夜中に何度も目が覚める原因と対策|中途覚醒を改善し熟睡する方法
夜中に何度も目が覚めてしまう、熟睡した感じがしない、という悩みを抱えていませんか? これは「中途覚醒」と呼ばれる睡眠のトラブルの一つです。
質の良い睡眠が取れないと、日中の活動にも影響が出て、集中力が低下したり、気分が優れなかったりすることも。
この記事では、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」について、その原因や年代別の特徴、そして今日から実践できる具体的な対策を詳しく解説します。つらい夜間覚醒の悩みを解消し、質の高い睡眠を取り戻すためのヒントがきっと見つかるはずです。もしご自身の状態が心配な場合は、医療機関への受診目安についてもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
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何度も目が覚める原因「中途覚醒」とは?
夜中に目覚めてしまう経験は、誰にでもあるかもしれません。しかし、それが頻繁に起こり、再び眠りにつくことが難しかったり、日中の活動に支障をきたしたりする場合、それは「中途覚醒」と呼ばれる状態です。睡眠障害の一種として認識されており、多くの人が悩んでいます。
中途覚醒の定義と睡眠のメカニズム
中途覚醒とは、睡眠中に一度または複数回目が覚め、その後なかなか眠れない、あるいは再び眠りについてもすぐにまた目が覚めてしまう状態を指します。厚生労働省e-ヘルスネットによると、「睡眠障害の一つの症状で、夜中に何回も目覚め、再入眠が困難な状態をいいます。週の半分以上でそのような現象があり、不快を伴う時に症状としてとらえます。」と定義されています。
私たちの睡眠は、一晩の間に「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という異なる睡眠段階を繰り返しています。
- ノンレム睡眠: 脳も体も休んでいる深い眠り。段階があり、深いノンレム睡眠ほど目覚めにくい。
- レム睡眠: 体は休んでいますが、脳は活発に活動している浅い眠り。夢を見ることが多い。
この睡眠サイクルは、成人でおおよそ90分周期で繰り返されます。通常、サイクルが切り替わるタイミングや、浅いレム睡眠の際に、一時的に目が覚めることは自然な生理現象です。しかし、健康な人であれば、すぐにその覚醒に気づかずに再び眠りにつくことができます。
中途覚醒が問題となるのは、この一時的な覚醒が長引いたり、完全に目が覚めてしまって再入眠が困難になったりする場合です。これは、睡眠を維持する機能が低下しているか、あるいは睡眠を妨げる何らかの原因が存在することを示唆しています。
何回以上目が覚めると中途覚醒?
「何回以上目が覚めたら中途覚醒」という厳密な回数基準はありません。人によっては一晩に1回でも目覚めてしまうと、その後眠れずに悩むこともありますし、高齢の方などでは生理的に目覚めの回数が増える傾向があるため、複数回目覚めてもすぐに眠りにつけていれば問題ない場合もあります。
重要なのは、目覚めた回数そのものよりも、その後の再入眠のしやすさや、それに伴う日中の心身への影響です。
- 目が覚めてから眠りにつくまでに時間がかかる(目安として20〜30分以上)
- 夜中に目覚めることで、全体の睡眠時間が短くなる
- 目覚めによって睡眠が分断され、熟睡感が得られない
- これらの状態が続き、日中に眠気、疲労感、集中力低下、イライラなどの不調がある
上記のような状態が続く場合は、中途覚醒として対策を検討したり、専門家に相談したりすることが勧められます。「何度も目が覚める」という感覚は主観的なものですが、ご自身が睡眠の質や量に不満を感じているなら、それは中途覚醒のサインかもしれません。
夜中に何度も目が覚める主な原因
夜中に何度も目が覚める原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。大きく分けて、生活習慣、心理、身体、そして病気や薬に関わる原因が考えられます。
生活習慣に関わる原因
日中の過ごし方や習慣は、夜間の睡眠に大きな影響を与えます。特に現代社会では、睡眠を妨げるような生活習慣が蔓延しています。
アルコールやカフェインの摂取が影響?
