった後の休日は疲れてベッドに倒れこみ、そのまま12時間以上寝ていた。しかし、数ヶ月たってストレスが溜まり始めると、身体は疲れているのに24時間の勤務明けでも2~3時間で目が覚めてしまうようになる。
1度目が覚めると熟睡できなくなり、夜中にインターネットやテレビを見て過ごすことが多くなった。そんな状態なので疲労が取れないまま次の勤務が来るという悪循環に陥る。
そのうち好きだったテレビやインターネットも楽しく感じず、仕事に行くのも辛くなっていき、すべての事に対して意欲がなくなっていった。無気力なため食欲もなくなり、おなかの調子も悪く体重は減っていった。
毎日辛い状態で、特に朝は気分が最悪だった。ある日ネットでうつ病の症状チェックを試してみたら「うつ病の疑いあり」と出たので、病院へ行くことを決めた。病院で問診と光トポグラフィー検査を受け、診断結果は「うつ病」だった。
自分で希望した会社に転職したのに、半年でうつ状態になってしまった。元の体調に戻したいので治療したいが、考えられる思考力が今の自分にないような気がして、不安で押しつぶされそうな毎日を過ごしている。
30代男性 職業:広告代理店
- 人からどう見られているが気になる
- まじめ
新卒で広告代理店に就職し、社内のシステム開発を担当する部署に配属された。
元々人からどう見られているのかを気にするタイプで、会社でも上司や周りのメンバーに早く認めてもらいたくて、頑張って仕事に励んだ。
その頃はどうしたらもっと認めてもらえるかということばかり考えており、うまく行かないことがあるとダメージが大きく夜も眠れないこともあった。
そのうち仕事中に思考が止まってしまう感覚が起き始めた。思考停止状態になると言葉が出てこなくなり、会話ができなくなる。そんな状態が頻繁に出てきたので人と話すのがだんだん嫌になった。
頭は回らないし、コミュニケーションもうまくいかず、仕事も進まなくなってくる負のサイクルに陥った。この頃は自分ひとりで行うルーティンの仕事はこなせていたが、新しく何かを作るような仕事は難しくなっており、睡眠はずっと浅い状態だった。
入社3年目に転勤があり、業務が営業に変わった。新しい土地や業務に早く慣れなければと思ったが、頑張れば頑張るほど頭が回らなくなり、考えがまとまらない。
物事を決められないなどの症状が強くなり、転勤してすぐに仕事ができなくなったので、メンタルクリニックを受診し投薬治療を始める。徐々に症状は改善し、復職後もしばらく薬を飲んでいたが3年ほどでやめた。
29歳で2度目の転勤。昇進して仕事が忙しくなり月に100時間ほど残業するうちに、以前のような症状がまた出るようになった。再発したのかもしれない。
今、結婚を考えている彼女がいて、過去にうつ病で投薬治療をしていたことを話していないので薬をまた飲み始めることに躊躇している。
今も本来の力は出せていない状態で、言葉もスムーズに出てこない。すぐに疲れてしまう状態に悩んでいる。
30代男性 職業:自営業
- 義務感が強い
- まじめ
就職活動では第一志望の不動産会社から内定をいただいたが、会社を経営する父親に説得されて信用金庫に入社。
自分が志望していた会社ではなかったが、信用金庫では融資担当に配属され仕事が面白くなり、オフの時間も飲み会やスポーツを楽しんでいた。
信用金庫で何年か働いた後、父親の経営する会社に入った。社員や父親に対しての義務感からひたすら頑張って働いた。業績は順調で仕事も忙しく、その頃は週1日くらいしか休みはなかったが、休日はスポーツや飲み会で元気だった。
受注が増えたことで忙しくなっていったが、仕事を人に振れずに抱え込んでしまったことでいっぱいいっぱいな感じだった。
そんな生活が1年くらい続いた頃、仕事の能率が落ち始め、性欲がなくなった。朝の倦怠感がひどく、仕事に出るための朝の準備に時間がかかるようになった。それでも出勤し、仕事もこなしたが能率は落ちる一方だった。
そのうち朝の体調がどうしようもなくなり、起き上がることもできなくなってしまった。同時に頭痛や腹痛にも悩まされ出社できなくなり、精神科でうつ病と診断された。治すには投薬しかないと言われ、薬での治療を開始。医師の勧めで仕事も休職した。
仕事を休んでいても会社や家族のことを考えると、義務感、焦り、イライラ、申し訳なさなどの気持ちが湧いて症状が悪化している気がした。
投薬は1年続けたが効いている実感はなく、逆に副作用なのか症状なのかわからない状態になっていた。
そんな折、父が脳に直接磁気の刺激を与えるTMS治療という新しい治療法を探してきて、試したらどうかと勧めてくれた。
TMS治療を始めて3ヶ月、症状が軽くなり週4日の勤務ができるまでに回復した。リハビリ中だから無理するなと周囲から言われ、あまり仕事をやらせてもらえないが、早く治して元のように仕事をしたい。
40代男性 職業:コンサル
- 責任感が強い
