原因不明の体調不良や気分の落ち込みに、「もしかして自律神経失調症かも…」と不安を感じていませんか？症状がつらいのに、自律神経失調症で病院に行くべきかどうか、どの診療科を受診すればいいのか分からず、一人で抱え込んでいる方も少なくありません。

結論から言うと、つらい症状があるなら、まずは医療機関に相談することが大切です。自己判断で放置してしまうと、症状が悪化したり、他の病気を見逃してしまったりする可能性があります。

この記事では、自律神経失調症で病院に行くべきか悩んでいる方のために、受診の目安や適切な診療科、病院での検査や治療、そして放置するリスクについて詳しく解説します。

なぜ自律神経失調症で病院に行くべきなのか？

「ただの疲れやストレスだろう」と軽視せず、専門家である医師に相談することが、回復への第一歩です。病院に行くべき主な理由は3つあります。

他の病気の可能性を除外するため

めまい、動悸、頭痛、吐き気といった自律神経失調症によく見られる症状は、実は他の病気が原因で起こっている可能性もあります。例えば、以下のような病気です。

• 甲状腺機能亢進症・低下症
• 心臓の病気（不整脈など）
• 脳の病気（脳腫瘍など）
• メニエール病
• 貧血

これらの病気を見逃さないためにも、まずは医師の診察を受け、必要な検査を通じて他の病気の可能性がないかを確認することが非常に重要です。

正確な診断と適切な治療のため

自律神経失調症は、症状の現れ方が人それぞれで非常に多様です。そのため、自己判断で「自分は自律神経失調症だ」と決めつけてしまうのは危険です。
医師は、あなたの症状や生活習慣、ストレスの状況などを総合的に判断し、診断を下します。正確な診断があってこそ、一人ひとりに合った適切な治療（薬物療法や生活指導など）を受けることができます。

症状悪化や合併症を防ぐため

つらい症状を我慢して放置していると、症状が慢性化・重症化してしまう恐れがあります。さらに、長期的な心身の不調は、うつ病や不安障害といった他の精神疾患を合併するリスクも高めます。早期に受診し、適切な対処を始めることで、こうした悪化や合併症を防ぐことにつながります。

病院に行くべき症状・受診の目安

どのような状態になったら病院へ行くべきか、具体的な目安を紹介します。一つでも当てはまる場合は、受診を検討しましょう。

日常生活に支障が出ている

以下のように、症状が原因でこれまで通りの生活が送れなくなっている場合は、受診のサインです。

• めまいや倦怠感がひどく、仕事や学校を休みがちになっている
• 家事や育児など、やるべきことが手につかない
• 趣味や好きなことを楽しむ気力がわかない
• 人との約束を守れなくなってきた

身体のつらい症状が続く

特定の身体症状が2週間以上続いている、または繰り返す場合も注意が必要です。

• 全身症状: 常にだるい、疲れがとれない、微熱が続く、寝汗をかく
• 循環器系: 動悸、息切れ、胸の圧迫感、立ちくらみ
• 消化器系: 吐き気、食欲不振、胃の不快感、便秘や下痢を繰り返す
• その他: 頭痛、肩こり、耳鳴り、手足のしびれ、頻尿

これらの症状は、日常生活の質を大きく低下させます。我慢せずに専門家に相談してください。

気分の落ち込みや強い不安がある

身体の症状だけでなく、精神的な不調が続く場合も受診の目安です。

• 理由もなく気分が落ち込む、涙もろくなる
• 何事にも興味が持てず、集中力が続かない
• ささいなことでイライラしたり、怒りっぽくなったりする
• 漠然とした不安感や焦燥感が常にある
• 眠れない、または寝てもすぐに目が覚める

市販薬や休息で改善しない

頭痛薬や胃薬などの市販薬を飲んだり、十分な休息をとったりしても症状が一向に改善しない場合、それはセルフケアの限界を超えているサインかもしれません。専門的なアプローチが必要な段階と考え、医療機関を頼りましょう。