寝る前のアルコール摂取は、「寝つきが良くなる」と感じる方がいますが、実際には睡眠の質を著しく低下させます。アルコールは入眠を早める効果があるものの、体内での分解が進むにつれて覚醒作用が現れ、睡眠の後半で眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。また、利尿作用があるため、夜間のトイレ(頻尿)の原因にもなり得ます。
カフェインも同様に、覚醒作用を持つため、摂取する時間帯によっては夜間の睡眠を妨げます。コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク、チョコレートなどに含まれており、その効果は摂取後数時間にわたって持続するため、夕方以降の摂取は控えるのが賢明です。
飲み物/食べ物 | 主な影響 | 注意点 |
---|---|---|
アルコール | 入眠は早めるが、睡眠後半の質低下、覚醒、利尿作用 | 寝る前だけでなく、夜遅い時間の飲みすぎに注意 |
カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク等) | 覚醒作用、眠気を軽減 | 夕食後以降の摂取は控えるのが望ましい |
寝る前のスマホ・PC使用の危険性
就寝直前までスマートフォンやパソコンの画面を見ている習慣も、夜間覚醒の大きな原因となります。これらの機器から発せられる「ブルーライト」は、脳を覚醒させ、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制する作用があります。
また、SNSやメールチェック、ゲームなどは脳を活動的にしてしまうため、リラックスして眠りにつく準備を妨げます。寝床に入る前に、少なくとも1時間前からは使用を控えることが推奨されます。
不規則な睡眠時間が引き起こす問題
私たちの体内には、約24時間周期で活動と休息をコントロールする「体内時計」が存在します。毎日異なる時間に寝たり起きたりする生活は、この体内時計を乱し、自然な睡眠リズムが崩れてしまいます。
体内時計が乱れると、夜になっても眠気が十分に強まらなかったり、睡眠の維持が難しくなったりして、中途覚醒を引き起こしやすくなります。週末の寝だめなども、一時的な睡眠不足の解消にはなるかもしれませんが、体内時計をさらに混乱させる原因となることがあります。
運動不足や過度な運動の影響
適度な運動は、心身のリラックスを促し、睡眠の質を高める効果があります。日中に体を動かすことで適度な疲労感が生まれ、夜間の入眠や睡眠の維持に繋がります。運動不足は、このような良い影響が得られないだけでなく、ストレス解消の機会が減り、心理的な原因による不眠を招く可能性もあります。
一方で、就寝直前の激しい運動は、体温を上げて脳を興奮させるため、かえって寝つきを悪くしたり、夜間覚醒の原因になったりすることがあります。運動するなら、就寝時間の数時間前までに済ませておくのが理想的です。
寝室の環境(温度・湿度・光・音)
寝室の環境は、睡眠の質に直結します。快適な睡眠のためには、以下の点に注意が必要です。
- 温度・湿度: 寝室の温度は18〜22℃、湿度は50〜60%程度が理想とされています。暑すぎたり寒すぎたり、乾燥しすぎたりすると、体温調整がうまくいかず、夜中に目が覚めやすくなります。
- 光: 部屋が明るすぎると、メラトニンの分泌が抑制され、眠りが浅くなります。寝室はできるだけ暗くすることが重要です。街灯の光などが気になる場合は、遮光カーテンなどを利用しましょう。夜中に目が覚めた際も、強い光を浴びないように注意が必要です。
- 音: 騒音は睡眠を妨げる大きな要因です。静かな環境で眠ることが理想です。外部の音が気になる場合は、耳栓を利用したり、ホワイトノイズを活用したりするのも有効です。
- 寝具: 体に合わない寝具(マットレス、枕など)は、体の痛みや不快感を引き起こし、睡眠を妨げます。
心理的な原因
