ストレス・パワハラで休職する流れ|手続き、お金、復職/退職まで徹底解説

ストレスやパワハラが原因で、心身ともに疲弊し、「もう働けないかもしれない」「休むべきか」と悩んでいませんか? 毎日のように感じるプレッシャーや不快な言動は、気づかないうちにあなたの心と体を蝕んでいきます。 もしかしたら、すでに体調に異変を感じているかもしれません。 休職は決して逃げではありません。壊れてしまう前に、心と体を立て直すために必要な、大切な選択肢の一つです。 この先どうすれば良いのか分からない、手続きやお金のことが心配…そんなあなたの不安を少しでも和らげ、安心して休養に入るための具体的な情報を網羅してお伝えします。

ストレスやパワハラが原因で休職を検討する方へ

オフィスでストレスを感じる実業家 - ストレス ストックフォトと画像 「まさか自分が休職するなんて」と感じている方もいるかもしれません。しかし、過大なストレスや執拗なパワハラは、誰にでも起こりうる問題であり、それに反応して心身のバランスを崩すことは、ごく自然な防御反応でもあります。休職は、傷ついた心と体を修復し、回復のための時間を確保するための重要な手段です。決して自分を責める必要はありません。

ストレスやパワハラによる心身の不調サイン

ストレスやパワハラによって心身に現れる不調のサインは様々です。これらのサインを見逃さず、早期に対処することが大切です。以下のような症状が複数見られる場合、危険信号かもしれません。 【身体的なサイン】
  • 不眠、または過眠: 夜眠れない、寝てもすぐに目が覚める、朝起きられない、日中も強い眠気を感じる。
  • 食欲不振、または過食: 食事が喉を通らない、体重が急激に減る、逆にやけ食いしてしまう、体重が急激に増える。
  • 原因不明の体の痛み: 頭痛、肩こり、首こり、腰痛、胃痛、腹痛などが続く。
  • 吐き気や下痢、便秘: 胃腸の不調が続く。
  • 動悸や息苦しさ: 特別の運動をしていないのに、心臓がドキドキしたり、息が詰まるような感覚がある。
  • 疲労感: 十分に休息しても疲れが取れない、常にだるさを感じる。
  • めまいやふらつき: 立ちくらみや、まっすぐ歩けないような感覚。
  • 風邪をひきやすい、治りにくい: 免疫力が低下している可能性がある。
【精神的なサイン】
  • 気分の落ち込み: 楽しいと感じることがない、何事にも興味が持てない、憂鬱な気分が続く。
  • 不安感や焦燥感: いつも何かに追われているような感覚、漠然とした不安が強い。
  • イライラ、怒りっぽさ: 以前は気にならなかったことで腹が立つ、感情のコントロールが難しい。
  • 集中力や判断力の低下: 仕事でミスが増える、簡単な計算ができなくなる、物事を決められない。
  • 記憶力の低下: 人の名前や物の置き場所を思い出せない、以前の出来事が思い出せない。
  • 無気力、絶望感: 何をする気も起きない、将来に希望が持てない、「消えてしまいたい」と考えることがある。
  • 自分を責める気持ち: 「自分が悪いんだ」と過度に自分を責める。
【行動の変化】
  • 遅刻や早退、欠勤が増える: 会社に行くのがつらい、体が動かない。
  • 人と会うのを避ける: 友人や家族との交流を避けるようになる。
  • 趣味や好きなことへの関心を失う: 以前は楽しめていたことが楽しめなくなる。
  • 飲酒量や喫煙量が増える: 気分転換や現実逃避のために頼るようになる。
  • 身だしなみに気を配らなくなる: 服装や髪型などを気にしなくなる。
これらのサインは、あなたの心と体が「もうこれ以上は耐えられない」と発しているSOSです。決して軽視せず、適切に対応することが必要です。