何科を受診すべき？内科？心療内科？

いざ病院に行くと決めても、「何科に行けばいいの？」と迷う方は非常に多いです。症状によって適切な診療科は異なります。

最初に検討したい内科

動悸、息切れ、腹痛、頭痛など、身体的な症状が特に強い場合は、まず内科を受診することをおすすめします。
内科では、血液検査や心電図などの基本的な検査を通して、症状の原因となる身体的な病気がないかを調べてくれます。ここで異常が見つからなければ、症状の原因が自律神経の乱れにある可能性が高いと判断され、心療内科などを紹介されることもあります。

ストレスが主な原因なら心療内科・精神科

気分の落ち込み、不安感、不眠、イライラといった精神的な症状が強い場合や、仕事や家庭のストレスが原因だと自覚している場合は、心療内科や精神科が適しています。
これらの診療科では、カウンセリングなどを通じて心理的な側面からアプローチするとともに、必要に応じて症状を和らげる薬を処方してくれます。自律神経失調症の治療を専門的に行っている場合が多いです。

特定の身体症状が強い場合

特定の症状が特に際立っている場合は、以下の専門科を最初に受診することも選択肢の一つです。

主な症状	検討したい診療科
めまい、耳鳴り	耳鼻咽喉科
激しい頭痛	脳神経内科・外科
動悸、胸の痛み	循環器内科
腹痛、下痢・便秘	消化器内科
皮膚のかゆみ、じんましん	皮膚科
月経不順、更年期症状	婦人科

もしどの科か迷う場合は、まずはかかりつけの内科医に相談するか、総合病院の総合診療科を受診して、適切な科を案内してもらうのが良いでしょう。

病院での検査・診断の流れ

病院では、主に問診や各種検査を通して総合的に診断が行われます。

医師による問診と診察

最初に、医師による詳しい問診が行われます。以下のような内容について質問されることが多いため、事前にメモしておくとスムーズです。

• いつから、どんな症状があるか
• 症状はどんな時に悪化・改善するか
• 日常生活や仕事への影響
• 過去の病歴や現在治療中の病気
• 服用中の薬
• 生活習慣（食事、睡眠、運動など）
• ストレスの原因に心当たりはあるか

その後、聴診や血圧測定などの身体的な診察が行われます。

血液検査で分かること、分からないこと

血液検査は、自律神経失調症そのものを特定する検査ではありません。しかし、甲状腺機能の異常や貧血、肝機能の低下など、似た症状を引き起こす他の病気がないかを確認するために非常に重要です。この検査で異常がなければ、症状の原因が自律神経の乱れにある可能性がより高まります。

自律神経機能検査の種類

専門の医療機関では、自律神経の働きを直接調べるための検査を行うことがあります。代表的なものに「シェロング起立試験」があり、寝た状態と立った状態の血圧や脈拍の変化を測定して、自律神経の応答を評価します。ただし、これらの検査はすべての病院で行われているわけではありません。

診断テストはあくまで参考

インターネット上には自律神経失調症のセルフチェックリストなどがありますが、これらはあくまで参考程度に留めてください。自律神経失調症の診断は、問診や各種検査の結果を医師が総合的に評価して行われるものであり、チェックリストだけで自己判断することはできません。

自律神経失調症の治療法

治療は、症状を和らげる「薬物療法」と、根本的な原因にアプローチする「非薬物療法」を組み合わせて行うのが一般的です。

症状を和らげる薬物療法

つらい症状を緩和し、心身の負担を軽くするために薬が処方されることがあります。

• 抗不安薬・抗うつ薬: 不安や気分の落ち込みを和らげます。
• 睡眠導入剤: 不眠の症状を改善します。
• 漢方薬: 体質改善を目指し、心身のバランスを整えます。
• その他: 胃腸薬や血圧調整薬など、個別の身体症状に応じた薬が使われます。

