ひきこもりになる原因TOP10|チェックリスト付き!特徴と脱出方法

ひきこもりは、現代社会において多くの家庭が直面しうる深刻な問題です。長期化するにつれて、本人だけでなく家族にも大きな影響を与え、社会との繋がりが希薄になっていく状態を指します。
しかし、「なぜひきこもりになるのだろうか?」その原因は一つではなく、非常に複雑な要因が絡み合っていることがほとんどです。この記事では、ひきこもりの定義から最新の現状、そして個人を取り巻く様々な原因や背景を掘り下げて解説します。原因を知ることは、回復への第一歩です。この記事を通して、ひきこもりへの理解を深め、解決に向けた糸口を見つけるためのお役に立てれば幸いです。

内閣府による定義

内閣府は、ひきこもりを「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、原則として6か月以上続けて自宅にこもっている状態」と定義しています。これは、病名や診断名ではなく、あくまで社会的な状態を指す言葉です。

この定義にはいくつか重要な点があります。まず、「仕事や学校に行かず」という点は、就労や就学といった社会参加の形態が断たれていることを示します。次に、「家族以外の人との交流をほとんどせずに」という点は、社会的な孤立の深さを表しています。そして、「原則として6か月以上続けて自宅にこもっている状態」という点は、一時的な休息や引きこもりとは異なる、ある程度の期間継続した状態であることを示しています。ただし、病気や障害によって社会参加が困難なケースは含まない場合があるなど、定義の解釈には幅があり、個々の状況を丁寧に見ていく必要があります。

ひきこもりの人数と社会問題化の背景

内閣府が実施した調査(2019年発表)によると、40~64歳では約61.3万人、15~39歳では約54.1万人、合計で約115万人に及ぶ人々がひきこもり状態にあると推計されています。これは、予備群を含めるとさらに多くの人々が影響を受けている可能性を示唆しており、決して一部の限られた問題ではないことがわかります。

(引用:内閣府「生活状況に関する調査」2019年発表、及び「若者の生活に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」2016年発表)

ひきこもりが社会問題として認識されるようになった背景には、いくつかの要因があります。

  • 人数の規模と広がり: 推計100万人を超える人々が社会参加できていないという事実は、労働力や社会保障といった側面から見ても無視できない規模です。また、かつては「若者特有の問題」と捉えられがちでしたが、中高年層でのひきこもりが増え、長期化・高齢化している実態が明らかになり、社会全体の問題として捉えられるようになりました。
  • 長期化と高齢化: ひきこもり状態が長期化するにつれて、本人の社会復帰がより困難になるだけでなく、親が高齢になり、経済的・体力的に本人を支えきれなくなる「8050問題(80代の親が50代のひきこもりの子を支える問題)」などが顕在化しています。これは、家族だけで解決できる問題の限界を示しています。
  • 社会的な支援体制の不足: ひきこもりは多様な背景を持つため、単一の支援では対応しきれません。医療、福祉、就労支援、居場所づくりなど、多角的なアプローチが必要ですが、これらのサービスが十分に連携していなかったり、そもそも利用できる機関が地域によって限られているといった課題があります。

このように、ひきこもりは個人の問題として片付けられるものではなく、社会構造や環境の変化とも深く関わる、現代社会の重要な課題の一つと言えるでしょう。

ひきこもりの主な原因と背景要因

ひきこもりの原因は、特定の出来事や一つの要因だけで説明できることは稀です。多くの場合、個人の内面的な要因、過去の経験、そして社会的な環境要因などが複雑に絡み合い、その結果としてひきこもりという状態に至ります。ここでは、主な原因や背景要因を掘り下げて見ていきます。

個人の内面に関わる原因

ひきこもりの背景には、その人の生まれ持った特性や、これまでの経験を通して培われた内面的な傾向が深く関わっていることがあります。

精神疾患との関連性

ひきこもり状態にある人の中には、精神疾患を抱えているケースが少なくありません。ひきこもり自体は病名ではありませんが、うつ病、適応障害、社交不安障害、統合失調症、双極性障害などの精神疾患が、社会との関わりを避ける引き金となったり、ひきこもり状態を維持させたりすることがあります。