休職の判断基準とタイミング

心身の不調を感じつつも、「まだ大丈夫」「もう少し頑張れる」と考えてしまうかもしれません。しかし、症状が悪化してからでは、回復に時間がかかってしまうこともあります。休職を検討すべき判断基準としては、以下のような点が挙げられます。
  • 上記の心身の不調サインが複数かつ継続的に現れている。
  • これらの不調によって、仕事のパフォーマンスが著しく低下している。
  • 通勤中や仕事中に強い苦痛や恐怖を感じる。
  • 休日も仕事のことが頭から離れず、リラックスできない。
  • 不調の原因が職場の環境(ストレスやパワハラ)にあることが明らかである。
  • 医療機関を受診した際に、医師から休養や治療が必要だと診断された。
休職を検討するタイミングは、心身の不調サインに気づいた時、あるいはそれが改善しない時です。「つらい」と感じたら、まずは一人で抱え込まず、信頼できる人や専門機関に相談することが第一歩です。 特に、医療機関を受診し、医師の専門的な意見を聞くことが、休職という選択肢を現実的に検討する上で非常に重要になります。自己判断で無理を続けず、専門家の助言に基づいて適切なタイミングで行動しましょう。

ストレス・パワハラ休職に必要な手続き

asian woman with headache - ストレス ストックフォトと画像 休職を決意しても、「何をどうすればいいのか分からない」と不安に感じるかもしれません。しかし、適切な手続きを踏めば、スムーズに休職に入り、療養に専念することができます。主な手続きの流れを見ていきましょう。

医師による診断書の取得方法

休職するためには、医師による「休職が必要である」旨の診断書がほぼ必須となります。診断書は、会社に対してあなたの体調が悪く、働くことが困難であることを正式に伝えるための重要な書類です。
  1. **受診する医療機関を選ぶ:** ストレスやパワハラによる精神的な不調の場合、精神科心療内科を受診するのが一般的です。身体的な症状が強く出ている場合は、かかりつけの内科医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうこともできます。
【ポイント】 職場の問題が原因であることを医師に正直に伝えましょう。現在の症状、それがいつから続いているか、仕事にどのような支障が出ているかなどを具体的に話すことが大切です。
  1. **診断書を作成してもらう:** 診察の結果、医師が休職が必要と判断した場合、診断書を作成してもらえます。診断書には通常、以下の内容が記載されます。
  • 患者氏名、生年月日
  • 病名(例:適応障害、うつ病など)
  • 現在の症状
  • 療養に必要な期間(例:〇週間、〇ヶ月)
  • 労務不能であること、あるいは就業に関する制限(例:自宅での療養が必要、〇〇のような業務は困難など)
  • 診断年月日
  • 医療機関名、医師名、押印
【診断書に関するポイント】
  • 休職期間は、医師と相談して決めますが、最初の診断では1ヶ月~3ヶ月程度とされることが多いようです。病状によって延長も可能です。
  • 診断書は有料です。料金は医療機関によって異なりますが、一般的に数千円程度です。
  • 会社によっては、指定の診断書用紙がある場合もあります。事前に会社の人事担当者などに確認しておくとスムーズです。
診断書は、会社にあなたの状況を理解してもらい、休職を正式に認めてもらうための根拠となります。必ず医師に相談し、適切な診断書を取得しましょう。

