アルツハイマー型認知症の診断書|取得方法・記載例・必要性を解説

アルツハイマー型認知症は、ご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな変化をもたらす疾患です。診断が確定し、適切な医療や介護サービスを受けるためには、「診断書」が重要な役割を果たします。

この記事では、アルツハイマー型認知症の診断書について、取得方法、かかる費用、そして診断書がどのような場面で役立つのかを詳しく解説します。診断プロセスや必要な検査、よくある疑問にもお答えしますので、診断書の取得を検討されている方や、認知症の診断について知りたい方はぜひ参考にしてください。

アルツハイマー型認知症の診断プロセス

アルツハイマー型認知症の主な症状と診断基準

アルツハイマー型認知症の最も一般的な初期症状は、新しい出来事を覚えられないといった記憶障害です。しかし、症状は記憶障害だけにとどまりません。

認知機能の障害として、以下のような症状が現れることがあります。

  • 記憶障害: 数分前のことや最近の出来事を忘れる。同じ話を繰り返す。
  • 見当識障害: 時間(今日の日付、季節など)、場所(今いる場所)、人物(家族の顔など)が分からなくなる。
  • 実行機能障害: 計画を立てて物事を進めることが難しくなる。料理や計算、複雑な作業ができなくなる。
  • 失語: 言葉が出てこない、相手の言葉が理解できない。
  • 失行: 服の着方が分からない、馴染みのある道具の使い方が分からない。
  • 失認: 目の前に物があるのにそれが何か分からない。

これらの認知機能の障害が、日常生活や社会生活に支障をきたしている場合に、認知症と診断される可能性があります。診断基準としては、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)やICD-10/11(国際疾病分類)などが用いられます。医師はこれらの国際的な基準と照らし合わせながら、慎重に診断を進めます。

また、認知症には、ご本人の感情や行動の変化といった「周辺症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)」が現れることもあります。例えば、不安や抑うつ、幻覚、妄想、徘徊、介護への抵抗などが挙げられます。これらの周辺症状も、診断やケアプラン作成の重要な情報となります。

診断に必要な検査の種類

アルツハイマー型認知症の診断を確定するためには、問診に加えていくつかの検査が行われます。これらの検査結果は、診断書に記載される病状や能力障害の状態を判断する上で非常に重要です。

問診と神経心理検査(MMSE、長谷川式など)

診断の第一歩は、医師による詳細な問診です。ご本人やご家族から、いつ頃からどのような症状が現れたか、日常生活で困っていること、既往歴、内服薬などについて詳しく聞き取ります。ご本人だけでなく、症状をよく知るご家族や身近な方からの情報は、診断の糸口となる重要な手がかりです。

次に、神経心理検査が行われます。これは、記憶力、計算力、判断力、言語能力、構成能力などの認知機能を評価するための検査です。代表的なものには、以下のものがあります。

  • MMSE(Mini-Mental State Examination): 質問形式で、見当識、記憶、注意・計算、言語、図形構成能力などを評価します。広く用いられていますが、比較的軽度の認知機能障害を見落とす可能性があるとされています。
  • HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール): 日本で開発された検査で、MMSEと同様に質問形式で行われます。日本の文化や習慣に馴染みやすい内容が特徴です。
  • ADAS-J cog(Alzheimer’s Disease Assessment Scale-Japanese version – cognitive subscale): アルツハイマー型認知症の認知機能評価に特化した検査です。より詳細な認知機能の評価が可能ですが、実施には訓練が必要です。

これらの検査は、認知機能の全体的なレベルや、特定の認知機能の障害の有無、程度を把握するために行われます。

画像検査(MRI、CT、SPECT、PETなど)

脳の画像検査は、診断において非常に重要な役割を果たします。脳の状態を視覚的に確認することで、アルツハイマー型認知症に特徴的な変化を捉えたり、他の疾患(脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など)を除外したりすることができます。

  • MRI(磁気共鳴画像法)/ CT(コンピュータ断層撮影): 脳の萎縮の程度や部位を確認します。アルツハイマー型認知症では、特に海馬や側頭葉の内側部分に萎縮が見られることが多いです。脳血管性の病変(脳梗塞の跡など)も確認できます。
  • SPECT(単一光子放出コンピュータ断層撮影)/ PET(陽電子放出断層撮影): 脳の血流や代謝の状態を調べます。アルツハイマー型認知症では、特定の脳領域(頭頂葉、側頭葉など)で血流や代謝の低下が見られることが特徴的です。PET検査の一種であるアミロイドPETやタウPETは、アルツハイマー病の原因とされる異常タンパク質(アミロイドβやタウ)の脳内蓄積を画像化することも可能です。