ストレスや不安、悩み事などは、脳を興奮させ、リラックスした状態での入眠や睡眠の維持を難しくします。
ストレスや不安が睡眠を妨げる
仕事や人間関係、将来への不安など、様々な種類のストレスや不安は、自律神経のバランスを乱し、交感神経を優位にします。交感神経は体を活動モードにするため、心拍数が上がったり、脳が覚醒したりして、リラックスして眠りにつくことが難しくなります。
また、ストレスによってネガティブな思考が巡りやすくなり、それがさらに不安を増幅させて、睡眠の質を低下させるという悪循環に陥ることもあります。夜中に目が覚めた際も、不安なことや心配事が頭を駆け巡り、再び眠りにつけなくなることがあります。
考え事をしてしまう
ベッドに入っても、あるいは夜中に目が覚めた時に、仕事のこと、明日の予定、過去の出来事など、あれこれと考え事をしてしまう人も多いでしょう。これは、脳が十分に休息できていない状態であり、精神的な「覚醒」を引き起こします。
特に、解決策の見つからない悩みや、過去の失敗などを繰り返し考えてしまう「反芻思考」は、脳をリラックスから遠ざけ、睡眠の維持を困難にします。考え事を止めようとすればするほど、かえって意識してしまうことも少なくありません。
身体的な原因
体の状態や病気も、中途覚醒の直接的な原因となることがあります。加齢による生理的な変化も、身体的な原因の一つです。
加齢による睡眠の変化
年齢を重ねるにつれて、睡眠のパターンは変化します。特に、深いノンレム睡眠の時間が減少し、浅い睡眠が増える傾向があります。これにより、外部の刺激(音や光、温度変化など)に対して敏感になり、夜中に目が覚めやすくなります。
また、体内時計の機能が弱まり、睡眠・覚醒リズムが前倒しになる(早寝早起きになる)傾向や、夜間の睡眠時間が全体的に短くなる傾向も見られます。これは自然な生理現象ではありますが、夜中に目が覚めた後、若い頃のようにすぐに眠りにつくのが難しくなるため、中途覚醒として自覚されやすくなります。
頻尿や体の痛み
物理的な不快感も、夜間覚醒の一般的な原因です。
- 頻尿: 加齢や前立腺肥大(男性)、膀胱炎などにより、夜間に何度もトイレに行きたくなり、目が覚めてしまう状態です。
- 体の痛み: 関節炎、腰痛、頭痛など、慢性の痛みがあると、寝ている間に体勢を変えるたびに痛みが悪化したり、痛み自体が脳を覚醒させたりして、睡眠が中断されます。
- かゆみ: 皮膚疾患などによるかゆみも、睡眠中に目が覚める原因となります。
レストレスレッグス症候群など
睡眠中に体が involuntarily 動いてしまう睡眠関連運動障害も、中途覚醒の原因となり得ます。
- むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群): 寝ようとすると、主に下肢に不快な感覚(むずむず、チクチク、かゆみなど)が生じ、足を動かさずにはいられなくなる病気です。この不快感や動きが、入眠を妨げたり、夜間覚醒を引き起こしたりします。
- 周期性四肢運動障害: 睡眠中に周期的に手足がぴくつく、または蹴るような動きをする病気です。本人は気づかないことが多いですが、一緒に寝ている人に指摘されたり、この運動によって本人の睡眠が浅くなったり、短い覚醒を繰り返したりすることで、熟睡感が得られず、日中の眠気や倦怠感に繋がります。
病気や薬による原因
中途覚醒は、他の病気の症状として現れたり、服用している薬の副作用として起こったりすることもあります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。呼吸が止まるたびに脳が覚醒して呼吸を再開させますが、本人はほとんど気づいていません。しかし、この短い覚醒が繰り返されることで、睡眠が分断され、深い睡眠が十分に得られなくなります。結果として、日中の強い眠気や倦怠感、集中力低下などの症状が現れます。夜間の息苦しさや大きないびき、同室者からの指摘で気づくことが多いですが、中途覚醒としてのみ自覚されることもあります。