根本的な改善を目指す非薬物療法

薬はあくまで対症療法です。根本的な改善には、生活習慣の見直しやストレスへの対処が欠かせません。

• 生活習慣の改善: バランスの取れた食事、適度な運動、規則正しい睡眠など、基本的な生活リズムを整えます。
• ストレスマネジメント: 認知行動療法やカウンセリングを通じて、ストレスの原因と向き合い、対処法を学びます。
• リラクゼーション法: ヨガや瞑想、アロマテラピーなど、自分に合ったリラックス方法を見つけ、日常に取り入れます。

放置する危険性｜最悪の場合どうなる？

「そのうち治るだろう」と病院に行かずに放置すると、様々なリスクが伴います。

症状が慢性化・重症化する

適切な治療を受けずに我慢していると、症状がどんどん固定化し、治りにくくなります。最初は軽かっためまいや頭痛が、日常生活を送るのも困難なほど重症化するケースも少なくありません。

うつ病や不安障害を合併する

自律神経失調症は、心と体の両方に影響を与えます。長期にわたる不調は精神的な消耗を招き、本格的なうつ病やパニック障害、全般性不安障害といった精神疾患につながる可能性が高まります。

社会生活や仕事への影響

症状が悪化すると、集中力の低下や倦怠感から仕事のパフォーマンスが落ち、休職や退職を余儀なくされることもあります。また、外出が億劫になり、友人関係や社会とのつながりが希薄になるなど、社会生活にも大きな影響を及しかねません。

入院が必要になるケースも

極端な例ではありますが、重度の食欲不振による栄養失調や、精神的な不調が極度に悪化した場合など、心身の回復のために一時的に入院が必要になることもあります。

自分に合った病院の選び方

どの病院を選ぶかも、治療を続けていく上で重要です。以下の点を参考に、自分に合った医療機関を見つけましょう。

• 話をじっくり聞いてくれるか: 症状や悩みを親身に聞いてくれる医師は信頼できます。
• 説明が丁寧で分かりやすいか: 診断内容や治療方針について、納得できるまで説明してくれる姿勢が大切です。
• 通いやすい場所にあるか: 治療は継続することが重要なので、自宅や職場からアクセスしやすい場所を選びましょう。
• 専門性があるか: 病院のウェブサイトなどで、自律神経失調症や心身症の治療に力を入れているか確認するのも良い方法です。

まとめ｜迷ったらまずは受चनを

原因不明の体調不良が続くとき、「自律神経失調症で病院に行くべきか」と悩むのは当然のことです。しかし、その不調は身体からの重要なサインかもしれません。

放置することで症状が悪化したり、他の深刻な病気を見逃したりするリスクを考えれば、一度専門家に相談する価値は十分にあります。この記事で紹介した受診の目安に当てはまる方は、ぜひ勇気を出して医療機関の扉を叩いてみてください。まずは内科や、ストレスに心当たりがあれば心療内科に相談することから始めましょう。適切な診断と治療を受けることが、つらい症状から解放されるための最も確実な一歩です。

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よくある質問

自律神経失調症は血液検査で分かりますか？

血液検査だけで自律神経失調症と診断することはできません。しかし、似た症状を引き起こす甲状腺の病気や貧血など、他の身体的な病気がないかを確認するために行われる、非常に重要な検査です。

自律神経失調症は内科でも診てもらえますか？

はい、診てもらえます。特に動悸や腹痛、頭痛といった身体的な症状が強い場合は、まず内科を受診して他の病気がないか調べてもらうのが一般的です。内科で異常が見つからない場合に、心療内科などを紹介されることもあります。

自律神経失調症は心療内科で治せますか？

はい、心療内科は自律神経失調症の治療を専門とする診療科の一つです。特にストレスが主な原因と考えられる場合や、不安感、気分の落ち込みといった精神的な症状が強い場合に適しています。カウンセリングや薬物療法などを通じて、心と体の両面から治療を行います。

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本記事は、自律神経失調症に関する一般的な情報を提供するものであり、医学的なアドバイスに代わるものではありません。具体的な症状については、必ず専門の医療機関にご相談ください。