これらの画像検査は、認知機能検査の結果や問診と合わせて総合的に評価されます。

その他の検査

必要に応じて、以下のような検査も行われることがあります。

  • 血液検査: 貧血、甲状腺機能障害、ビタミン欠乏症、梅毒など、認知機能の低下を引き起こす可能性のある他の疾患を除外するために行われます。
  • 髄液検査: 脳脊髄液中のアミロイドβやタウタンパク質の濃度を測定することで、アルツハイマー病の可能性をより高精度に診断できる場合があります。
  • 脳波検査: てんかんなどが疑われる場合に行われることがあります。

これらの様々な検査を経て、医師はアルツハイマー型認知症であるか否か、あるいは他の認知症や認知機能障害であるかを診断します。診断書は、この診断に基づいて作成される書類です。

アルツハイマー型認知症診断書はどこで取得できる?

アルツハイマー型認知症の診断書は、医師が作成する公的な書類です。診断を受けた医療機関で発行してもらうことができます。

診断書発行が可能な医療機関の種類

アルツハイマー型認知症の診断書は、認知症の診断が可能な医療機関であれば発行してもらえます。

認知症専門医、精神科、脳神経外科など

アルツハイマー型認知症の診断は、主に以下の専門医がいる医療機関で行われます。

  • 認知症専門医: 認知症の診断・治療を専門とする医師です。日本認知症学会などが認定する専門医がいます。
  • 精神科: 認知症の診断・治療も専門分野の一つです。特に認知症に伴う精神症状や行動障害(周辺症状)の診断・対応を得意としています。
  • 脳神経内科: 脳や神経系の疾患を専門とする医師です。アルツハイマー型認知症を含む変性疾患の診断・治療を行います。
  • 脳神経外科: 脳外科的な疾患(脳腫瘍、水頭症など)が認知症の原因でないかを確認する場合や、必要に応じて治療を行う場合があります。

大学病院や総合病院のこれらの診療科、または認知症疾患医療センターとして指定されている病院は、専門的な検査機器やスタッフが揃っており、より詳細な診断が可能です。また、認知症を専門とするクリニックでも診断・診断書発行が可能です。

かかりつけ医への相談

まずは、普段から利用しているかかりつけ医に相談することも有効です。かかりつけ医は、ご本人の日頃の健康状態や生活状況を把握しているため、初期の変化に気づきやすい場合があります。

かかりつけ医が認知症の専門でない場合でも、問診や簡単な認知機能検査(長谷川式など)を行い、専門医療機関への紹介状を書いてもらうことができます。診断書の発行は専門医に任せることになりますが、受診の第一歩としてかかりつけ医に相談するのは良い方法です。

診断書発行までの一般的な流れ

診断書発行までの流れは、医療機関や目的とする診断書の種類によって多少異なりますが、一般的なステップは以下のようになります。

  • 医療機関の受診・予約: 認知症の症状が疑われる場合、専門医のいる医療機関やかかりつけ医を受診します。事前に電話で予約を取り、認知症の相談であることを伝えるとスムーズです。
  • 問診・検査: 医師による問診や神経心理検査、必要に応じて画像検査などの精密検査が行われます。診断には複数回の受診や検査が必要となる場合があります。
  • 診断の確定: 検査結果や問診の内容を総合的に判断し、医師がアルツハイマー型認知症であるかどうかの診断を確定します。
  • 診断書の作成依頼: 診断確定後、診断書が必要な旨を医師や受付に伝えて依頼します。診断書の提出先(介護保険、運転免許など)や目的を明確に伝えることが重要です。提出先によって診断書の様式が指定されている場合もあります。
  • 診断書の作成・発行: 医師が診断書を作成します。内容には、診断名、発症時期、病状、認知機能の程度、能力障害の状態、今後の見通しなどが記載されます。作成には通常、数日から1週間程度かかりますが、医療機関によってはさらに時間がかかる場合もあります。
  • 診断書の受け取り・支払い: 完成した診断書を医療機関で受け取ります。この際に診断書の発行手数料を支払います。郵送での対応が可能な医療機関もあります。

診断書の作成は、診断そのものとは別の手続きであり、手数料が発生します。必要な診断書の枚数や提出先が多い場合は、まとめて依頼する方が手続きが効率的です。

アルツハイマー型認知症診断書の料金(費用)