むずむず脚症候群
前述の通り、むずむず脚症候群は下肢の不快感とそれを軽減するための体の動きが特徴で、これが夜間覚醒の直接的な原因となります。鉄分不足や腎不全、神経疾患などとの関連が指摘されており、特定の時間に症状が悪化する傾向があります。
うつ病や適応障害との関連
うつ病や適応障害などの精神疾患は、しばしば睡眠障害を伴います。不眠の症状は、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒など様々ですが、特に中途覚醒や早朝覚醒はうつ病の典型的な症状の一つとされています。気分が落ち込む、興味や喜びがなくなる、疲労感が続くといった精神的な症状に加えて、頻繁な夜間覚醒がある場合は、精神疾患の可能性も考慮し、専門医に相談することが重要です。
特定の薬剤の影響
一部の薬剤には、副作用として睡眠障害(不眠や中途覚醒など)を引き起こすものがあります。例えば、ステロイド薬、気管支拡張薬、降圧薬の一部、抗うつ薬の一部、中枢神経刺激薬などが挙げられます。現在服用中の薬があり、中途覚醒が気になり始めた場合は、医師や薬剤師に相談してみましょう。自己判断での服薬中止は危険ですので絶対に避けてください。
【年代別】夜中に何度も目が覚める特徴と注意点
中途覚醒の原因は多岐にわたりますが、年代によってその傾向や注意すべき点も異なります。
20代・30代・40代の傾向
この年代は、仕事や育児、人間関係など、生活を取り巻く環境の変化が大きく、心理的なストレスや不規則な生活習慣が中途覚醒の主な原因となることが多いです。
- 仕事のストレス: 納期が迫っている、人間関係の悩み、長時間労働などが、脳の興奮や不安を引き起こし、夜間の睡眠を妨げます。
- 育児: 小さな子どもの夜泣きや授乳などで睡眠が中断され、睡眠リズムが崩れやすくなります。また、育児による疲労やストレスも重なり、睡眠の質が低下します。
- スマートフォンの使用: 寝る前のスマホやPCの使用習慣が定着している人も多く、ブルーライトや脳の覚醒が中途覚醒の原因となります。
- 夜型の生活: 仕事や趣味などで夜更かしをする傾向があり、体内時計が乱れやすくなります。
- アルコール・カフェイン: 付き合いや気分転換で、寝る前にアルコールやカフェインを摂取する機会が多い人もいます。
注意点: この年代では、中途覚醒を一時的なものとして軽視しがちですが、放置すると慢性化し、日中のパフォーマンス低下やメンタルヘルスの問題に繋がる可能性があります。早めに生活習慣の見直しやストレスマネジメントに取り組むことが重要です。
高齢者における中途覚醒
高齢になると、生理的な睡眠の変化により、中途覚醒が増えるのはある程度自然なことです。しかし、それに加えて様々な要因が影響します。
- 生理的な睡眠の変化: 前述の通り、深い睡眠が減少し、浅い睡眠が増えるため、音や光などの刺激で目が覚めやすくなります。また、必要な睡眠時間自体が短くなる傾向もあります。
- 頻尿: 加齢による膀胱機能の変化や、基礎疾患(糖尿病、前立腺肥大など)により、夜間に何度もトイレに起きる必要が生じます。
- 体の痛み: 関節痛、神経痛など、慢性の痛みを抱えている人が多く、痛みが原因で目が覚めてしまうことがあります。
- 基礎疾患や服用薬: 高血圧、心臓病、呼吸器疾患、神経疾患など、様々な病気が睡眠に影響を与える可能性があります。また、これらの病気の治療のために服用している薬の副作用として、不眠が現れることもあります。
- 活動量の低下: 日中の活動量が少ないと、夜間の睡眠の質が低下することがあります。
- 昼寝の習慣: 長時間や遅い時間の昼寝は、夜間の睡眠を妨げる可能性があります。
注意点: 高齢者の場合、中途覚醒の背景に病気が隠れている可能性も比較的高いため、安易に「年だから」と片付けず、一度医療機関に相談することが推奨されます。また、転倒による怪我のリスクも高まるため、夜間の中途覚醒時の安全確保(足元を明るくするなど)も重要です。