  • うつ病・適応障害: 無気力感、興味や喜びの喪失、強い疲労感、自己否定感などが現れ、学校や仕事に行く意欲が著しく低下したり、対人交流がおっくうになったりします。特に適応障害は、特定の環境(学校、職場など)への適応困難から生じ、その場から離れることで症状が軽減することが多いため、ひきこもりという形を取りやすいと言えます。
  • 社交不安障害: 他者の視線や評価に対する極度の不安から、人前での行動や対人交流を避けるようになります。この不安が強すぎると、外出そのものが困難になり、ひきこもりにつながることがあります。
  • 統合失調症: 思考や認知の障害、幻覚や妄想などが現れる病気です。病状によっては、他者への不信感や被害妄想から人との接触を避けたり、意欲の低下から活動が困難になったりして、ひきこもり状態になることがあります。

これらの精神疾患は、専門的な診断と治療が必要です。ひきこもりの背景に精神疾患が隠れている場合、疾患の治療を進めることが、ひきこもり状態からの回復に向けた重要な一歩となります。適切な医療機関への相談が不可欠です。

発達障害・特性による生きづらさ

近年、ひきこもりの背景に発達障害やその傾向(特性)があることが注目されています。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥・多動性障害)といった発達特性は、病気ではなくその人の脳の特性であり、社会生活を送る上で「生きづらさ」につながることがあります。

  • ASD(自閉スペクトラム症)の特性: 対人関係における独特のコミュニケーションスタイル、暗黙のルールの理解の難しさ、強いこだわり、感覚過敏・鈍麻などが挙げられます。これらの特性があると、集団生活や臨機応変な対応が求められる場面で困難を感じやすく、周囲とのズレや誤解が生じやすくなります。その結果、人間関係に疲れ果てたり、傷ついたりして、社会との関わりを避けるようになることがあります。
  • ADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性: 不注意(集中が続かない、忘れっぽい)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(衝動的な行動、待てない)などが挙げられます。これらの特性が学業や仕事、日常生活に影響し、失敗体験を積み重ねたり、周囲から否定的な評価を受け続けたりすることで、自己肯定感が低下し、社会に出ることへの自信を失うことがあります。

発達特性による生きづらさは、本人の努力不足やわがままではなく、脳の特性によるものです。自身の特性を理解し、特性に合った環境調整や支援を受けることで、生きづらさを軽減し、社会との折り合いをつける道が見つかる可能性があります。医療機関での診断や、専門家による特性への理解を深めるサポートが役立ちます。

自己肯定感の低さや完璧主義

個人の内面的な心理傾向も、ひきこもりの重要な背景要因となります。

  • 自己肯定感の低さ: 「自分には価値がない」「どうせ何をしても上手くいかない」といった根深い自己否定的な考えが、新たな挑戦を避けたり、失敗を恐れて行動できなくなったりすることにつながります。過去の失敗体験や否定的なフィードバックが積み重なることで、自己肯定感はさらに低下し、社会で活躍することへの自信を完全に失ってしまうことがあります。
  • 完璧主義: 「こうあるべきだ」「失敗は許されない」といった高い理想や厳格な基準を自分自身に課してしまう傾向です。理想と現実のギャップに苦しみ、少しでも完璧でないと「自分はダメだ」と強く落ち込んでしまいます。失敗を過度に恐れるため、挑戦すること自体を避けたり、完璧にできないならやらない方がましだと考えて、社会との関わりを断ってしまうことがあります。

自己肯定感の低さや完璧主義は、他者からの評価を過剰に気にしたり、自分を常に追い込んだりする状態を生み出し、心身を疲弊させます。これらの内面的な課題に向き合うためには、カウンセリングや認知行動療法などが有効な場合があります。