会社への休職申請と必要な書類

診断書を取得したら、会社に休職の意思を伝え、申請手続きを行います。
  1. **誰に、いつ伝えるか:** まずは直属の上司か、人事担当者に相談するのが一般的です。深刻なパワハラの場合など、上司に伝えづらい場合は、人事部や社内の相談窓口に直接連絡することも検討しましょう。タイミングとしては、診断書を取得した後、なるべく早めに伝えるのが望ましいですが、体調が非常に優れない場合は、電話やメールで家族などに代行を依頼することも可能か、会社の規定を確認しましょう。
  1. **伝える内容:**
  • 体調不良により、業務を継続することが困難な状況であること
  • 医療機関を受診し、医師から休職が必要との診断を受けたこと
  • 診断書を提出し、〇月〇日より休職したい旨
  • (可能であれば)現在の体調で対応できること・できないこと
【伝える際のポイント】
  • 感情的にならず、現在の状況と医師の診断を冷静に伝えましょう。
  • パワハラが原因の場合、会社に改善を求める場合はその旨を伝えても良いですが、まずは休職して心身の回復を優先することが最も重要です。原因追及や改善要求は、体調が回復してからでも遅くありません。
    1. **必要な書類の提出:** 会社所定の休職願(または休業願)などの書類に必要事項を記入し、医師の診断書とともに会社に提出します。手続きに必要な書類や提出先は、会社の就業規則に定められています。事前に確認しておきましょう。
【休職申請に関するポイント】
      • 会社の就業規則には、休職の条件、期間、手続き、休職中の身分や給与、復職の手順などが詳しく定められています。必ず目を通しておきましょう。
      • 診断書の提出だけでなく、会社が指定する産業医との面談が必要となる場合もあります。
この手続きを経て、会社が休職を承認すれば、正式に休職期間に入ることができます。手続きは会社によって異なりますので、不明な点は遠慮なく人事担当者に確認しましょう。

休職期間中の会社との連絡

休職期間中は、療養に専念することが最優先ですが、会社との最低限の連絡が必要となる場合があります。
      1. **連絡頻度と方法:** 会社の規定や、休職に入る際に会社と取り決めた内容によります。一般的には、月に一度程度、現在の体調や回復状況について報告を求められることがあります。連絡方法は、電話、メール、会社の指定するシステムなどがあります。
【ポイント】 連絡の負担がストレスにならないよう、事前に会社と相談し、連絡頻度や方法を明確に決めておきましょう。家族などに代行してもらうことも可能か確認しておくと安心です。
      1. **誰と連絡を取るか:** 通常は、人事担当者や産業医、あるいは休職を申請した部署の上司(パワハラの加害者ではない、信頼できる上司)と連絡を取ることになります。
      1. **会社からの連絡内容:**
      • 休職期間の確認や延長の意思確認
      • 傷病手当金などの手続きに関する案内や書類の提出依頼
      • 給与や社会保険料に関する連絡
      • 復職に向けた面談の調整(休職期間終盤)
      • 会社の状況に関する情報共有(必要に応じて)
【連絡の際の注意点】
      • 無理のない範囲で対応しましょう。体調が優れない場合は、正直に伝え、対応を延期してもらったり、別の方法を提案してもらったりしても構いません。
      • パワハラが原因の場合、加害者との直接的な連絡は避けられるよう、事前に会社に伝えておきましょう。
休職中の会社との連絡は、復職に向けた準備のためにも必要ですが、何よりもあなたの回復が最優先です。会社とのコミュニケーションが負担にならないよう、適切な距離感を保つことが大切です。

診断書の即日発行はよりそいメンタルクリニックへご相談を

よりそいメンタルクリニックは休職や傷病手当金の手続きに必要な診断書の当日発行に対応しています。(*医師が診断書の発行を判断した場合に限る)

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365日営業しており診断書の当日発行にも対応しており、予約枠があれば心の不調が辛いと感じたその日に予約をよることが可能です。

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よりそいメンタルクリニックのおすすめポイント

休職期間中の生活と経済的支援

彼女の顔を隠しているアジアの女性. - ストレス ストックフォトと画像 休職期間中は、心身の回復に専念することが最も重要です。同時に、収入が減少する可能性もあるため、経済的な不安を軽減するための制度を知っておくことも大切です。