- 感情的
2度の転職で現在のコンサルティング会社に入社。仕事はかなりハードワーク。自分はやると決めたら熱中して頑張るので、責任感も強いほうだと思う。何かトラブルが起きたらその処理を引き受けて1人で頑張るタイプ。
仕事の中でストレスが溜まるとたまに怒りの感情が起こることもあるが、他人には向けず酒を飲んだりネット通販で解消していた。
コンサルの仕事は多忙で残業も多いが、以前は休日にリフレッシュできていた。しかし入社して数年で部長職に昇格し、責任が大きくなると仕事量が増えたことに加えて、新しい上司は何か問題が起きるとすぐ感情的になり、他の社員の前でも個人攻撃をするパワパラ系の管理をする人のため、ストレスは増える一方だった。
同じ頃、父親が病気で入院した。看病する母親をフォローしながら、自分も父の見舞いなどで休日に自由に使える時間が少なくなっていったため、公私ともにストレスが多くなる。
この頃から寝つきが悪く浅い睡眠しかとれなくなり、悪夢を見て起きるような夜が増えた。朝起きてもぐったりした疲労感が残っていて、起き上がれない日が続く。
睡眠不足で集中力がなくなり仕事が進まない。管理職なので肝心な意思決定ができないことで不安と焦りが生まれ余計に眠れなくなった。
そんな調子で業績も落ちていき、仕事への意欲も無くなってきて反対にイライラ感が大きくなる毎日だった。
「最近眠れていないみたいだし、休みの日も元気がない。うつ病かもしれないから病院に行って」と妻に説得されて病院に行った問診と光トポグラフィー検査の結果、うつ病ではなく躁うつ病と診断された。
職場うつの社員を早期発見
過度のストレスを感じると、人間は心・身体・行動のいずれかに変化が現れます。
例として、飲酒・喫煙の量が増えるなどの「行動」に現われる人もいれば、普段より怒りっぽくなるなど「心」に変調をきたすなど、人によって様々です。
ストレスを感じたときに自分はどういった傾向の変化があるかを把握し、変化が現れた時に早期コントロールすることで、ある程度個人で予防することもできます。
しかし、うつ傾向にある場合、自己の不調や症状をコントロールしたり、「うつ」であることを認めるのはなかなか難しいことです。
そのため、職場うつを予防するためには、本人の自己管理だけではなく、上司が目を配ることも重要です。
多くの場合、一日の中で、睡眠を除いて一番長い時間を過ごす場所は会社なので、些細なことでも、メンタルヘルスの重要な手掛かりとなる変化を早期発見できるチャンスがあります。
職場は、「心の不調を見抜ける場所」と言えるでしょう。 部下や同僚の異常にいち早く気づくことで、深刻な状態を避けることができます。
不調を仕事中にすぐに見つける
7つのチェックポイント
出勤状況
月2回以上(とくに月曜)、突然欠勤の連絡があった場合。
不調は朝(出勤時)に現れやすいため、遅刻や欠勤が目立つようになると要注意。
身だしなみ
ひげ剃りや化粧など、毎朝の習慣が億劫でこなせなくなるのが典型的な症状。
朝に症状が出やすいため、出社後に身支度をしているなども危険なサイン。
重要書類の紛失や電話での喧嘩
自己コントロールが苦手になるため電話での喧嘩は危険なサイン。
重要なことでも記憶があいまいになり、書類の紛失などの大きな騒ぎになる。
ケアレスミス
単純ミスが月に2回以上ある場合は注意を。
金額の桁が違う、会議資料の配布ミスも指摘されるまで気づかないなど。
市販薬の継続服用
胃の不調や睡眠障害など、うつに伴う身体症状に目をそむけている。
市販薬を2週間以上飲み続けている場合、要注意。
親しい人間の転勤・退職
親身になってくれる相談相手を失うと、自分の殼に閉じこもってしまうことも。
不自然な感情表出
普段の人格とは異なる感情表現をする。
冷静な人が過剰に明るくふるまうなど、不自然な仕草が月3~4回あったら注意の必要あり。
上記のチェック項目のうち3つ以上が続くようなら、
面談が必要です。
社員の状態を把握するためにできること
面談によって、ある程度社員の状態を把握することが可能です。
少しずつでも話してくれる場合、まだ重症化していない可能性があります。
逆に、堰を切ったように話し出した場合、かなりストレスを抱えている状態です。
問題は、黙り込んでしまい話をしてくれないときです。
そんな時は無理に話させようとせず、医師やカウンセラーなどの専門家の力を借りる必要があります。
また、本人が問題を認めない場合もしばらく様子を見る必要があります。
職場内でケアをするために大切なこと
職場内でケアをする際に、なるべく話しやすい環境を作り、じっくりと話を聞くことが重要です。
しっかりと本人の話を聞いたうえで、抱えている問題を整理しなければなりません。
職場で対策を考える問題は、業務にかかわること(仕事の量・内容、職場での人間関係など)です。