社会・環境に関わる原因

個人の内面的な要因だけでなく、育ってきた環境や過去の経験、現在の社会状況なども、ひきこもりの原因として深く関わってきます。

対人関係のつまずきやトラウマ

人間関係における深刻な困難や、心に深い傷を負う体験は、社会との関わりを避けたいという強い動機になります。

いじめやハラスメント体験

学校や職場でのいじめ、パワハラ、セクハラといったハラスメントは、被害者に強い精神的苦痛を与え、人間不信や社会への恐怖心を生み出します。安全であるべき場所での心ない言動や暴力は、自己肯定感を破壊し、「自分は否定される存在だ」「誰も信じられない」といった思いを植え付けます。その結果、再び同じような経験をすることを恐れて、人との関わりを断ち、外に出られなくなることがあります。トラウマ体験は、フラッシュバックや過覚醒などの症状を伴うことがあり、専門的なケアが必要となる場合があります。

職場や学校での人間関係の困難

いじめやハラスメントといった明確な加害行為ではなくても、学校や職場での人間関係に継続的に困難を感じることも、ひきこもりの大きな要因となります。例えば、集団に馴染めない、同僚やクラスメイトとのコミュニケーションがうまくいかない、孤立してしまう、といった状況です。このような環境に身を置き続けることは、常に緊張やストレスを強いられ、心身の疲弊につながります。特に感受性が高い人や、協調性を重視する文化の中で孤立を感じやすい人は、その苦痛から逃れるために、最終的にその環境から離れ、自宅に閉じこもる選択をすることがあります。

過去の挫折や失敗経験

人生の節目における大きな挫折や失敗も、ひきこもりの直接的な引き金となることがあります。これらの経験は、自己肯定感を大きく揺るがし、再挑戦への意欲を失わせることがあります。

受験や就職活動の失敗

希望する学校に入学できなかった、あるいは就職活動がうまくいかず、周囲が進路を決める中で自分だけが取り残されてしまった、といった経験は、強い劣等感や将来への不安を引き起こします。「自分は社会に必要とされていないのではないか」「努力しても報われない」といった思いは、次のステップへ進む活力を奪い、社会との接続を断つきっかけとなることがあります。

退職・失業

仕事を辞めたり、失業したりすることも、ひきこもりの原因となることがあります。仕事は単に収入を得るだけでなく、社会との繋がりや自己肯定感を保つ上で重要な役割を果たします。特に長年働いてきた人が退職・失業すると、社会的な役割を失ったことによる喪失感、経済的な不安、再就職への自信喪失などが重なり、意欲を失い、自宅に閉じこもりがちになることがあります。

不登校の長期化

幼少期や思春期の不登校が長期化すると、学業の遅れだけでなく、同世代との交流機会の喪失、社会との断絶といった問題が生じます。義務教育期間中の不登校は、その後の進路選択(高校進学、大学進学、就職など)に大きな影響を与え、将来への不安を一層募らせます。そのまま適切なサポートを受けられない場合、成人してからも社会との繋がりを築くことが難しくなり、ひきこもり状態に移行するリスクが高まります。不登校の段階で早期に専門的な支援に繋がることが重要です。

家族関係の問題

家族は最も身近な存在ですが、その関係性がひきこもりの原因や背景となることもあります。

過干渉や過保護な養育環境

親が子どもの意思や行動に過度に干渉したり、失敗しないように先回りして全てを準備したりする養育環境は、子どもの自立心や問題解決能力の育成を妨げることがあります。子どもは自分で考え、自分で行動する機会が少なくなり、親に依存する傾向が強まります。また、失敗を経験しないまま成長すると、社会に出て直面する困難に対応できず、挫折感や無力感を強く感じやすくなります。親からの期待に応えられないプレッシャーや、親の価値観に縛られる息苦しさから、社会との接触を避けるようになるケースもあります。