ストレス・パワハラ休職の平均的な期間

ストレスやパワハラによる休職期間は、病状や個人の回復力、職場の環境などによって大きく異なります。一概に「〇ヶ月」と断言することは難しいですが、一般的には数週間から数ヶ月、重症の場合は半年から1年以上に及ぶこともあります。
      • 最初の診断書: 1ヶ月~3ヶ月程度の休養が必要と記載されることが多いです。
      • 期間の延長: 回復が十分でない場合は、医師と相談の上、診断書を再度取得して休職期間を延長することが可能です。会社の休職規定で、休職できる最長期間が定められていますので、確認が必要です。
      • 平均: 統計データは少ないですが、民間企業における精神疾患による休職期間は、平均して3ヶ月~6ヶ月程度という報告もあります。
重要なのは、周囲や平均的な期間に囚われず、ご自身の体調と主治医の判断に基づいて、必要な期間しっかりと休養することです。焦って復職しても、再発するリスクが高まります。

休職中の給与・賃金の扱い

休職中の給与・賃金がどうなるかは、会社の就業規則によって異なります。多くの会社では、私傷病による休職期間中は給与が支払われません(無給)
      • 有給休暇の消化: 休職期間に入る前に、残っている有給休暇を消化することで、一定期間は通常通り給与を得ることができます。
      • 会社の制度: 会社によっては、就業規則や福利厚生として、休職中の一定期間、給与の一部(例:基本給の〇割)が支払われる「休業手当」や「休職給」の制度がある場合もあります。必ず会社の就業規則を確認してください。
もし会社からの給与支払いが無い場合でも、公的な経済的支援制度を利用できる可能性があります。

傷病手当金の受給条件と申請

休職中の主な経済的支援制度として、健康保険から支給される傷病手当金があります。これは、業務外の原因による病気や怪我で働くことができなくなった場合に、生活を保障するために支給されるものです。 【受給条件】 以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
      • 業務外の事由による病気やケガであること: ストレスやパワハラによる精神疾患は、原則として業務外とみなされます。(ただし、後述の労災認定を受けた場合は異なります。)
      • 仕事に就くことができないこと(労務不能): 医師の診断書などで、療養のために働くことが困難であると認められる必要があります。
      • 連続して3日間休んだ後、4日目以降の休みであること: この連続3日間の休みを「待期期間」といい、有給休暇、土日祝日、欠勤など、給与が支払われたかどうかに関わらず、連続していれば成立します。待期期間中は支給されません。
      • 休業した期間について給与の支払いがないこと: 会社から給与が支払われている場合は、傷病手当金は支給されません。ただし、給与の額が傷病手当金の額よりも少ない場合は、差額が支給されます。
【支給額の計算方法】 支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で割った額の3分の2が、1日あたりの支給額です。 (支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均額) ÷ 30日 × 2/3
      • 標準報酬月額: 健康保険料や厚生年金保険料を計算する際に用いられる、おおよその月収額のことです。給与明細などで確認できます。
      • 支給期間: 支給を開始した日から最長で1年6ヶ月です。途中で一度復職し、再度同じ傷病で労務不能になった場合、以前の支給期間と合わせて通算1年6ヶ月となります。
【申請手続き】 傷病手当金の申請は、通常、毎月または2週間ごとなど、一定期間分をまとめて行います。
      1. **申請書の取得:** ご自身が加入している健康保険組合または協会けんぽのウェブサイトから申請書をダウンロードするか、会社の人事担当者から受け取ります。
      2. **医師に記入を依頼:** 申請書の「療養担当者記入用」の部分を、主治医に記入してもらいます。現在の症状、労務不能と判断される期間などが記載されます。
      3. **会社に記入を依頼:** 申請書の「事業主記入用」の部分を、会社の人事担当者に記入してもらいます。休業した期間、給与の支払い状況などが記載されます。
      4. **申請書を提出:** 必要事項をすべて記入・証明してもらった申請書を、ご自身が加入している健康保険組合または協会けんぽに提出します。郵送が一般的です。
傷病手当金は、休職中の生活を支える上で非常に重要な制度です。受給資格があるか、会社の担当者や健康保険組合に確認してみましょう。支給条件や計算方法に関するより詳細で正確な情報は、ご自身が加入する健康保険組合などの公式情報源で確認することが重要です。 例えば、健康保険組合による公的給付制度の正式な解説文書 のように、各健康保険組合が提供する公式な情報源を参照することで、正確な情報を得ることができます。 【傷病手当金と給与の関係】
状況 傷病手当金 会社からの給与 経済的な影響
休職中で給与なし 支給される なし 標準報酬月額の約2/3が補償される
休職中で給与が一部あり 差額が支給 一部あり 給与が傷病手当金より少なければ差額が補填される
休職中で全額ではない給与あり 差額が支給 全額ではない給与あり 給与が傷病手当金より少なければ差額が補填される
休職中で給与が全額あり 支給されない 全額あり 通常通り給与が得られる
休職中で待期期間(3日間) 支給されない なし/一部あり 補償なし
傷病手当金は、休職中の生活を支える上で非常に重要な制度です。受給資格があるか、会社の担当者や健康保険組合に確認してみましょう。