年代層 | 主な中途覚醒の原因 | 注意点 |
---|---|---|
20代〜40代 | ストレス、不規則な生活、スマホ、育児 | 慢性化させないための早めの対策が重要 |
高齢者 | 生理的変化、頻尿、痛み、基礎疾患、服用薬 | 病気が隠れている可能性、転倒リスクに注意 |
同じ時間に目が覚める原因と対策
「毎日夜中の2時に目が覚める」「なぜかいつも3時頃に目が覚める」といったように、特定の時間に目が覚めることに悩む人もいます。これにはどのような原因が考えられるのでしょうか。
なぜ特定の時間に目が覚めるのか(2時、3時など)
特定の時間に目が覚める現象には、いくつかの要因が関わっている可能性があります。
- 睡眠周期の関連: 私たちの睡眠は前述のように約90分周期のレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。特定の時間に目が覚めるのは、たまたまその時間帯に睡眠の浅いレム睡眠や、サイクルが切り替わるタイミングが来ているためかもしれません。もし体内時計によって決まった時間に目覚めやすい傾向がある場合、浅い眠りのタイミングと重なることで、覚醒に気づきやすくなる可能性があります。
- 体内時計の乱れ: 体内時計が乱れると、夜間の特定の時間にコルチゾール(覚醒に関わるホルモン)の分泌が急増したり、体温が上昇したりすることがあります。これが原因で、本来は眠っているべき時間に体が活動モードになり、目が覚めてしまうのかもしれません。特に、不規則な生活や時差ぼけなどが影響することがあります。
- 自律神経の乱れ: ストレスなどによる自律神経の乱れは、夜間の特定の時間に交感神経が優位になり、心拍数の増加や発汗などを伴って目が覚める原因となることがあります。
- 特定の原因の悪化: 例えば、むずむず脚症候群の症状が夜間の特定の時間に悪化する、夜間の血糖値変動が大きい、特定の病気の症状がその時間帯に出やすい、といったことも考えられます。
- 気にしすぎ: 一度特定の時間に目が覚める経験をすると、「またこの時間に目が覚めるのではないか」という予期不安が生じ、それが実際にその時間帯の覚醒を引き起こしてしまう、という心理的な要因も考えられます。
特定の時間覚醒への対処法
特定の時間に目が覚めることに特化した万能な対処法はありませんが、以下の点に留意することが役立ちます。
- 特定の時間を気にしすぎない: 「また〇時に目が覚めるだろうか」と気にしすぎると、かえってその不安が覚醒を引き起こしてしまいます。たとえ目が覚めても、「この時間に目が覚めるのはいつものことだ」と割り切り、リラックスを心がけることが重要です。時計を見る習慣をやめるのも良いでしょう。
- 全体的な睡眠環境・習慣の改善: 特定の時間に目が覚めるのは、根本的な睡眠の質やリズムに問題があるサインかもしれません。前述の「夜中に何度も目が覚める状態を改善するための対策」でご紹介する、睡眠環境の整備や生活習慣の見直し、リラクゼーションの実践など、全体的な睡眠衛生の改善に取り組むことが最も有効です。
- 原因となる病気の治療: むずむず脚症候群や睡眠時無呼吸症候群など、特定の時間覚醒の原因となっている可能性のある病気がある場合は、その病気を適切に治療することが必要です。
- 専門家への相談: 特定の時間に目が覚めることに対して強い苦痛を感じていたり、原因が分からず不安だったりする場合は、睡眠専門医に相談してみましょう。睡眠の状態を詳しく調べ、原因を特定し、適切なアドバイスや治療を受けることができます。
夜中に目が覚めたらすぐに寝れる?対処法
夜中に目が覚めてしまったとき、「早く眠らなければ」と焦れば焦るほど、かえって目が冴えてしまうものです。再入眠をスムーズにするためには、覚醒時のNG行動を避け、適切な方法を試すことが大切です。
覚醒時のNG行動とは