アルツハイマー型認知症の診断書を作成してもらう際には、費用がかかります。この費用は、健康保険が適用される診療費とは別に発生する、文書作成料(自費)となります。

診断書費用の目安

診断書の発行費用は、医療機関によって自由に定められるため、金額に幅があります。

一般的に、アルツハイマー型認知症の診断書の費用は、1通あたり3,000円~10,000円程度が目安となります。

提出先によって診断書の様式や記載内容が異なるため、複数の機関に提出する場合、それぞれ異なる種類の診断書が必要となり、その都度費用がかかることもあります。例えば、介護保険用の主治医意見書は保険診療の一部として扱われますが、それ以外の診断書(運転免許、成年後見など)は自費となることが多いです。

事前に医療機関に確認し、必要な診断書の種類と費用について把握しておくことが大切です。

診断にかかる費用と診断書発行料の違い

アルツハイマー型認知症の診断を受けるまでにかかる費用と、診断書を発行してもらう費用は異なります。

費用項目 内容 保険適用 費用の目安(3割負担の場合)
診療費 初診料、再診料、問診、身体診察など 数百円~数千円
検査費用 神経心理検査(MMSEなど)、血液検査、画像検査(MRI, CT, SPECT, PETなど) 数千円~数万円(検査内容による)
診断書発行料 診断書を作成してもらうための文書作成料 3,000円~10,000円程度(自費)

診断を受けるための診療費や検査費用は、原則として健康保険が適用されます。自己負担割合に応じて費用が決まります(通常3割負担)。ただし、高度な画像検査(PETなど)は行える医療機関が限られており、費用も高額になることがあります。

一方、診断書の発行料は、医療行為ではなく文書作成であるため、健康保険の適用外となり全額自己負担(自費)となります。診断書の目的(提出先)によって様式が異なるため、料金体系も異なる場合があります。

診断書を依頼する際は、「〇〇(提出先)に提出するためのアルツハイマー型認知症の診断書をお願いします」と具体的に伝え、費用や発行にかかる日数を確認しましょう。

アルツハイマー型認知症診断書の主な活用先

アルツハイマー型認知症の診断書は、ご本人やご家族が様々な公的サービスを利用したり、法的な手続きを行ったりする際に必要となる重要な書類です。ここでは、主な活用先について詳しく解説します。

介護保険サービスの申請に必要な場合

アルツハイマー型認知症と診断された方が介護サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。要介護認定の申請手続きにおいて、「主治医意見書」の提出が必要です。

主治医意見書は、ご本人の心身の状態や病状、日常生活での留意点などを、日頃から診察している医師(主治医)が記載する書類です。これは、介護認定審査会が要介護度を判定する上で最も重要な書類の一つとなります。

アルツハイマー型認知症の診断を受けた医師が、主治医意見書を作成します。これは厳密には「診断書」とは少し異なりますが、医師による専門的な評価が記載されている点で役割は似ています。介護保険サービスの申請をする際は、市区町村の窓口で申請書とともに主治医意見書の作成依頼書を受け取り、主治医に提出して作成を依頼します。主治医意見書の作成費用は、多くの場合、介護保険から医療機関に支払われるため、ご本人の自己負担はありません(ただし、保険適用外となるケースもあるので要確認)。

運転免許証の更新・返納手続きにおける診断書

認知機能の低下は、安全な運転に支障をきたす可能性があります。道路交通法では、特定の病気(認知症を含む)にかかっている場合に運転免許の取得や更新ができない、あるいは症状によっては免許が取り消される規定があります。

75歳以上の運転者は、運転免許更新時に「認知機能検査」を受けることが義務付けられています。この検査の結果、認知症の恐れがあると判断された場合、または認知症の診断を受けた場合は、医師の診断書の提出が必要となります。この診断書は、認知症の診断の有無、病状、そして運転能力への影響について医師が評価した内容が記載されます。

診断の結果、安全な運転が難しいと判断された場合は、運転免許の取消しや停止の対象となることがあります。ご本人やご家族が自主的に運転免許を返納する「申請による取消し」制度を利用する際にも、認知症の診断書が判断材料の一つとなることがあります。

精神障害者保健福祉手帳の申請

精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害(アルツハイマー型認知症を含む認知症も含まれる)の状態にある方に交付される手帳です。この手帳を取得すると、税金の控除や公共料金の割引、公共交通機関の割引など、様々なサービスや支援を受けることができます。