パワハラによる労災認定の可能性

パワハラが原因で精神疾患を発症し、休職に至った場合、それが業務上の事由であると認められれば、労働災害(労災)として認定される可能性があります。 【労災認定の基準】 精神障害の労災認定については、「心理的負荷による精神障害の認定基準」が厚生労働省によって定められています。この基準では、以下の3つの要件を満たす場合に労災認定されます。
      • 業務による強い心理的負荷が認められること: 出来事の類型ごとに心理的負荷の強さを「強」「中」「弱」の3段階で評価し、「強」と評価される出来事があること。パワハラは「精神的負荷の総合評価表」の中で「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」などの項目に該当し得ます。
      • 対象となる精神障害を発病していること: 国際疾病分類第10版(ICD-10)の精神および行動の障害に分類される精神障害(ただし、認知症、頭部外傷による障害、アルコールや薬物による障害は除く)であること。うつ病や適応障害などが含まれます。
      • 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したものではないこと: 業務以外の原因(私生活での出来事など)や、本人の性格傾向などが原因で発病したものではないこと。
【労災認定された場合のメリット】 労災認定されると、以下の補償や給付を受けることができます。
      • 療養補償給付: 治療費や薬代などが全額支給されます。健康保険を使う必要がありません。
      • 休業補償給付: 療養のために休業し、賃金を受けられない場合に、休業4日目から、給付基礎日額の80%(休業補償給付60%+休業特別支給金20%)が支給されます。これは傷病手当金よりも手厚い補償となる場合が多いです。(ただし、傷病手当金と同時に受給することはできません。両方受給資格がある場合は、労災給付が優先されます。)
      • 障害補償給付、遺族補償給付など: 後遺症が残った場合や死亡した場合の給付もあります。
【申請手続き】 労災申請は、労働基準監督署に対して行います。
      1. **申請書の準備:** 労働基準監督署で申請書(療養補償給付支給請求書、休業補償給付支給請求書など)を取得します。
      2. **必要書類の添付:** 医師の診断書、会社の証明(事業主証明)、パワハラの事実を証明できる証拠(録音、メール、LINE、日記、目撃者の証言など)などを添付します。事業主証明が得られない場合でも申請は可能です。
      3. **労働基準監督署への提出:** 労働基準監督署に申請書を提出します。
      4. **調査:** 労働基準監督署が、会社や関係者への聞き取り調査、医療機関への照会などを行い、業務上の事由によるものかどうかの判断を行います。
      5. **決定:** 調査結果に基づいて、労災認定されるかどうかの決定がなされます。
パワハラによる労災認定は、精神的な問題のため、認定されるまでのハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。しかし、正当な権利として申請することは可能です。申請を検討する場合は、労働組合、弁護士、精神障害者家族会、NPOなどの専門機関に相談することをおすすめします。 証拠集めや申請手続きのサポートを受けることができます。

休職後の選択肢:復職か退職か

仕事に悩む日本人女性 - ストレス ストックフォトと画像 休職期間の終盤に近づくと、「元の職場に戻るのか、それとも別の道を選ぶのか」という大きな選択に直面します。これは非常に重要な決断であり、慎重に検討する必要があります。