夜中に目が覚めてしまったとき、ついついやってしまいがちな、しかし再入眠を妨げてしまう行動があります。
- 時計を見る: 時間を確認すると、「もうこんな時間だ」「あと〇時間しか眠れない」などと考え始め、焦りや不安が生じます。これは脳を覚醒させてしまい、眠りから遠ざけます。
- スマートフォンやパソコンを見る: 画面のブルーライトが脳を刺激し、さらに覚醒を促します。また、メールやSNSなどをチェックし始めると、情報に触れて脳が活発に動き出し、眠りにつくのが困難になります。
- 明るい電気をつける: 強い光を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。トイレなどで一時的に電気をつける必要がある場合も、できるだけ暖色系の薄暗い照明を利用しましょう。
- ベッドの中で考え事をする: 寝床は眠るための場所です。「眠れない」「どうしよう」といったネガティブな思考や、仕事や悩み事について考え始めると、脳が活発になりリラックスできません。
- 無理に寝ようと焦る: 「早く寝なければ」と強く意識すると、かえって緊張してしまい、眠りから遠ざかります。「眠れない自分」にイライラすることも、睡眠の妨げになります。
再入眠のための具体的な方法
夜中に目が覚めてしまった場合、これらのNG行動を避けつつ、以下の方法を試してみましょう。
- 一度寝床から出る: 20〜30分経っても眠れない場合は、無理にベッドの中に留まらず、一度寝床から出ましょう。寝床を「眠れない場所」と関連付けてしまうのを防ぐためです。
- リラックスできる環境へ移動: 寝室から出て、リビングなど別の部屋へ移動します。部屋は薄暗くし、静かな環境を選びます。
- リラックスできる軽い活動をする:
- 静かな読書: 退屈な本を薄暗い照明の下で読むのは効果的です。
- 音楽鑑賞: ヒーリング音楽や静かなクラシックなどを聴くのも良いでしょう。
- 温かい飲み物: カフェインの入っていない、ホットミルクやハーブティー(カモミールなど)をゆっくり飲むのも体をリラックスさせます。
- 軽いストレッチや瞑想: 深呼吸や軽いストレッチで体の緊張をほぐしたり、瞑想で心を落ち着かせたりするのも有効です。
- 眠気を感じたら再び寝床へ: これらの活動を続けているうちに眠気を感じてきたら、再び寝床に戻ります。「寝よう」と意気込むのではなく、「眠くなってきたからベッドに戻ろう」くらいの軽い気持ちで向かうのがポイントです。
- 眠れなくても焦らない: もし再び目が覚めてしまったり、すぐに眠りにつけなかったりしても、自分を責めたり焦ったりしないことが大切です。横になっているだけでも体は休まります。
覚醒時のNG行動 | 代替・推奨行動 |
---|---|
時計を見る | 時計を見ないようにする |
スマホ・PCを見る | 薄暗い部屋で静かに過ごす |
明るい電気をつける | 暖色系の薄暗い照明を利用する |
ベッドの中で考え事をする | 一度寝床から出て、リラックスできる活動をする |
無理に寝ようと焦る、イライラする | 横になって体を休ませる、リラックスを心がける |
何度も目が覚める状態を改善するための対策
中途覚醒を改善するためには、日中の過ごし方や夜間の準備が非常に重要です。今日からでも実践できる、具体的な対策をご紹介します。これらは「睡眠衛生」と呼ばれ、質の良い睡眠のために世界中で推奨されている基本的な取り組みです。
睡眠環境の整備方法
快適な睡眠環境を作ることは、中途覚醒の改善に欠かせません。
- 寝室の温度と湿度を適切に: 前述の通り、温度は18〜22℃、湿度は50〜60%程度が理想です。夏場はエアコンで室温を調整し、冬場は加湿器などを利用して乾燥を防ぎましょう。
- 光を遮断する: 寝室はできるだけ暗くしましょう。遮光カーテンを使ったり、アイマスクを利用したりするのも効果的です。夜中にトイレなどで起きた際も、明るい光を浴びないように注意が必要です。