精神障害者保健福祉手帳を申請する際には、医師の診断書が必要となります。この診断書には、病名(アルツハイマー型認知症)、病状、能力障害の状態(日常生活や社会生活での困難さ)、予後などが詳細に記載されます。診断書の内容に基づいて、精神障害の程度(1級~3級)が判定されます。

申請は、市区町村の窓口で行います。申請書、診断書、マイナンバーカードなどの書類を提出し、審査を経て手帳が交付されます。

成年後見制度の申立て

成年後見制度は、認知症などによって判断能力が不十分になった方を保護し、支援するための制度です。財産管理や契約行為などが難しくなった場合に、成年後見人などが本人に代わってこれらの手続きを行います。

成年後見制度の利用を開始するためには、家庭裁判所への申立てが必要です。この申立ての際に、医師の診断書の提出が求められます。この診断書には、ご本人の判断能力の程度(どの程度の支援が必要か)について、医師が医学的な見地から評価した内容が記載されます。診断書は、家庭裁判所が後見、保佐、補助のどの制度が適切か、あるいは申立てが妥当かを判断する上で重要な資料となります。

生命保険・医療保険などの保険金請求

ご本人が加入している生命保険や医療保険の契約内容によっては、アルツハイマー型認知症と診断された場合に、所定の保険金や給付金が支払われることがあります。

保険金の請求手続きを行う際には、保険会社から医師の診断書の提出を求められます。この診断書には、診断名(アルツハイマー型認知症)、診断確定日、病状、入院期間、受けた医療処置などが記載されます。保険会社は提出された診断書の内容を確認し、保険契約に基づき給付の対象となるかどうかの審査を行います。

施設入居(グループホーム含む)の申し込み

特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどの介護施設や高齢者向け施設に入居を申し込む際にも、医師の診断書や健康診断書、診療情報提供書などの提出を求められることが一般的です。

施設側は、提出された診断書などを通じて、ご本人の病状、認知症の程度、医療的なケアの必要性、感染症の有無などを把握し、施設で受け入れが可能か、適切なサービスを提供できるかを判断します。特に認知症対応型グループホームなど、特定の認知症の方を対象とした施設では、診断書が必須となります。

その他

上記以外にも、障害年金の申請、福祉サービスの利用、会社の休職・復職手続きなど、様々な場面でアルツハイマー型認知症の診断書の提出が必要となる場合があります。どのような目的で診断書が必要なのかを事前に確認し、提出先の指定する様式がある場合は、その様式で作成してもらう必要があります。

アルツハイマー型認知症診断書に関するよくある疑問

アルツハイマー型認知症の診断書について、多くの方が疑問に思う点について解説します。

診断書がないと利用できない制度はありますか?

はい、アルツハイマー型認知症に関する多くの公的なサービスや手続きでは、診断書(あるいは主治医意見書など、それに類する医師の証明書)がないと申請や手続きができない、あるいは不利になる場合があります。

例えば、前述の通り、介護保険サービスの要介護認定、運転免許の更新・返納、精神障害者保健福祉手帳の申請、成年後見制度の申立て、保険金の請求、施設入居の申し込みなどは、医師の診断書や主治医意見書が必須、または重要な提出書類となります。これらの制度や手続きを利用するためには、まずは医療機関で正確な診断を受け、必要な診断書を作成してもらうことが不可欠です。

診断書の内容について詳しく知りたいのですが?

アルツハイマー型認知症の診断書に記載される主な内容は以下の通りです。

  • 氏名、生年月日、性別など ご本人の基本情報。
  • 病名 アルツハイマー型認知症と記載されます。合併症や他の疾患があればそれも記載されることがあります。
  • 発症時期 症状が現れ始めたおおよその時期。
  • 現在の病状 認知機能障害の程度(例: 軽度、中等度、重度)、周辺症状の有無や内容、身体的な状態など。神経心理検査や画像検査の結果が引用されることもあります。
  • 能力障害の状態 日常生活(食事、排泄、入浴、着替えなど)や社会生活(金銭管理、買い物、交通利用、対人関係など)でどのような困難があるか、どの程度の介助や見守りが必要か。
  • 診断の根拠 問診、神経心理検査、画像検査などの結果に基づき、なぜアルツハイマー型認知症と診断したかの理由。
  • 今後の見通し(予後) 病状の進行について、予測される経過。
  • その他必要な情報 診断書の提出先が求める特記事項など。
  • 診断書作成日
  • 医療機関情報、医師の氏名・印鑑

これらの情報は、診断書を提出する機関が、ご本人の状態を正確に把握し、適切なサービスや支援の要否、内容を判断するために用いられます。記載内容について不明な点があれば、診断書を作成した医師や医療機関の相談窓口に問い合わせてみましょう。

診断書を紛失した場合、再発行は可能ですか?