職場復帰に向けた準備と手順

休職期間を経て心身の回復が進み、主治医から復職可能と診断された場合、職場復帰に向けて段階的に準備を進めるのが一般的です。
      1. **主治医による復職可能の診断:** まずは主治医に現在の体調や回復状況を伝え、復職が可能かどうか判断してもらいます。復職可能と診断されたら、その旨を記載した診断書(または職場復帰支援に関する意見書)を作成してもらいます。
      1. **会社との面談:** 主治医の診断書を会社に提出した後、会社の人事担当者や上司、産業医との面談が行われます。この面談では、以下の内容などが話し合われます。
      • 現在の体調や症状
      • 復職にあたって会社に求める配慮(業務内容、勤務時間、人間関係など)
      • 復職に向けた具体的なスケジュールや復帰支援プラン
      1. **復帰支援プランの策定:** 面談の内容を踏まえ、会社があなたの状況に応じた復帰支援プランを作成します。これには、以下のような内容が含まれることがあります。
      • ウォーミングアップ期間: 短時間勤務や軽易な業務から開始する期間。
      • 試し出勤制度: 会社や指定された場所で、一定時間過ごし、通勤や働く感覚を取り戻す練習。
      • リワークプログラム: 医療機関や専門機関が行う、復職に向けたリハビリテーションプログラム。認知行動療法、ストレスマネジメント、グループワークなどを通じて、働くためのスキルや自信を取り戻します。
      • 業務内容や部署の変更: 負担の大きい業務や、パワハラ加者との接触を避けられるような配慮。
      1. **段階的な復帰:** 復帰支援プランに基づき、実際に職場への復帰を開始します。最初は短時間勤務から始め、徐々に勤務時間や業務量を増やしていくなど、段階的に慣らしていくことが推奨されます。
【復職に向けたポイント】
      • 焦りは禁物です。完全に回復していないのに無理に復職すると、再休職のリスクが高まります。
      • 主治医や会社との連携が非常に重要です。現在の状況や不安を正直に伝え、相談しながら進めましょう。
      • 会社に求める配慮があれば、遠慮なく伝えましょう。企業には、労働者の安全配慮義務があります。

復職時の部署異動や環境調整

パワハラが原因で休職した場合、元の部署や加害者がいる環境に戻ることに強い抵抗を感じるのが自然です。復職にあたっては、会社に環境調整を求めることが重要です。
      • 部署異動: 最も効果的な対策の一つです。パワハラの加害者から物理的に距離を置くことで、安心して働くことができるようになります。
      • 業務内容の見直し: ストレスの原因となった業務から外してもらう、責任の重い業務を一時的に避けるなど、業務内容を調整してもらいます。
      • 勤務時間や働き方の変更: フレックスタイム制度の利用、在宅勤務の導入など、柔軟な働き方を検討してもらいます。
      • パワハラ加害者への対応: 会社に対して、加害者への指導や配置転換、謝罪の機会の設定(希望する場合)などを求めることができます。
企業には、労働者が安全かつ健康に働ける環境を整備する義務があります。特にパワハラ事案においては、再発防止策を講じることが求められます。会社の担当者と十分に話し合い、安心して働ける環境が整えられるよう求めましょう。ただし、会社の規模や体制によっては、全ての要望が叶わない場合もあります。