家族内のコミュニケーション不足

家族間で十分なコミュニケーションが取れていないことも、ひきこもりの背景となりえます。自分の気持ちをうまく伝えられない、あるいは伝えても理解されない、相談したいことがあっても話しにくいといった状況では、孤立感を深め、家族の中ですら安心できる居場所がないと感じてしまいます。問題や悩みを共有できず、一人で抱え込んでしまうことで、状況がさらに悪化し、ひきこもりにつながることがあります。家族がひきこもり状態の本人にどう接していいかわからず、孤立を深めてしまう悪循環に陥ることもあります。

社会的・環境的な要因

個人の内面や家族環境だけでなく、社会全体の変化や特定の出来事も、ひきこもりを生み出す背景として影響を与えています。

社会の変化や将来への不安

現代社会は変化のスピードが速く、将来の見通しが立てにくい時代と言えます。雇用形態の多様化(非正規雇用の増加、終身雇用の崩壊)、成果主義の浸透、インターネットやSNSによる情報過多など、社会構造の変化は人々に新たなストレスや不安を与えています。

  • 競争の激化: 幼い頃からの受験競争、就職活動の困難さ、職場での成果競争など、常に他者と比較され、競争に晒される環境は、人々を疲弊させ、競争から降りてしまいたいという気持ちを生み出すことがあります。
  • 将来への漠然とした不安: 経済的な不安定さ、年金問題、AIによる雇用の未来など、将来に対する漠然とした不安は、特に若年層やミドル世代にとって、前に進む活力を奪う要因となります。社会参加への意欲を失い、「どうせ頑張っても無駄だ」といったニヒリズムに陥り、ひきこもりを選択することがあります。

新型コロナウイルスの流行による影響

新型コロナウイルスの世界的な流行は、私たちの生活様式や社会全体に大きな変化をもたらしました。この変化が、ひきこもりを誘発したり、既存のひきこもり状態を悪化させたりする要因となった可能性が指摘されています。

  • 外出自粛要請と活動制限: 不要不急の外出自粛や各種イベントの中止などにより、物理的に社会との接触機会が激減しました。これにより、これまでぎりぎりのところで社会との繋がりを保っていた人々が、その糸が切れてしまったり、一旦自宅に閉じこもった状態から外に出るきっかけを失ったりしました。
  • オンライン化の進展と格差: リモートワークやオンライン授業の普及は、一部の人にとっては便利でしたが、デジタルデバイド(情報格差)のある人々や、対面でのコミュニケーションに安心感を覚える人々にとっては、新たな困難や孤立感を生み出しました。
  • 社会全体の不安感の増大: 感染への恐怖、経済的な先行き不透明感、社会的な分断など、パンデミックは社会全体の不安感を増大させました。このような状況は、精神的な健康を損ないやすく、ひきこもりやすい心理状態を作り出す要因となります。

このように、社会全体の出来事や環境の変化も、個人のひきこもりという状態に深く影響を及ぼしています。

複数の原因が複雑に絡み合うケース

ここまで、ひきこもりの様々な原因や背景要因を見てきました。しかし、現実には、これらの要因が単独で存在するよりも、複数組み合わさって複雑に絡み合っていることの方が圧倒的に多いです。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • ケースAさん(20代男性): 学生時代からASDの特性による対人関係の難しさを感じていたが、何とか大学に進学。しかし、大学生活でのコミュニケーションにつまずき、サークル活動にも馴染めず孤立。就職活動も上手くいかず、数社から不採用が続き自己肯定感が著しく低下。卒業後、就職できない焦りと、再び人間関係で失敗することへの恐れから、外出を一切しなくなり、自室に閉じこもるようになった。このケースでは、「発達特性」「対人関係のつまずき」「就職活動の失敗」「自己肯定感の低下」といった複数の要因が複合的に影響しています。
  • ケースBさん(40代女性): 長年正社員として働いていたが、職場の人間関係のストレス(ハラスメントまではいかないものの、陰口や無視など)と、仕事の成果を過度に求められるプレッシャーから、心身のバランスを崩し適応障害と診断された。休職後に退職したが、漠然とした将来への不安(経済的な問題、年齢による再就職の困難さ)や、仕事以外の人間関係がほとんどなかったことから、社会との繋がりが途切れ、そのままひきこもり状態となった。このケースでは、「職場の人間関係の困難」「精神疾患(適応障害)」「退職・失業」「社会の変化や将来への不安」などが絡み合っています。