そのほかの問題(家庭・恋愛などプライベートの問題、また本人が抱える病的な精神状態)は、上司が深く追求する必要はないでしょう。
気分の落ち込みや意欲低下などの軽い「うつ状態」であれば、誰でもあることです。「うつ状態」が2~3週間続き、医師による支援が必要になっている状態が「うつ病」です。
この区別は明確ではなく、職場でどちらなのか判断することではありません。
問題は、本人にとって精神的につらい状態が続いているということです。
業務に支障をきたす精神的な不調を「うつ」ととらえて対処すべきです。
うつによる休職者をださないために
「まさか自分がうつになるなんて」という方は多いですが、うつは誰でもなる可能性のある病気です。
うつになりやすい人の特徴として、悲観的な性格や責任感の強さが挙げられます。
しかし、過度のストレス・疲労の蓄積で、ネガティブになったり自分を責めたりすることは誰にでもあることです。
うつ病の発症は、予測できません。
誰にでも起こり得ることであり、いつ起こるかはわからないのです。
少しでも変化を感じた時は、普段以上に社員に気を配り、話せる環境を作る必要があります。
また上司本人が原因となる場合もあるため、会社内に上司以外とも普段からコミュニケーションを取れる環境を設けることも必要です。
部下の異変を感じたときは、1人で抱える必要はありません。
また、気のせいだと見逃すのは一番危険なことです。
「なんとなくいつもと違う」という感覚は、当たることが多いと言われています。
社内の他の人間や、専門家を交えて本人と面談することが最善です。
うつ病による休職者を出さないためには、「予防」がなによりも大切です。
日頃からコミュニケーションをよくとり、小さい変化を見逃さないような関係づくり、また職場づくりを心がけましょう。
職場うつの予防対策
うつ病を予防するためには「ストレスを溜めず規則正しい生活」を目指し、生活の中でバランスの崩れている部分を見直すことが重要と言えるでしょう。
症状が悪くなる前に、自分で予防を心がけましょう。症状が軽いうちに日々の生活を見直してみることが大切です。うつ病を予防するために、以下の様な予防が効果的といわれています。
日々の生活で気をつけること
- 朝起きたら、太陽の光を浴びる。
- 外に出て散歩やランニングなど運動する習慣をつける。
- 外に出れない場合は、カーテンやブラインドを開けて部屋の中に太陽の光を取り込む。
- 夜遅い時間や寝る前にブルーライト(パソコンやスマホ、テレビ等)をあまり見ないようにする。
- 寝室の電気を柔らかい明かりにする。
- 寝る時間が近づいたら電気を暗めにする。
考え方のパターンを変える
- 仕事において「できなかったこと」ではなく「できたこと」を考える。
- 上司や同僚の権威に影響されすぎないようにする。
- 自分をいたわり、認める時間を作る。
- 知識で解決しようとせず、よく考える。
- 自分を褒める時間を作る。
- 怒っている時や悲しんでいる時、客観的に状況をとらえるようにする。
- 良かったこと、楽しかったことなどを記録してたまに見返す。
- 自分だけで解決しようとせず、信頼できる人に相談する。
意識をそらす
- 趣味などに没頭する時間を作る。
- 花を愛でたりするなど季節感を意識する。
- 植物やペットなど自然や生き物と触れ合う時間を作る。
これらに気をつけることは、自らうつ病を予防することにつながります。
出来そうなことから少しずつ取り組んでみましょう。
また、個人の取り組みで改善が見られない場合は、病院での検査をおすすめします。
よくあるご質問
職場うつに関して、よくいただく質問と回答をまとめています。
うつ病の可能性もあります。職場における人間関係(同僚・上司・部下等)・仕事の質や量、職場の雰囲気など環境的要因と密接に関係して、うつ病が引き起こされる場合があります。例えば、出勤前に具合が悪くなったり、電車に乗れなくなったりなど、いわゆる出勤困難症(出社困難症)といった症状などがあります。
薬物療法以外の治療法では、精神療法やカウンセリング、電気けいれん療法(ECT)・磁気刺激治療(TMS)などの方法があります。最近では薬にみられる副作用がなく、身体に負担をかけない治療法として磁気刺激治療(TMS)が注目されています。
うつ病の一般的な治療方法は、薬物療法、精神療法、休養といわれています。できれば働きながら治療を受けたいという方は、磁気刺激治療(TMS)がおすすめです。磁気刺激治療(TMS)は、治療直後も車の運転が可能であり、副作用の心配もほとんどない身体に影響の少ないうつ病治療です。
勤怠の乱れは、メンタル面に不調を来している状態の場合があります。その場合は、いきなり病院などを勧めるのではなく、客観的なデータをもとに具体的に指摘し、本人に不調をまず自覚してもらいましょう。そして、産業医やカウンセラー、病院やクリニックに行くように促すようにしていきましょう。