- 騒音を防ぐ: 静かな環境で眠ることが理想です。外部の音が気になる場合は、窓を閉めたり、厚手のカーテンをつけたりするほか、耳栓やノイズキャンセリング機能付きのイヤホンなどを試してみるのも良いでしょう。ホワイトノイズマシンやアプリを活用するのも一つの方法です。
- 寝具を見直す: 体に合わないマットレスや枕は、不快感や体の痛みを引き起こし、睡眠を妨げます。ご自身の体格や好みに合った寝具を選ぶことが大切です。シーツやパジャマも、肌触りが良く、季節に合った素材のものを選びましょう。
- 寝室をリラックスできる空間に: 寝室は眠るためだけの場所と位置づけ、仕事や悩み事を持ち込まないようにしましょう。好きなアロマを焚いたり、心地よい音楽を流したりして、リラックスできる空間作りを心がけましょう。
生活習慣の見直しで改善
日々の生活習慣を少し変えるだけで、睡眠の質が向上し、中途覚醒の改善に繋がることがあります。
- 毎日同じ時間に寝て起きる: 休日も平日と大きく変わらない時間(差は1時間以内が理想)に寝起きすることで、体内時計が整い、安定した睡眠リズムが構築されます。
- 就寝前のカフェインやアルコールを控える: 特に就寝前数時間(カフェインは4時間以上、アルコールは寝酒をしない)は摂取を控えましょう。
- 寝る前の喫煙を避ける: タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があります。
- 適度な運動を取り入れる: 日中に適度な運動をすることで、夜間の睡眠の質が向上します。ただし、就寝直前の激しい運動は避けましょう。夕方や就寝数時間前の軽いウォーキングやストレッチがおすすめです。
- 寝る前に熱すぎるお風呂に入らない: 寝る前に体温を一度上げ、その後下がる過程で眠気を誘います。しかし、熱すぎるお湯は体を興奮させてしまいます。38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かるのが効果的です。
- 寝る前の飲食を控える: 就寝直前の食事は胃腸の活動を活発にし、睡眠を妨げます。消化に時間のかかるものは就寝3時間前までに済ませるのが理想です。
- 日中に適度に日光を浴びる: 日光を浴びることで体内時計がリセットされ、覚醒と睡眠のリズムが整います。特に午前中に日光を浴びるのが効果的です。
- 昼寝を短時間・早い時間に: 昼寝をする場合は、午後の早い時間(15時前まで)に、20〜30分程度の短い時間にとどめましょう。長い昼寝や遅い時間の昼寝は、夜間の睡眠を妨げる可能性があります。
リラクゼーションを取り入れる効果
就寝前に心身をリラックスさせる習慣を取り入れることも、中途覚醒の改善に役立ちます。
- 軽いストレッチやヨガ: 体の緊張をほぐし、リラックス効果を高めます。
- 瞑想や深呼吸: 呼吸に意識を集中したり、ゆっくりと深い呼吸を繰り返したりすることで、心拍数が落ち着き、リラックス状態に入りやすくなります。
- アロマテラピー: ラベンダーやカモミールなど、リラックス効果があるとされるアロマを利用するのも良いでしょう。
- 音楽鑑賞: 静かで心地よい音楽を聴くことで、心を落ち着かせます。
- ぬるめのお風呂: 体を温め、リラックス効果を高めます。
- ジャーナリング(書くこと): 寝る前に頭の中で考えていることや心配事を紙に書き出すことで、頭の中が整理され、考え事が原因で眠れない状態を軽減できることがあります。
これらの対策は、すぐに効果が現れるわけではありませんが、継続して実践することで、徐々に睡眠の質が改善され、中途覚減っていくことが期待できます。ご自身に合った方法をいくつか取り入れて、習慣化してみましょう。
病院に行くべき目安と受診先
生活習慣や環境の改善、リラクゼーションなどを試してもなお中途覚醒が改善されない場合や、症状が重い場合は、医療機関を受診することを検討しましょう。中途覚醒の背景に病気が隠れている可能性もあります。
どんな症状が出たら病院へ行くべき?