このように、ひきこもりは、本人の内面、過去の経験、現在の環境、そして社会全体の状況など、様々な要因が絡み合った結果として現れる状態です。そのため、回復を目指す上では、特定の原因だけに注目するのではなく、本人を取り巻く状況全体を多角的に理解し、個々のケースに合ったアプローチを検討することが不可欠です。

原因を知り、ひきこもりからの回復を目指すために

ひきこもりは、決して珍しい状態ではなく、適切な支援があれば回復への道は開かれます。原因を理解することは、解決に向けた重要な第一歩となります。ただし、焦りは禁物です。まずは、本人と家族の心身の健康を最優先に考えることが大切です。

本人と家族ができること

ひきこもり状態にある本人、そしてそれを支える家族が、回復を目指すためにできることがあります。ただし、焦りは禁物です。まずは、本人と家族の心身の健康を最優先に考えることが大切です。

  • まずは休息を優先する: ひきこもりの背景には、心身の疲労やエネルギーの枯渇があることが多いです。まずは、本人にとって安全で安心できる場所で、十分な休息をとることが重要です。無理に外に出そうとしたり、活動を促したりせず、静かに見守る時間も必要です。
  • 本人を尊重し、傾聴する: 本人を非難したり、責めたりすることは逆効果です。「なぜ〇〇しないんだ」ではなく、「〇〇はどう感じているの?」と、本人の気持ちに寄り添い、耳を傾ける姿勢が大切です。たとえ本人が話さなくても、存在を認め、尊重しているというメッセージを伝え続けることが、信頼関係の構築につながります。
  • 小さな変化を認め、肯定的に捉える: 長期化している場合、劇的な変化は期待できません。例えば、「自室からリビングに出てきた」「家族と少し会話をした」「身だしなみを整えた」など、どんなに小さな変化でも見逃さず、肯定的に捉え、本人に伝えることが、自己肯定感を回復させるきっかけになります。
  • 家族だけで抱え込まない: ひきこもりは家族だけで解決するには限界がある問題です。家族だけで抱え込まず、外部の支援を求めることが非常に重要です。家族自身も精神的・体力的に疲弊しないよう、適切に休息を取り、家族だけで参加できる支援プログラムや家族会などを利用することも有効です。同じ悩みを持つ家族同士で情報を交換したり、気持ちを共有したりすることで、孤立感を軽減し、新たな視点を得られることがあります。

専門機関への相談と多様な支援

ひきこもりからの回復には、専門家のサポートが不可欠です。ひきこもりの背景に精神疾患や発達障害がある場合は、医療的なアプローチが必要ですし、社会との繋がりを再構築するためには、福祉的・教育的・就労的な支援が必要です。幸い、ひきこもりに関する相談や支援を行う公的・民間の機関は増えています。

公的な相談窓口

まず最初の一歩として相談しやすいのが、お住まいの地域の公的な相談窓口です。無料または低額で利用できる場合が多く、様々な情報提供や専門機関への橋渡しをしてくれます。

窓口名 相談内容・特徴
精神保健福祉センター 精神的な健康に関する専門的な相談、精神疾患に関する情報提供、医療機関への紹介。精神保健福祉士や臨床心理士などが対応。ひきこもり支援も行っている。
保健所 健康問題全般の相談。精神保健に関する相談も可能。地域によっては精神科医による相談会などを実施。
ひきこもり地域支援センター ひきこもり状態にある本人や家族への専門的な相談支援を行うために各都道府県・政令指定都市に設置されている。訪問支援や家族相談会などを実施。
市町村の相談窓口 (福祉課、保健センターなど) 身近な相談窓口。地域の社会資源に関する情報提供や、適切な機関への繋ぎ役となる。
よりそいホットライン 24時間対応の電話相談窓口。様々な困難を抱える人からの相談を受け付けており、ひきこもりに関する相談も可能。