はい、アルツハイマー型認知症の診断書を紛失した場合でも、原則として再発行は可能です。

診断書を発行した医療機関に連絡し、再発行を希望する旨を伝えてください。再発行の際にも、初回発行時と同様に文書作成料がかかります。再発行の手続きや費用については、医療機関によって異なる場合があるため、事前に確認することをおすすめします。

ただし、診断書の作成には、その時点でのご本人の状態や検査結果に基づいて医師が判断を下しています。あまりに時間が経過している場合や、ご本人の状態が大きく変化している場合は、再度診察や検査が必要となる可能性もあります。

認知症と診断されなかった場合の診断書は?

認知症の疑いで医療機関を受診し、検査を受けた結果、アルツハイマー型認知症やその他の認知症と診断されなかった場合でも、必要であれば診断書を発行してもらうことは可能です。

この場合の診断書には、以下のような内容が記載されることが考えられます。

  • 診断名: 認知症ではない他の病名(例: 軽度認知機能障害(MCI)、うつ病、せん妄、正常圧水頭症など)、あるいは「特に異常は認められません」「現時点では認知症の診断には至りません」といった記載。
  • 検査結果: 実施した検査の内容と結果(例: MMSEの結果、画像所見など)。
  • 所見: 医師が診察や検査結果から判断したご本人の状態や今後の見通し。

例えば、軽度認知機能障害(MCI)と診断された場合、その旨が記載された診断書を、特定の支援制度の利用や、経過観察のために提出する場合があります。

診断の目的や提出先に応じて、どのような内容の診断書が必要か、医師とよく相談することが重要です。

まとめ:アルツハイマー型認知症診断書取得のステップ

アルツハイマー型認知症の診断書は、ご本人やご家族が安心して生活し、必要な支援を受けるための重要な「鍵」となります。診断書取得までのステップをまとめると、以下のようになります。

  • 症状に気づく・疑う: ご本人またはご家族が、記憶力や判断力の低下など、認知症を疑わせる症状に気づく。
  • 医療機関へ相談: まずはかかりつけ医に相談するか、直接認知症専門医のいる医療機関を受診する。
  • 詳細な診断プロセス: 問診、神経心理検査、画像検査など様々な検査を受け、医師が診断を確定する。
  • 診断書の作成依頼: 診断確定後、必要な診断書の提出先や目的を医療機関に伝え、作成を依頼する。様式が指定されている場合は提出する。
  • 診断書の受け取りと支払い: 完成した診断書を医療機関で受け取り、所定の費用を支払う。
  • 各機関への提出: 取得した診断書を、介護保険、運転免許センター、自治体窓口、保険会社、施設など、必要な提出先へ提出する。

診断書は、ご本人の状態を客観的に証明する公的な書類です。これを活用することで、ご本人に合った適切な介護サービスや福祉サービス、あるいは法的な手続きを進めることが可能になります。一人で抱え込まず、まずは医療機関に相談し、診断を受けることから始めてみましょう。

診断書に関する相談窓口

アルツハイマー型認知症の診断書について、どこに相談すれば良いか分からない場合は、以下の窓口を利用することができます。

  • 医療機関の相談窓口: 受診している病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)などが、診断書の種類や手続き、関連する制度について相談に乗ってくれることがあります。
  • 地域包括支援センター: 高齢者のための地域の総合相談窓口です。介護保険サービスの利用に関する相談や、認知症に関する様々な相談に対応しており、診断書が必要となる制度についても情報提供やアドバイスを受けることができます。
  • 市区町村の認知症に関する相談窓口: 各自治体でも、認知症に関する専門の相談窓口を設置している場合があります。
  • 認知症疾患医療センター: 認知症の専門医療機関として、鑑別診断や専門医療相談を行っています。診断や診断書に関する相談も可能です。

これらの窓口を活用し、ご本人やご家族にとって最善の選択ができるように情報を集め、支援を受けてください。


免責事項:

この記事は、アルツハイマー型認知症の診断書に関する一般的な情報を提供することを目的としています。個別の症状や状況に応じた診断や判断、制度の適用については、必ず専門の医師や関係機関にご相談ください。医療情報や制度内容は変更される可能性があります。最新の情報は、各医療機関や公的機関の公式情報をご確認ください。この記事の情報に基づき発生したいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。

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