以下のような症状が見られる場合は、一度専門家に相談することをおすすめします。
- 中途覚醒が週に数回以上あり、数週間以上続いている
- 夜中に目が覚めた後、再び眠りにつくまでに長い時間がかかる(30分以上など)
- 睡眠の質が著しく低下していると感じる
- 中途覚醒によって、日中に以下のような影響が出ている
- 強い眠気や倦怠感
- 集中力や注意力の低下
- 意欲やモチベーションの低下
- イライラしたり、気分の落ち込みが続く
- 頭痛や体の不調
- 大きないびきや、睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある
- 寝ようとすると足に不快な感覚があり、動かさずにはいられない
- 慢性的な痛みやかゆみなど、夜間覚醒の原因になりそうな身体的な症状がある
- 現在服用している薬があり、それが原因かもしれないと疑われる
- 精神的なストレスや不安が強く、それが睡眠に影響していると感じる
- 自分で原因が分からず、どうすれば良いか困っている
これらの症状が続く場合は、単なる睡眠の質の低下ではなく、睡眠障害やその他の疾患が原因である可能性があります。適切な診断と治療を受けることで、症状が改善し、睡眠の質を取り戻せる場合があります。
何科を受診すべきか
中途覚醒で病院を受診する場合、症状や疑われる原因によっていくつかの診療科が考えられます。
- 精神科、心療内科: ストレス、不安、うつ病、適応障害など、心理的な要因や精神疾患が中途覚醒の原因として疑われる場合に適しています。睡眠に関する専門的な知識を持つ医師も多くいます。
- 睡眠外来、睡眠センター: 睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害など、特定の睡眠障害が強く疑われる場合に最も適しています。睡眠ポリグラフ検査など、専門的な検査を受けることができます。大学病院などに設置されていることが多いです。
- 一般内科、かかりつけ医: まずはかかりつけ医に相談するのも良い方法です。現在の体の状態や服用している薬などを踏まえて、適切な診療科を紹介してもらうことができます。
- 泌尿器科: 夜間頻尿が主な原因であると考えられる場合、前立腺肥大などの泌尿器系の疾患が関わっている可能性があるため、検討します(男性の場合)。
- 整形外科、ペインクリニック: 体の痛みが原因で目が覚める場合。
受診の流れ(一般的な例):
- まずはかかりつけ医や、比較的身近な精神科・心療内科に相談する。
- 症状に応じて、睡眠専門医のいる睡眠外来などを紹介される。
- 必要に応じて、睡眠ポリグラフ検査などの専門的な検査を受ける。
- 診断に基づき、原因疾患の治療や睡眠薬の処方、認知行動療法などの治療が行われる。
受診を検討する際は、事前に予約が必要か、どのような検査や治療を行っているかなどを病院のウェブサイトなどで確認しておくとスムーズです。
まとめ
夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」は、生活習慣、心理的な要因、身体的な問題、病気や薬など、様々な原因によって引き起こされます。年代によってもその傾向は異なり、特に高齢者では生理的な変化に加えて基礎疾患が関係しているケースも多く見られます。
中途覚醒を改善するためには、まずご自身の生活習慣や寝室の環境を見直すことが重要です。毎日の寝起き時間を一定にする、寝る前のスマホやカフェイン・アルコールを控える、寝室の温度や湿度、光、音に配慮するなどの「睡眠衛生」を整えることは、どなたにとっても有効な基本的な対策です。また、就寝前に軽いストレッチや深呼吸などのリラクゼーションを取り入れることも、心身を落ち着かせ、質の良い睡眠に繋がりやすくなります。
これらのセルフケアを試しても症状が改善しない場合や、日中の強い眠気、疲労感、気分の落ち込みなどが続く場合は、医療機関を受診することをおすすめします。睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群、うつ病など、中途覚醒の背景に病気が隠れている可能性もあります。精神科、心療内科、あるいは睡眠外来などで専門的な診断を受けることで、原因に基づいた適切な治療を受け、つらい夜間覚醒の悩みから解放される可能性があります。
「何度も目が覚める」という悩みは決して一人で抱え込む必要はありません。まずは今日からできる対策を試してみて、必要であれば専門家のサポートを借りながら、快適な睡眠を取り戻しましょう。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、診断や治療を推奨するものではありません。個々の健康状態については、必ず医師の診断を受けてください。
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