適応障害とうつ病の違いとは

適応障害とうつ病の違いとは

有名人の活動休止報道などで多くの人が知るところとなった「適応障害」。精神疾患であることは明白ですが、実際にどのような障害なのか説明するのは少し難しいかもしれません。
そこで今回はそんな適応障害をわかりやすく解説するとともに、混同されがちな「うつ病」との違いについてお話しします。

適応障害とは

適応障害とは、簡単にいうと「何らかのストレスが原因で心身のバランスを崩し、学校や会社などの社会生活に支障をきたしている」精神疾患のことです。ストレスの原因がはっきりしていることが特徴です。
引っ越しや転勤、転職などと環境の変化が激しかったり、新しい環境に馴染もうと努力したりしているとき、人は自分が思っている以上にストレスを感じています。 この状況の中で、だんだん口数が減ったり、笑顔が減ったりしてきたらそれは適応障害かもしれません。

適応障害は、私たちにとってとても身近な精神疾患です。春先から新しい環境でがんばってきた疲れが、ゴールデンウィークで一気に吹き出し、学校や会社に行きたくなくなってしまう「5月病」もそのひとつ。心のコントロールができない状態が続くため、楽観はできませんが、適切な対処をすれば改善は難しくありません。

逆に、適応障害を長引かせてしまった人が、そのままうつ病を発症させてしまうことも少なくありません。
「適応障害ではないか」と感じたら、一度医療機関を受診してみましょう。

適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病の違い

どちらも、物事に対してやる気が出ないという「うつ症状」が見られる、適応障害とうつ病。その2つの違いを見ていきましょう。

適応障害の症状

ストレスに感じている環境や物事、人物などから離れると、好きなことを楽しもうという気持ちをすぐに取り戻せます。
感情の起伏が激しくなりやすく、怒りっぽかったり、理由もなく涙があふれたりと、うつ病にはあまり見られない情緒の不安定さが出やすくなります。
ストレス要因から離れることで、次第に改善します。

うつ病の症状

ストレスを感じる直接の原因が周囲になくても、症状が改善しません。1日中気分が落ち込み、好きなことでも楽しめない状態が続きます。
あまり感情の起伏は見られず、どちらかというとずっとボーッとしているような状態で過ごすことが多いでしょう。睡眠障害や食欲の低下、疲労感、鉛のように体が重いといった症状が出やすいでしょう。
十分な休養だけではなく、薬による治療やカウンセリング療法、TMS治療などを合わせて行うことが効果的です。

「気落ちする」という、いわゆる「うつっぽさ」は必ずしもうつ病ではありません。
それは「うつ症状が出ている」状態で、精神疾患のどれにも当てはまる症状です。

適応障害に必要なのはストレスから離れること

職場や家庭での問題だけでなく、最近はコロナ禍の不安が上乗せされ、ガラリと変わった環境における精神的ストレスが多くの人を悩ませています。

適応障害の治療に必要なのは、ストレス要因から距離を置くことです。これまでの治療では、学校や職場を休むことなどが推奨されてきましたが、家庭問題や世の中の情勢などは離れることができない場合もあります。
そんなときに心がけてほしいのは、できるだけ「ストレスに触れない」ことです。

情勢に過敏になってしまうのなら、テレビやインターネット、スマホの電源を切り、情報をシャットアウトする一日を作りましょう。
家庭にストレスがあるのなら、近所のホテルに一泊するなど家庭のことを考えなくていい時間を持ちましょう。家族に言いにくい場合は、精神科や心療内科で相談し、治療のために時間が必要であることを、医師から家族に伝えてもらうこともひとつの手です。

心の疲れは「弱さ」ではありません

心の疲れは「弱さ」ではありません

心の問題は弱さと同一視されがちですが、それは違います。
人の心は、弱いから傷つくのではありません。周囲の環境や他者が無理強いすることに対し、何とか対応しようと頑張った結果、心が疲れてしまうのです。
つまり心の問題は、立ち向かおうとした強さがあった証拠ということ。しかし、それが障害や病気につながってしまったのなら、立ち向かい方を変えていく必要があります。

もちろん周囲が必ずしも悪意にまみれているわけではないでしょう。しかし、人の心の許容範囲は、本人にしかわかりません。自分の心を守れるのは、自分だけです。人のために頑張れるのは素晴らしいことですが、自分にもやさしい生き方を考えていきましょう。
まずは、以下のことを優先する生活を心がけてみてください。

  • ・友人、同僚、家族など何でも話せる相手と会話する機会を増やす
  • ・早寝早起きを心がけ、生活リズムを整える
  • ・睡眠時間をしっかり取る
  • ・バランスの良い食事を意識する
  • ・適度な運動をする

規則正しい生活を送ること。それは実は、自分のために時間を使うことに他なりません。
心と体はつながっています。疲れていると心が傷つきやすくなるように、体が健康であれば、心もポジティブなほうに引っぱられます。特に睡眠は、あらゆる不調を回復させる万能薬になりますので、ストレスへの解決法・解消法がわからないときは、すべてを投げ出して「とにかく寝てしまう」という選択も正解なのです。

ストレスは、自分で思っている以上に、心身への負担になっています。「もう少しできるはず」「人に頼るなんてなさけない」と一人で耐えてしまうことが一番危険。一度なってしまうと回復が難しいうつ病は、長引く適応障害がきっかけとなるケースも多く見られます。
誰に相談していいかわからないときは、精神科や心療内科を頼って、できるだけ早く手を打ちましょう。

初めて心療内科・精神科を受診する方へ

新宿ストレスクリニック【公式】

【プロフィール】
牧野 絵美
ライター・編集者、心理カウンセラー。人間観察が趣味で、取材や執筆においても対話と心理描写を得意とする。若いころは自身の繊細さに振り回され、うつ病を繰り返した。自分との向き合い方をつかんだ今は、誰にでも人生は変えられるということを伝えていきたい。

  • 更新