これらの公的な窓口は、まずは話を聞いてもらいたい、どこに相談すればいいかわからない、という場合の入り口として適しています。匿名での相談を受け付けている場合もあります。

民間の支援団体やサービス

公的な支援に加え、NPO法人などが運営する民間の支援団体やサービスも多様な支援を提供しています。特定の年齢層や特性に特化した支援、地域に根ざした支援、ユニークなアプローチを行う団体などがあります。

  • 居場所支援: ひきこもり状態にある人が、安心して過ごせる場所を提供します。すぐに社会参加を目指すのではなく、まずは他者と同じ空間にいることに慣れたり、趣味などを通して緩やかに他者と繋がったりする場となります。
  • 訪問支援: 専門のスタッフが自宅を訪問し、本人や家族と直接関わる支援です。本人が外出できない場合でも支援を届けられるのが特徴です。本人のペースに合わせて関係性を築きながら、回復へのきっかけを探ります。
  • 就労移行支援事業所: 障害や難病のある人が就職を目指すためのトレーニングやサポートを提供します。ひきこもりの背景に発達障害や精神疾患がある場合、これらの事業所が就労に向けたステップとして有効な場合があります。
  • フリースクールや通信制高校: 不登校だったり、全日制高校に馴染めなかったりする若者に対して、柔軟な学びの場を提供します。学歴取得のサポートだけでなく、スタッフや他の生徒との関わりを通して、社会性を育む機会となります。

民間の支援団体は、公的な支援ではカバーしきれない多様なニーズに応じた支援を提供していることが多いです。費用は団体によって異なりますが、選択肢は豊富です。

\適切な支援機関への相談が回復への第一歩です/

まずは公的な相談窓口に問い合わせてみましょう。状況に応じて、適切な医療機関や民間の支援団体を紹介してもらうことができます。一人で悩まず、専門家の力を借りることが、ひきこもりからの回復を目指す上で最も重要です。

【まとめ】ひきこもりは理解と支援で回復可能な状態

この記事では、ひきこもりの定義や現状、そして個人を取り巻く様々な原因や背景要因について解説しました。ひきこもりは、単一の原因で生じるものではなく、個人の内面的な問題、過去の経験、家族関係、そして社会環境など、非常に複雑な要因が絡み合って生じる状態です。精神疾患や発達障害といった医学的な要因が背景にあるケースも少なくありません。

重要なことは、ひきこもりは病気や怠けではなく、様々な困難が重なり、心身が社会生活を送るエネルギーを失ってしまった状態であるということです。そして、適切な理解と支援があれば、回復可能な状態でもあります。

原因を知ることは、本人や家族が自分たちの状況を客観的に捉え、解決に向けた糸口を見つけるための重要な第一歩となります。ただし、原因特定にこだわりすぎるあまり、本人を追い詰めたり、家族が自責の念に駆られたりしないように注意が必要です。

回復への道のりは一人ひとり異なりますが、まずは本人の心身の休息を確保し、焦らず、本人のペースを尊重することが大切です。そして何よりも、家族だけで抱え込まず、外部の専門機関に相談することが非常に重要です。

公的な相談窓口である精神保健福祉センターやひきこもり地域支援センター、市町村の窓口などが、最初の相談先として考えられます。また、民間の支援団体も、居場所支援や訪問支援など、多様なアプローチでサポートを提供しています。

ひきこもりは、本人も家族も孤立しやすい問題ですが、決して一人で抱え込む必要はありません。この記事でご紹介した情報が、ひきこもりという状態への理解を深め、回復への希望を持ち、支援に繋がるための一助となれば幸いです。

免責事項
本記事は、ひきこもりに関する一般的な情報提供を目的としています。特定の個人に対する医学的診断や治療法の推奨を行うものではありません。ひきこもり状態にある方やそのご家族は、必ず専門の医療機関や相談機関にご相談ください。本記事の情報に基づいて行った行為の結果に関していかなる責任も負いかねます。

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