休職期間満了後の自然退職・解雇リスク

会社の就業規則には、休職できる最長期間が定められています。この休職期間が満了しても、病状が回復せず、働くことができない場合、自動的に退職扱いとなる「自然退職」となるのが一般的です。 これは解雇とは異なり、労働者都合の退職に近い扱いとなります。
      • 自然退職: 就業規則に定められた休職期間が満了した時点で、労働契約が終了することです。自己都合退職とは異なり、会社の規定に基づくものです。
      • 解雇: 会社から一方的に労働契約を解除されることです。休職期間満了時でも、病状が回復の見込みがない場合など、会社によっては解雇となるケースもゼロではありませんが、労働契約法により、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合でなければ解雇は無効となります。精神疾患による休職者を安易に解雇することは難しいのが現状です。
【重要なポイント】
      • 会社の就業規則を必ず確認する: 休職期間の上限や、期間満了時の扱い(自然退職または解雇の可能性)について、事前に把握しておくことが非常に重要です。
      • 休職期間中に復職か退職かを検討する: 期間満了ギリギリになって焦るのではなく、回復状況を見ながら、主治医や会社と相談しつつ、早めに今後の身の振り方について考え始めましょう。
      • 期間満了が近づいても復職が難しい場合: 会社の担当者に早めに連絡し、期間延長の可能性や、自然退職となる場合の手続きについて確認しておきましょう。

退職や転職を検討する場合のポイント

休職期間中に、回復状況や会社の状況を踏まえ、元の職場への復職は難しいと判断し、退職や転職を選ぶことも十分あり得ます。特にパワハラが原因の場合、環境を変えることが回復につながるケースも多いです。
      1. **退職の意思表示:** 会社に対して、休職期間満了での退職、あるいは期間途中での退職の意思を伝えます。退職願の提出が必要となります。
      1. **退職日の設定:** 会社の就業規則や引き継ぎの必要性などを考慮して、会社と相談の上、退職日を決定します。休職期間満了日を退職日とすることが多いです。
      1. **失業保険の受給:** 会社を退職した後、次の仕事を探すまでの生活費として、雇用保険から支給される基本手当(失業保険)を受給できます。
      • 特定受給資格者: ストレスやパワハラなど、職場のハラスメントが原因で退職した場合、自己都合退職ではなく「特定受給資格者」(会社都合退職に近い扱い)となる可能性があります。この場合、自己都合退職よりも給付制限期間が短縮されたり、所定給付日数が有利になる場合があります。ハローワークに相談し、必要書類(医師の診断書、パワハラに関する証拠など)を提出して判断を仰ぎましょう。
      • 傷病手当金との関係: 傷病手当金は「働くことができない状態」に対する給付、失業保険は「働く意思と能力があるが仕事が見つからない状態」に対する給付です。両方を同時に受給することはできません。休職期間中は傷病手当金、回復して求職活動ができるようになったら失業保険、という形で切り替えるのが一般的です。傷病手当金の受給期間が残っていても、失業保険の受給を始めるためには、求職活動ができる状態であると判断される必要があります。ハローワークに相談し、最適なタイミングや手続きについてアドバイスを受けましょう。
      1. **転職活動:** 心身が十分に回復してから、転職活動を開始します。焦らず、自分のペースで、無理のない範囲で行いましょう。転職活動においては、休職していたことを正直に伝えるか、どのように伝えるか悩むかもしれませんが、前向きな理由(キャリアチェンジ、スキルアップなど)や、体調が完全に回復していることを丁寧に説明することが大切です。
退職や転職は大きな決断ですが、辛い環境から離れることで、心身の回復が促進され、新たなスタートを切ることができます。経済的な支援制度を活用しながら、焦らずに自分にとって最善の道を選びましょう。

ストレス・パワハラ休職に関する相談先

疲れた様子のスーツ姿の女性 - ストレス ストックフォトと画像 ストレスやパワハラに悩み、休職を検討する際、一人で抱え込まずに相談できる場所がたくさんあります。それぞれの相談先には得意分野がありますので、状況に応じて適切な窓口を選びましょう。
相談先 概要・特徴 相談できること
会社の人事部・相談窓口 社内に設置されているハラスメント相談窓口や、人事担当者。 休職の手続き、会社の休職制度、福利厚生、パワハラに関する会社の対応方針、環境調整の相談。
会社の産業医 企業が設置している医師。従業員の健康管理やメンタルヘルスケアを専門としています。 心身の不調に関する医学的な相談、休職の必要性の判断、診断書の作成、復職に関するアドバイス、職場環境改善の会社への助言。守秘義務があります。
医療機関(精神科・心療内科) 医師による診察と診断、治療(投薬、カウンセリングなど)。 心身の不調の原因診断(病名)、休職の必要性の判断、診断書の作成、回復に向けた治療方針、傷病手当金に関する医師の意見書作成。
地域産業保健センター 従業員50人未満の小規模事業場の労働者や事業主が無料で利用できる産業保健サービス。産業医の選任義務がない事業場の労働者などが対象。 医師による健康相談、保健師による保健指導、労働衛生に関する情報提供など。
公的な相談窓口 都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」、法テラス、精神保健福祉センターなど。 労働問題全般に関する相談(労働条件、解雇、ハラスメントなど)、法制度に関する情報提供、適切な相談機関の紹介。無料または低額で利用できる場合が多いです。
労働組合 職場の労働組合または個人で加入できるユニオンなど。 会社との団体交渉(労働条件の改善、ハラスメント問題への対応要求など)、労働者の権利擁護、法的アドバイス。
弁護士 法律の専門家。労働問題(パワハラ、不当解雇など)に詳しい弁護士に相談。 会社への損害賠償請求、退職交渉、労働審判や訴訟などの法的手続きに関する相談と代理。費用がかかります(無料相談を行っている場合もあります)。
NPO・支援団体 精神疾患からの回復や復職を支援するNPO法人、パワハラ被害者支援団体など。 当事者や家族の相談支援、ピアサポート、復職プログラムの提供、同じ経験をした人との交流機会。
家族や友人 身近な信頼できる人。 感情の共有、共感、精神的な支え、情報収集の協力。
心身の不調を感じたら、まずは医療機関を受診し、医師の診断を受けることが最も重要です。その上で、会社の制度や経済的な問題、法的な問題など、抱えている不安の種類に応じて、適切な相談先を選びましょう。複数の窓口に相談してみるのも良いかもしれません。

まとめ:ストレス・パワハラ休職を経て新しい一歩を踏み出す

ウィンドウで深く考える女 - ストレス ストックフォトと画像 ストレスやパワハラによる心身の不調は、決してあなたの弱さではありません。過酷な環境への、あなたの正直な反応です。休職は、その環境から一時的に距離を置き、傷ついた心と体を癒やすために必要な時間です。自分を責めたり、一人で抱え込んだりする必要は全くありません。 休職には、医師の診断書の取得、会社への申請、休職期間中の生活や経済的な準備など、いくつかの手続きや知っておくべきことがあります。特に経済的な不安については、傷病手当金やパワハラによる労災認定の可能性など、利用できる公的な支援制度があります。これらの制度について正しい情報を得ることで、安心して療養に専念できるでしょう。傷病手当金の支給条件や計算方法に関するより詳細で正確な情報は、ご自身が加入する健康保険組合などの公式情報源で確認することが重要です。 例えば、健康保険組合による公的給付制度の正式な解説文書 を参考にすることも有効です。 休職期間は、単に仕事を休むだけでなく、自分自身の心と体に向き合い、回復のための大切な時間です。そして、休職期間の終盤には、復職するか、あるいは退職して新たな道に進むかという選択が待っています。どちらの選択をするにしても、ご自身の回復状況と、今後どのように働いていきたいかを慎重に考え、主治医や会社の担当者、そして必要であれば外部の専門家にも相談しながら進めることが大切です。 ストレスやパワハラから距離を置くことは、決して逃げではありません。それは、自分自身の心と体を守り、より健康で豊かな人生を送るための、勇気ある一歩です。この困難な経験を乗り越えた先に、きっと新しい道が開けるはずです。一人で悩まず、この記事があなたの回復と再出発の一助となれば幸いです。 【免責事項】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する医学的アドバイスや法的アドバイスを行うものではありません。個別のケースについては、必ず医師や弁護士、労働基準監督署などの専門機関にご相談ください。また、各種制度の詳細や手続きについては、関連法規の改正などにより変更される可能性があります。最新の情報は、各担当機関にご確認ください。
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